「700万円のアルファード」を別居の“大学生の息子”に買い与え、保険や税金も「親名義で全額払ってる」という友人…実態は「息子の専用車」なのに、違反にならないのでしょうか? リスクと贈与税を確認

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子どもが大学生になり、一人暮らしを始めるタイミングで親が車を用意するケースもあります。   ただ、その車が700万円もする高級車で、さらに車の名義は親で、維持費も親が負担していると聞けば、「税金や保険の面で問題はないのだろうか」と疑問を抱くのも無理はないでしょう。   本記事では、別居している大学生に高額な車を用意し、維持費も親が負担するケースを例に、考えられるリスクと贈与税の計算方法を解説します。

自動車保険は「実際に誰が主に使うか」の確認が重要

まず確認したいのが、自動車保険の契約内容です。自動車保険では、契約時に「主に車を使用する人」を正しく申告することが重要です。
契約者や車の所有者が親であっても、実際には別居している大学生の子どもが日常的に使用しているのであれば、保険会社の定める条件に照らして適切な契約になっているかを確認する必要があります。
記名被保険者や運転者の範囲、年齢条件などが実際の使用状況と合っているか、保険会社や代理店に確認しておくことが大切です。契約内容と実態に相違があると、事故が起きた際に保険金の支払いなどで問題になる可能性があります。

700万円の車を子どもに与えると贈与税がかかる?

次に気になるのが、税金の問題です。親が所有する車を子どもに一時的に使用させているだけであれば、直ちに700万円の贈与があったと判断されるとは限らないでしょう。
通常、扶養義務者(親)から子どもへ送られる生活費や教育費には贈与税がかかりません。公共交通機関が乏しい地域で、通学や生活に必要な一般的な大衆車を買い与える程度であれば、日常生活に必要な範囲として扱われることもあります。
しかし、都市部で生活する場合や、700万円クラスの高級車(アルファードなど)である場合は、「生活に不可欠な範囲を超えた資産の譲渡」とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性が高いです。
 

700万円の車が贈与とみなされた場合の課税額

では、700万円相当の車が親から18歳以上の子どもへの贈与と認められた場合、どのくらいの贈与税が課税されるのでしょうか。
ここでは、ほかに贈与を受けていないものとして考えます。まず、基礎控除額が110万円を差し引くと、課税価格は「700万円-110万円=590万円」です。
18歳以上の子どもが直系尊属から受けた贈与には「特例税率」が適用されます。590万円に対する税率を20%、控除額を30万円として計算すると、贈与税額は「590万円✕20%-30万円=88万円」です。
つまり、車の価格700万全額を贈与財産の価額として計算した場合、贈与税額は88万円となります。

税務トラブルを回避するために確認しておきたい3つのポイント

親名義の車を子どもに使わせる場合、「親の資産を子どもが無償で借りて利用している(使用貸借)」という主張を裏付けることが必要です。そのため、実際の所有関係や費用負担を整理しておくことが重要になります。
 

1. 維持費の負担者を明確にする

親名義の車を子どもに貸しているのであれば、ガソリン代や駐車場代、任意保険料などを誰が負担するのか明確にしておきましょう。子どもがこれらの費用を負担している場合は、支払い記録を残しておくとよいでしょう。
車の名義が誰であるか以上に、「実質的に誰が管理・使用し、経費を出しているか」という実態を重視されるためです。
 

2. 親子間で車の使用関係を明確にしておく

無償で物を貸し借りする契約を、「使用貸借」といいます。親が所有する車を子どもに貸しているのであれば、車の使用について簡単な書面を作成しておきましょう。
例えば、「親は子どもに無償で使用させる」「ガソリン代や駐車場代は子どもが負担する」といった内容を記載し、双方で保管しておきます。作成する際は、実際の使用状況や費用負担が一致していることが重要です。
 

3. 親から子どもへの資金援助全体を把握する

親が子どもを支援する場合は、車の維持費だけでなく、家賃や学費、生活費、現金なども含め、年間でどの程度の援助をしているのか把握しておきましょう。
贈与税の基礎控除は年間110万円ですが、個別の支出ごとではなく、その年に受けた贈与の合計額を基準に考えます。「年間110万円以内なら何をしても大丈夫」と考えず、援助の内容や実態を整理しておくことが大切です。

「親名義なら大丈夫」と考えず、実態に合った形を

大学生の子どもに700万円の高級車を用意する場合、親名義にして維持費もすべて負担していれば問題がない、と単純に考えるのは避けたほうがよいでしょう。
自動車保険は、実際の主な使用者と契約内容が合っているかを確認する必要があります。また、親名義の車を子どもに使わせる場合、「親の資産を子どもが無償で借りて利用している(使用貸借)」という主張を裏付けることが有効です。
今回のように、700万円の車全体が贈与と認められてしまえば、贈与税として88万円が課されます。車の所有者・使用者・費用負担者の関係を実態に合わせながら、保険会社や税理士にも確認し、必要であれば書面を作成するなど、適切な方法を選びましょう。
 

出典

国税庁 相続税法第9条の「みなし贈与」について-資本取引等を巡る課税関係を中心として-
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー