最大震度7を観測した熊本地震から28日で1か月です。

先月の地震では震度7を宇城市と氷川町で観測。

災害関連死の疑いを含む38人が死亡、熊本県内で5万3000棟を超える住宅が被害を受けました。鹿児島でも薩摩川内市などで震度5強を観測し、鹿児島県内でも被害が出ました。

熊本の被災者は「どこか他人事だった。鹿児島の人も備えてほしい」と話します。

「災害関連死」のリスクや鹿児島の備えを取材しました。

「宇城市小川町の商店街。赤く危険と判定された建物が多く建ち並び、その多くが手つかずのまま」

震度7を観測した宇城市です。

熊本市に次ぐおよそ6700棟の住宅が被害を受け、現在も647人が避難を続けています。

「瓦が全部倒れてもうすべて廃棄。人生で2度もあるとは思わなかった」

岩田和也さん64歳です。

経営する建設会社で保管していた瓦が割れるなど被害を受けたほか、自宅が大きく損壊し、避難を余儀なくされました。

「こんな感じで運転席のシートを全開に倒して寝た」

地震当日から4日間、自宅前での車中泊を選びました。

「涼しい時ならよかった、この暑さは。クーラーがあるので車で寝られるが、もう最悪」

86歳の母や8歳の孫も一緒で、ほかの避難者への配慮がいらず、エアコンを使えることが理由でした。

(あの時の生活振り返って?)いや、もうやりたくない。足がむくんではれていた。足を伸ばせないのが一番きつかった」

地震から1か月。

現在は自宅に隣接する倉庫の離れで母と妻の3人で生活しています。

岩田さんの母好子さん(86)「トイレも出ないと水をくんできてもらい、おにぎりを握ってもらった。色々な人から(支援)もらって私たちは何もできない。本当に助かった…」

岩田さんは避難の備えの大切さを痛感したといいます。

岩田さん「いつかはまた来るという気持ちはあった。一番は命があればいいから、逃げること。食べ物があることと逃げることが大事。」

熊本県内での避難者は現在、2400人余りですが、避難所以外の車中泊の人などは含まれていません。

先月30日には氷川町で車中泊をしていた70代の女性が熱中症の疑いで死亡。「災害関連死」の可能性があるとされています。

「個人で場所を考えて車中泊となるとどうしても支援するのが難しくなってしまう」

鹿児島市危機管理課の上妻隆文主査です。

政府は車中泊などの避難について「エコノミークラス症候群などのリスクがある」として推奨はしていません。

ただ、「災害関連死は避難所以外の場所で発生しやすい」としておととし、自治体に支援策の検討を促しました。

上妻さんは「行政として車中泊を推奨はできないが、市民のための対策は必要」と話します。

車中泊の車を止める場所として提供してもらうため協定結んだ」

鹿児島市は今年度の防災計画で鹿児島市東開町の駐車場で災害時に「車中泊」ができるスペースを500台分確保しました。

「基本的には避難所に避難してもらうのが前提だが、把握のしやすさ、支援への繋ぎやすさを考えると協定先の場所や避難所の駐車場を利用してもらうのがよい」

上妻さんは地震の翌日から八代市に派遣され、物資の拠点の運営などを経験。避難所の暑さ対策などを進める必要性も感じたといいます。

「(避難所の)空調の整備は進めているが一気にはできない。整備がされている教室などを柔軟に使って対応していく」

ケーキ店がオープン前に被災、それでも

地震から1か月が経過した現在も宇城市では一部で水が出にくい状況が続いています。

ケーキ店を営む片山鉄治さん。妻の頼子さんは鹿児島市出身です。元々、店を先月オープン予定でしたが、直前で地震に襲われ、4日前に開業しました。

頼子さん「オープン前で残念な気持ちもあったが、それより客が入っていない状態で誰もけががなくて良かった」

本業はショウガ農家の片山さん夫婦。

畑の井戸水をタンクに汲んで、断水が続く市内の高齢者施設など20か所ほどに届け続けてきました。

活動の理由は去年8月に経験した大雨の被害でした。

片山さん「ショウガの畑や施設も家も車も浸かってしまったときに地域の人や友人、ボランティアに助けてもらった。その恩返しもかねて」

行列には給水支援を受けた人の姿も。

「みんな喜んでいる近くの人も助かると、喜んで汲んでいる」

片山さん「うれしさよりも地元の復興、やらないといけないことが山積み。みなさんが楽しみもない状態で少しでも心が豊かになるように」

大雨被害を乗り越えた1年後、再び地震で被災した片山さん。

ふるさとの鹿児島で暮らす人たちにも、「いつ起きるか分からない地震への備えを見つめ直す、機会にしてほしい」と話します。

片山頼子さん「震災はいつどこで起きるか分からないと再認識した。鹿児島の人にも備えに備えを重ねて、無事でいてほしいなと思う」

片山鉄治さん「まだ他人事だったんだなというのが率直な思い。防災の拠点があればいいではなく使えない場合に地元の公民館など分散して避難できる場所を何通りか持ったうえで、個人の備え。想定して準備をしておく事前の準備が大事だと思った」

またしても、震度7の地震に見舞われた熊本。

10年前とは違う、暑さの中での避難や断水に直面した住民の経験は日頃の備えの大切さを再び伝えます。