《金髪ピンヒールのトランプ氏最側近》「あなたは私のすべて」と“ラブレター”…いつもそばにいる“人間プリンター”35歳女性からの熱い手紙 2人の関係の本質は背景に「父親の喪失感」か
トランプ大統領の側近として知られるナタリー・ハープ氏(35)をめぐる報道が、ここへきて急増している。
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ハープ氏と言えば、トランプ大統領のそばからほとんど離れず、携帯プリンターを持ち歩き、SNSやニュースから拾った情報を印刷して、大統領に直接手渡す役回りをしている女性として有名だ。ホワイトハウス関係者の間では「ヒューマン・プリンター」(人間印刷機)と呼ばれる。
これだけなら、熱心な側近という話で終わる。ところが最近明らかになったハープ氏の手紙を読むと、事情は違って見えてくる。
日本時間の8月21日、アメリカのリベラル系ニュースメディア『デイリー・ビースト』が、ハープ氏がトランプ氏に送っていた"ラブレター"を報じた。
報じられた手紙は2通で、2023年にトランプ氏がスコットランド、アイルランドを訪れた際にハープ氏が同行した途中か旅のあとに書かれた手紙とされる。当時、ハープ氏は31歳、トランプ氏は76歳だった。実に45歳差──。
手紙のなかでハープ氏は、「あなたは私にとってすべて」「この人生における私の守護者」といった言葉まで記している。
また彼女はトランプ氏に、もし自分がゴルフカートを追って走ったことで恥ずかしい思いをさせたのなら許してほしい、という趣旨の謝罪を書いている。
加えて携帯プリンターを持たずにトランプ氏とゆっくり話せたことを喜び、「ただ美しくいることや、あなたと話をすることだけが仕事のような女性たちをうらやましく思う」という記述もあった。
「不健全なほど…」
ここまで来ると、「忠実な部下」という言葉だけでは説明しにくい。その原点にあるのが、ハープ氏自身が語ってきた「命の恩人」としてのトランプ氏への思いである。ハープ氏は骨がんを患い、既存の治療がうまくいかなかった経験を持つ。2018年、トランプ氏が「ライト・トゥ・トライ法」(未承認治療を試す権利を認める法律)に署名すると、ハープ氏はこの法律によって実験的治療への道が開かれ、自分の人生を取り戻すことができたと語ってきた。
2019年、フォックス・ニュースでその体験を語ったハープ氏。その姿がトランプ氏の目に留まり、2020年には共和党全国大会で演説するまでになった。
一般的な秘書が持つ政治家への忠誠と、命を救ってくれたと信じる人物への忠誠は同じではない。前者には政策や理念という距離がある。後者には「恩」がある。
そこに、もう一つの物語が重なる。ハープ氏の兄、プレストン・ハープ氏は、妹とは政治的にほとんど正反対の場所にいる。妹のトランプ氏への強い傾倒について「不健全なほどの執着」と批判し、2人は現在、疎遠になっている。
ハープ氏はカリフォルニア州のキリスト教系大学、ポイント・ロマ・ナザレン大学を卒業後、リバティー大学でMBAを取得した。公に確認された婚姻歴は、これまでの主要な報道では報じられていない。
では、なぜトランプ氏だったのか。ここで父親の存在が浮かんでくる。ハープ兄妹の父親は2020年に自ら命を絶ったという。プレストン氏によれば、妹は10代のころから歴代大統領に手紙を書くなど、大統領という存在そのものに強い関心を持っていたという。
つまり、トランプ氏だけが突然現れたわけではない。大統領という存在への強い関心が、以前からあったと思われるのだ。父親を失った女性が、自分の命を救ってくれたと信じる大統領のそばにいる。
そして、その大統領から認められることを強く望む。「失望させたくない」と手紙を書く。もちろん、これをもってハープ氏が「父親代わり」を求めていると断定することはできない。それでも、兄が妹のトランプ氏への接近を、失った父親との関係を重ねるような「心理的な旅」と受け止めていることには、考えさせられるものがある。
そして問題は、ハープ氏が大統領のそばにいることだけではない。彼女はニュース記事、SNS、世論調査などを拾い、印刷してトランプ氏に渡す。ゴルフ場でさえ、携帯プリンターを手に大統領のそばにいる。
つまり、大統領が「何を見るか」という情報環境に関わっているのである。ハープ氏は長年、トランプ氏に好意的なニュースやSNS上の情報を印刷して手渡す役割を担ってきたと報じられている。最近の報道では、トランプ氏の情報環境に対する彼女の影響力を問題視する声も、政権内外から出ている。
大統領に忠実な人物がそばにいること自体は問題ではない。問題は、その人物が大統領に何を見せているか、何を見せないのかだろう。
ハープ氏がトランプ氏に求めているものが、政策や政治思想だけではなく、「命の恩人」「自分を認めてくれる人」、そして失った何かを埋めてくれる存在なのだとすれば、2人の関係は単なる上司と部下を超えている。
恩、喪失、承認、忠誠────それらが絡み合っているとすれば、単なる男女の機微な関係として片づけるのは、むしろ本質を見失うのではないか。
そこには、現在のトランプ政治を理解するもう一つの窓がある。大統領に何を見せ、何を聞かせ、誰を近づけるのか。トランプ氏の周囲を見渡すと、政策を決める閣僚や議員だけが権力を持っているわけではない。
大統領の「世界」を形作る人間もまた、権力を持つ。ナタリー・ハープ氏という1人の側近をめぐる物語は、実はそのことを浮かび上がらせているのである。
◆高濱賛(在米ジャーナリスト)
