【フォトルポ】熊本地震 墓石のない墓に鮮やかな生花が…被災地に戻る日常と「残された課題」

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最大震度7を記録した熊本地震の発生から、8月28日で1ヵ月が経過した。連日最高気温が35度を超え、熱中症警戒アラートが発令される酷暑の被災地には、地震の爪痕が至るところに残っていた。

停電と断水の現在

八代市に隣接する氷川町内のある墓地を訪れると、墓石の9割ほどが倒れていた(2枚目写真)。地元の石材店の従業員は「墓石の立て直しにはクレーン車が必要。これだけの数となると、年内に作業が終わるかどうか……」と嘆いた。そんな状況でもお盆に先祖供養のために訪れた被災者がいたようで、墓石のない墓に鮮やかな生花が供えられていた。

一方、九州自動車道が開通したことで、食料品や生活必需品の供給は地震前と変わらない日常生活を送れるまでに回復している。コンビニやスーパーは続々と営業を再開。24時間営業を復活させた店舗もあった。

生活インフラも徐々に復旧しつつある。最大で4万8000戸以上に及んだ停電は、ほとんど全てが解消。最大10万戸以上あった断水も約2000戸を残すまでに減っている。県内最多となる2万5000戸以上が断水した八代市でも26日に上下水道の全面復旧が発表された。

しかし、思わぬ水問題も生まれている。八代市は約12万人の住民のうち、半数近くが生活用水として水道水ではなく井戸水などを使っている。しかし、その井戸の多くが地震により利用できなくなっているというのだ。

そんな中、救世主となっているのが海上からの支援だ。八代港に足を運ぶと国土交通省が所有する海洋環境整備船『海煌(かいこう)』が寄港し、大量の飲み水を住民に提供していた。

防衛省がチャーターした大型フェリー『はくおうⅡ』は宿泊施設を開放し、広島商船高等専門学校の練習船『広島丸』は船内の浴室を開け、住民に風呂の提供を行っていた。現場を取り仕切っていた国立高等専門学校機構の田村隆弘氏が語る。

「午前9時から夕方7時まで、1日あたり40~50人にお風呂を貸しています。食堂も開放しており、生活の足しになればとレトルト食品も無料で配っています。夏休みの合間を縫っての作業なので短期間しかいられませんが、水問題が解決していない地域があるなか、多くの方が喜んで帰っていかれる姿を見ていると、やってよかったと思いますね」

風呂の利用のために船を訪れた50代女性に声をかけると、笑顔でこう答えた。

「生活用水がなくなって困っていたので、本当にありがたいです。あったかいお湯に浸かってリフレッシュできました。戻って復興作業を頑張りたいと思います」

地震発生から1ヵ月が経過し、被災地では多くの変化が起きている。最も驚かされたのが、取材に応じてくれる住民の多さだ。発生当時はみな、生きることに必死で取材は難航したが、今回は積極的に取材に答えてくれる方が多かった。巨大地震を乗り越え、前を向こうという熊本の人々の強い意志を感じた。

まだまだ課題は山積みだが、被災地に平穏が戻る日は遠くない。記者はそう確信したのであった。

『FRIDAY』2026年9月11・18日合併号より