『ウルトラマン』だけじゃない! 特撮の常識を覆した「円谷プロの挑戦的傑作たち」【秘蔵写真】
1966年に放送が開始した『ウルトラQ』『ウルトラマン』から続く「ウルトラマンシリーズ」は2026年で60周年を迎えた。日本のみならず世界的なヒーローとして、今も第一線で活躍している、ウルトラヒーローたち。
これらの作品を制作した円谷プロは、ウルトラマンシリーズ以外にも多くの傑作特撮ドラマを作っている。
60年の歴史に散りばめられた「傑作特撮ドラマ」について、『テレビマガジン特別編集 ウルトラマンシリーズ60周年記念 全ウルトラマン記録大鑑』を紐解きながら、ウルトラマンシリーズ以外の円谷プロ作品を秘蔵写真とともに紹介しよう。
特撮とアニメが合体! 大迫力の恐竜世界アクション
まず紹介するのは、『恐竜探険隊ボーンフリー』(1976年)と『恐竜大戦争アイゼンボーグ』(1977年)。『ジュラシック・パーク』より15年以上も前に制作された、恐竜の復活した世界を舞台にした、特撮とアニメの合体作品だ。
『ボーンフリー』では地殻変動によって地上に現れた恐竜たちを保護するために活躍するボーンフリー隊を、『アイゼンボーグ』では超能力を得て復活した恐竜帝王ウルルと恐竜軍団と戦う、アイゼン号を操るD戦隊と巨大戦士アイゼンボーを描いている。
両作品とも、人物はアニメで表現されていたが、背景となる恐竜世界や復活した恐竜、正義のスーパーメカ、そしてヒーローのアイゼンボーなどは実写特撮で、大迫力のバトルを繰り広げるのだ。
アニメブームの最中でも、円谷プロの得意とする特撮アクションの魅力を視聴者に伝えたいという思いが、このような挑戦的な作品を生み出したのではないだろうか。
スーパーヒーローではない人間が主人公!?
『怪奇大作戦』(1968年)は、先進科学的なトリックを使う犯罪者などを追う、民間組織SRIを描いた物語だ。犯罪者たちの暗躍やSRIの活躍は特撮を使って表現され、重厚感のあるドラマとともに見どころになっていた。
犯罪者も通常の人間以外に吸血鬼、燐光人間、冷凍人間、水棲人間などのSF的な怪人が登場し、先進的アイテムを使って戦うSRIとの対決シーンは、スーパーヒーローがいないことを感じさせない迫力に満ちたものになっていた。
同じく人間を主人公とした作品に『緊急指令10-4・10-10(テンフォーテンテン)』(1972年)がある。こちらは、当時流行していたCB無線(資格不要の簡易無線)の愛好家グループ「電波特捜隊」による、事件の調査・解決を描いた作品だ。
電波特捜隊が戦う相手は、科学を悪用する犯罪者をはじめ、植物怪獣や巨大地底怪獣、ミイラ怪人、半魚人、原始人、ねずみ怪獣、大なめくじ、さらには宇宙人など多彩なラインナップで、特撮アクションドラマとして型破りな魅力にあふれた作品となっていた。
怪獣ならぬ「快獣」が大暴れ!? その名はブースカ!
『ウルトラマン』と同年に放送が開始された『快獣ブースカ』(1966年)は、一味違ったSFコメディだ。怪獣を生み出そうとした発明好きの大作少年が、ペットのイグアナを特殊栄養食などでパワーアップさせたのが、「快獣」ブースカなのだ。
「身長だいたい2メートル、体重だいたい100キロ」というフワッとした設定が物語るように、大きな目や口が目立つフワモコした姿でチョコマカと動くブースカは、まさに愛らしいの一言!
人語を解し、うれしいときの「バラサバラサ」、怒ったときの「プリプリノキリリンコ」などの「ブースカ語」も楽しい、かわいい「快獣」だ。怪力や飛行能力などの超能力が使える一方で、頭にかぶった「ブー冠(かん)」が取れると能力を失ってしまうなど、キャラクターとしての魅力も満点。
このブースカが、大作少年をはじめとした子供たちとともに、悪い大人や怪獣、妖怪、宇宙人などとドタバタした騒動を繰り広げていく。SFでありながらファンタジーの要素も強く、モノクロ作品ということで視聴のハードルは高いかもしれないが、ぜひ観てほしい作品だ。
正義のヒーローが二次元人? 地底人?
ウルトラマンシリーズ以外にも巨大ヒーローものをいくつも制作している円谷プロだが、その中でも変わった主人公たちを紹介しよう。
まず、父が二次元人、母が地球人という青年・鏡 京太郎が主人公の作品が『ミラーマン』(1971年)だ。
宇宙からのインベーダーと怪獣たちによる侵略にさらされている地球を守るため、京太郎は鏡などの光を反射するものに飛び込むことによって、巨大ヒーローのミラーマンに変身する。
鏡から鏡に瞬間移動したり、光速で走る能力は、二次元人の血を引くヒーローならではのもの。怪獣を相手に多彩な光線技で華麗な戦いを見せてくれる。
ウルトラマンゼロとともに戦う「ウルティメイトフォースゼロ」の一員である、ミラーナイトのオリジンでもあるヒーローだ。
そして、地底人でありながら人間のために戦ってくれるヒーローが活躍する作品が『ファイヤーマン』(1973年)だ。
地底人のスーパーヒーローといえば、ウルトラマンギンガと共に戦ったウルトラマンビクトリーも地底人が変身していたが、ビクトリーの登場の40年前に偉大な先輩が活躍していたのだ。
1万1500年前に海底に沈んだアバン大陸の住人は地底で暮らしていたが、地上に怪獣が出現することを知り、その危機を救うためにファイヤーマンに変身することができる青年・ミサキーを送り込む。
ミサキーはマグマエネルギーにより巨大ヒーローのファイヤーマンに変身、次々と現れる怪獣たちを、ファイヤーフラッシュやファイヤーダッシュなどの炎のパワーを使った技で倒していくのだ。ファイヤーマンも、「ウルティメイトフォースゼロ」の一員であるグレンファイヤーのオリジンであるヒーローだ。
あくなき挑戦 円谷プロの特撮の真髄
幼い頃に胸を躍らせたウルトラヒーローたちと並び、僕らを魅了し、時には鮮烈な衝撃を与えてくれた数々の名作たち。時代が変わっても色褪せないその革新的なアクションや独創的な世界観は、今なお特撮ファンの心をつかんで放さない。
60周年という節目の年に登場した『テレビマガジン特別編集 ウルトラマンシリーズ60周年記念 全ウルトラマン記録大鑑』は、こうした円谷プロが誇る多彩な名作たちの歴史をも凝縮した、宝箱のような至極のアーカイブだ。
秘蔵写真の数々に想いを馳せながら、今週末は久しぶりに、あの懐かしくも新しい傑作たちの世界へ飛び込んでみてはいかがだろうか。
