「熱中症」の際に食べてはいけないものはご存知ですか?控えた方がいい飲み物も解説!

夏の厳しい暑さが続く時期は、熱中症を防ぐために何を飲み、何を食べればよいのか迷うことがあるでしょう。熱中症の予防や対処においては、水分と塩分を適切に補うことが基本です。一方、アルコールや糖分を多く含む飲料、胃腸に負担をかける食事は、水分補給の妨げになったり、吐き気や下痢を悪化させたりすることがあります。体調が悪いときは、食べ物の種類だけでなく、意識の状態や水分を飲めるかどうかを確認することも欠かせません。症状が強い場合は、飲食物を工夫するだけでは対応できないため、病院の受診や救急要請を検討する必要があります。
この記事は、熱中症のときに避けたい飲食物や、糖分の多い飲料を摂る際のポイント、適切な水分・塩分補給を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター

熱中症のときに食べてはいけないもの

熱中症の予防や対処で避けたい飲み物はありますか?

熱中症の予防や対処において、アルコールや糖分の高い清涼飲料水を水分補給の中心にするのは避けましょう。アルコールは尿量を増やし、判断力や暑さへの感覚を鈍らせます。糖分の高い飲料を大量に飲むと、水分の吸収が遅くなることがあります。普段は水や麦茶を基本とし、大量に汗をかいたときはスポーツドリンクや経口補水液を選びましょう。

アルコールが熱中症によくないのはなぜですか?

アルコールは利尿を促して尿量を増やすため、熱中症の予防や水分補給には向きません。判断力が低下し、暑さや喉の渇き、身体の異変にも気付きにくくなります。また、血管を広げる作用により、暑さによる血管拡張と重なると、立ちくらみやめまいが現れやすくなります。熱中症が疑われるときは飲酒を中止し、水分と塩分を補いましょう。

カフェインを含むコーヒーやお茶は避けるべきですか?

コーヒーや緑茶などを適量飲んだだけで、健康な方が深刻な脱水になるとは限りません。ただし、カフェインには利尿作用があるため、暑い環境や運動中の水分補給を、カフェイン飲料だけに頼ることは避けましょう。

熱中症のときに食べてはいけない食品はありますか?

熱中症のときに、食べると毒になるような特定の食品はありません。ただし、吐き気や下痢、食欲低下がある場合は、脂っこい料理や揚げ物、生もの、刺激の強い料理を控えましょう。胃腸に負担がかかると、食事や水分を摂りにくくなります。
意識がはっきりしない、強い吐き気がある場合は、飲食物を無理にお口へ入れようとしてはいけません。窒息や誤嚥につながるため、自力で飲み込めない場合は救急車を要請してください。

糖分の多い飲料や食事で気を付けたいこと

スポーツドリンクや清涼飲料水は飲みすぎても大丈夫ですか?

スポーツドリンクや清涼飲料水を、水の代わりに大量に飲み続けることは避けましょう。スポーツドリンクは、水分や塩分、糖分を含み、大量に汗をかいたときの補給に利用できます。一方、日常的に必要以上の量を飲むと、糖分の摂りすぎや血糖値の上昇につながります。
糖分を含む飲料を大量に飲み続けると、強い喉の渇きやだるさ、尿量の増加などを伴う、いわゆるペットボトル症候群を起こすことがあります。また、糖度の高い飲料は水分の吸収が遅くなる場合があります。

熱中症のときに積極的に摂った方がよい食材はありますか?

食事を摂れる状態であれば、水分やミネラルを含み、胃腸に負担をかけにくい食品を選びます。トマトやきゅうり、ナス、スイカなどは水分を含み、汗で失われやすいカリウムも補えます。ただし、熱中症が疑われるときは食事だけで対応せず、身体の冷却と水分・塩分の補給を優先してください。
食欲が落ちている場合は、お粥やうどん、スープなどを少量ずつ摂ります。みそ汁は水分と塩分を同時に補いやすく、豆腐や大豆製品、豚肉などを加えると、タンパク質やビタミンB1も摂取できます。食べられるものを無理のない量から摂ることがポイントです。

熱中症になったあとに避けたほうがよい食べ物や飲み物はありますか?

熱中症の後に吐き気や胃もたれ、下痢などが残っている場合は、胃腸に負担をかける食事を控えます。具体的には、脂っこい肉料理や揚げ物、生もの、刺激の強い料理などです。アルコールは脱水を進めるおそれがあるため、体調が回復するまでは避けてください。
冷たい飲食物が悪いわけではありませんが、一度に大量に摂ると胃腸症状が強くなることがあります。お粥やうどん、だしのスープ、やわらかく煮た野菜など、消化しやすいものから始め、体調を見ながら通常の食事へ戻すことがすすめられます。

熱中症で食べてはいけないものに関するよくある質問

熱中症のときにビールなどのアルコールで水分補給をしてもよいですか?

いいえ、アルコールを水分補給に使ってはいけません。ビールなどには水分が含まれますが、アルコールは尿量を増やし、暑さや体調の変化への判断も鈍らせます。喉が潤ったように感じても、熱中症の予防や対処に必要な水分と塩分を適切に補える飲み物ではありません。
熱中症が疑われるときは飲酒を中止し、意識がはっきりしていて自力で飲める場合に、水やスポーツドリンク、経口補水液などを少しずつ摂ります。飲酒する場合も、飲酒前後や飲酒中に水を補う必要があります。ただし、水を一緒に飲めば熱中症を防げるわけではありません。暑い場所での飲酒や、飲酒後の運動、入浴は身体への負担になるため控えましょう。

水分補給で失敗しないために意識することはありますか?

水分補給は、喉が渇く前からこまめに少しずつ飲むことが基本です。喉の渇きを自覚した時点で、水分が失われ始めている可能性があります。暑い環境の場合は、1時間ごとを目安に休憩し、コップ1杯程度を少しずつ飲む方法もあります。必要な量は気温や湿度、活動量、体格、持病などで異なるため、一律に決めるのではなく、汗の量や尿の回数、体調をみながら調整します。一度に大量に飲むと、吐き気や胃もたれにつながることがあります。
大量に汗をかいた場合は、水分だけでなく塩分も失われます。長時間の運動や屋外作業では、スポーツドリンクなどで水分と塩分を補い、脱水症状がある場合は経口補水液を用います。水だけを大量に飲み続けるのではなく、発汗量に応じて塩分も補ってください。

編集部まとめ

熱中症の予防や対処は、アルコールや糖分の高い飲料を水分補給の中心にせず、水や麦茶を基本にします。大量に汗をかいたときは、状況に応じてスポーツドリンクや経口補水液を利用しましょう。吐き気や下痢がある場合は、脂っこい料理や生もの、刺激の強い料理を控え、消化しやすいものを少量ずつ摂ります。
意識がおかしい、自力で水分を飲めない、吐いてしまう、身体を冷やしても症状が改善しない場合は、飲食を無理にすすめず、救急車を要請するか病院を受診してください。飲み物や食べ物だけで対処しようとせず、症状に応じて受診を判断することが大切です。

参考文献

『熱中症診療ガイドライン2024』(日本救急医学会)

『熱中症環境保健マニュアル2022』(環境省)