FBS福岡放送

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シリーズ「飲酒運転ゼロへ」。福岡市東区の海の中道大橋で、幼いきょうだい3人の命が奪われた飲酒運転事故から、8月25日で20年です。亡くなった3人の母、大沼かおりさんは、消えることのない“あの日の記憶”と向き合いながら、去年から命の尊さを伝える講演活動を始めました。一歩を踏み出した母を支えるのは、事故のあとに授かった4人の子どもたちです。

■大沼かおりさん(49)
「ひまわりのような子どもたちで。本当にいつもニコニコ笑っている3人で、いつも太陽の方をまっすぐに向いている子どもたちで。」

■かおりさん
「20年前の8月25日に、あの時から私の時が止まってしまっているのですが、事故の光景だったり、葬儀のことだったり、火葬場での時間も、今も鮮明に覚えています。」

大沼かおりさん(49)。20年前、飲酒運転の車にわが子3人の命を奪われました。

8月に入って開かれた、亡くなった3人をしのぶ会。事故のあとに生まれた、きょうだい4人の姿もありました。

20年前の8月25日。

かおりさんたち家族5人が乗った車は、福岡市東区の海の中道大橋で、後ろを猛スピードで走っていた飲酒運転の車に追突され、海に転落しました。

4歳の紘彬(ひろあき)くん。3歳の倫彬(ともあき)くん。1歳の紗彬(さあや)ちゃん。

幼い3人の命が奪われました。

かおりさんは深い悲しみの中、事故直後からカメラの前で気丈に訴えていました。

しかし、一部では耳を疑うような中傷が。

『被害者側の居眠り運転について、はっきりさせるべきだ』
飲酒運転してたってホント?』

居眠り運転は、裁判で被告側が持ち出したものでした。

被害者側にも事故の原因があるとするその主張は、判決で否定されています。

そうした中、かおりさんは重度のうつ病を発症し、やがて福岡を離れることになりました。

12年余り、公の場に姿を現すことはありませんでした。

事故から19年がたった去年。

■かおりさん
「こんなことで、尊い命が絶対に奪われてはいけません。未来が奪われてはいけません。」

かおりさんは福岡に戻り、講演活動を始めました。

“あの日の記憶”と向き合いながら伝える「命の尊さ」。

そんな母に寄り添うのは、ことし春に高校を卒業した18歳の愛子さんです。

■愛子さん
「母の思いが伝わって、その思いを一緒に背負えたらではないですが、母が寄りかかれるような、そんな存在になれたらなって。」

事故のあとに生まれた4人の子どもたち。

■かおりさん
「事故後に授かった子どもが、亡くなった3人の子どもの悲しみを背負わせないで、どれだけ7人の命が尊くていっぱい愛しているよと伝えようか、それを大事に過ごしてきました。」

ことし5月。福岡県古賀市の陶芸工房には、かおりさんと4人の子どもたちの姿がありました。

亡くなった3人の骨つぼを、新たに手作りすることにしたのです。

■かおりさん
「骨つぼを温かいものにして、紘くん、倫くん、紗彬ちゃんの、1歳、3歳、4歳で終わってしまった人生の悲しさを感じながら、命の尊さを感じて、自分の人生を謳歌(おうか)してほしいなと。」

■かおりさん
「寛彬(ひろき)くん、何描いているの?」
■寛彬さん
「ひまわり。」
■愛子さん
「上から見て、ひまわりってするんだ。すごい。」
■かおりさん
「アーティストは違う。」

優しく包み込むように、一人一人、骨つぼに手形を付けました。

■寛彬さん
Q.どうしてひまわりを描こうと?
「だってさ、お似合いだから。優しいと思う。会ったことないけれど、多分優しい。笑顔が。写真を見た時さ、笑顔が一番かわいかったから。喜んだり、うれしいなって思ったらいいな。」

8月15日。みんなで手作りした骨つぼに、紘彬くん、倫彬くん、紗彬ちゃんの遺骨を納めました。

事故から20年。かおりさんは、耐えがたい悲しみの中でたどり着いた胸の内を、静かに打ち明けました。

■かおりさん
火葬場で待たなければならなかった時間は本当に苦しくて、だけど収骨室で待っていた3人の子どもたちからのメッセージは、なんだか力がみなぎってくるような、『ママありがとう、お母さんありがとう』という、ありがとうのメッセージのように聞こえて、すごくなんとも言えない、悲しみだけじゃないあふれる力というかエネルギーを感じたのを今でも覚えています。私だから支えられる人がいるのかな、苦しみの中で寄り添える人がいるのかなと思うと、この悲しみや苦しみも生かされるのかなと思えたのが、やっと20年たった今です。」

■真寛(まひろ)さん
「本当にお母さんに愛されて育ってきていて。」

■ひかりさん
「お兄ちゃんとお姉ちゃんたちに対する気持ちは、これからもずっと消えない。」

■愛子さん
「いつも心の中にいて、いつも見守ってくれていて、いつか母と私たち4人のきょうだいが、紘彬くん、倫彬くん、紗彬ちゃんと天国で笑って会える日が来たら、とても素敵だなって思います。」

飲酒運転のない世の中を目指して。

かおりさんは7人の愛する子どもたちと共に、飾らない言葉で伝えていきたいと思っています。

■かおりさん
「自分が苦しいんだと言うこと自体、罪悪感でいっぱいだったのですが、それを伝えることで、今困っている、苦しみの中にいる人たちの手立てというか、道しるべになればいいな、伴走者になればいいなと思って。少しそういうのも、これから伝えていけたらなと思っています。」

※FBS福岡放送めんたいワイド2026年8月25日午後5時すぎ放送