【特別インタビュー】『I′m donut ? グルテンフリー&ヴィーガン渋谷青山通り』さんへ。アレルギーっ子の息子に人生初のドーナツをありがとう

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「ドーナツって、こんなに美味しいんだ!」息子は驚いたような笑顔でそう言った。ドーナツ。子どもにとっては、ごく当たり前のおやつかもしれない。でも、乳や卵に食物アレルギーがある息子にとって、ドーナツは長い間「食べられない食べ物」の一つだった。そんな息子に、人生で初めてドーナツのおいしさを教えてくれたのが、「I’m donut ? グルテンフリー&ヴィーガン渋谷青山通り」だった。

ドーナツは憧れのおやつだった

街を歩けば、甘い香りが漂ってくる。ショーケースには、色とりどりのドーナツが並ぶ。子どもたちが笑顔で頬張っている。

でも、息子にとってドーナツは、「見て楽しむもの」だった。

卵。

乳。

ドーナツには欠かせない材料が使われていることがほとんどだからだ。もちろん、食べられないことには慣れている。

それでも、「一度くらい食べてみたい」そんな気持ちは、心のどこかにあったと思う。

香ばしさとほろ苦さが重なる、グルテンフリー&ヴィーガンのキャラメルナッツドーナツ

行列の先にあった「みんなと同じ」

『I’m donut ?』は、今や全国から人が集まる生ドーナツ専門店だ。その新しい挑戦として誕生したのが、「グルテンフリー&ヴィーガン渋谷青山通り」。

小麦だけではない。卵も乳も使わない。それでいて「アレルギー対応食品」ではなく、「おいしいドーナツ」として勝負している。

私は、その姿勢にとても惹かれた。

『I’m donut?グルテンフリー&ヴィーガン』外観。常に行列ができている

人生初のドーナツ

息子は、ゆっくりドーナツを口へ運んだ。そして、少し噛んで、目を丸くした。

「ドーナツって、こんなに美味しいんだ!」

その笑顔を見た瞬間、胸がいっぱいになった。

また一つ、「人生で初めて」が増えた。

幸せそうな顔でドーナツを頬張る息子

グルテンフリー&ヴィーガンでも人気のクリームドーナツ「ピスタチオクリーム」。国産米粉を使ったグルテンフリー生地に、植物性素材をベースに仕上げた、なめらかなピスタチオクリームを合わせた

「食べられる」が増えるということ

食物アレルギーがある家庭では、「食べられるものが増える」ことの方が何よりもうれしい。

ドーナツを食べられたことで、友達と同じ話ができる。

「どのドーナツが好き?」そんな何気ない会話にも入れる。一つのお菓子が、子どもの世界を広げてくれる。

「おいしい」が最初にある店

私が感動したのは、アレルギー対応だからではない。店の前には、アレルギーがある人も、そうでない人も、同じように並んでいる。

そして、みんなが「おいしい」を目的に買っている。

ここには、特別扱いがない。それが、とても心地よかった。

なぜ、この店をつくったのだろう

記事を書きながら、気になったことがあった。なぜ、グルテンフリーで、ヴィーガンという、新しい専門店を作ろうと思ったのだろう。

「おいしい」を追求するうえで、一番大切にしていることは何なのだろう。

そこで、『I’m donut ?』の皆さんにお話を伺った。

『I’m donut ?』に聞きました

ーー グルテンフリー&ヴィーガン専門店を立ち上げたきっかけを教えてください。

「きっかけのひとつは、小麦アレルギーなどの理由から『みんなと同じものを楽しめない』というお子さまの声を聞いたことでした。

オーナーシェフの平子自身、子どもの頃に、学校から帰るとテーブルの上にドーナツの箱が置いてあり、それだけで嬉しかったという記憶があります。そうしたワクワクするような食体験を、食に制限のある方にも同じように楽しんでいただきたいという想いから、まず『I’m donut?グルテンフリー』が誕生しました。

そこからさらに、卵や乳製品などの動物性食品を使用しないヴィーガンという選択肢にも広げることで、アレルギーや文化、ライフスタイルなどにかかわらず、より多くの方が同じドーナツを囲み、一緒に『おいしいね』と楽しめる場所をつくりたいと考え、『I’m donut?グルテンフリー&ヴィーガン』を立ち上げました。

『食べられないものがあるから選択肢が限られる』のではなく、それぞれの食のスタイルに寄り添いながら、誰もが自由に“おいしい”を選べることを目指しています」

ーー 「アレルギー対応」ではなく、「おいしいドーナツ」として開発するうえで、一番大切にされたことは何でしょうか。

「一番大切にしたのは、グルテンフリーやヴィーガンであることを前提に味を妥協するのではなく、ひとつのドーナツとして純粋に『おいしい』と感じていただけるものをつくることです。

小麦や卵、乳製品を使わないこと自体をゴールにするのではなく、『I’m donut?』らしい食感や、ひと口食べたときの満足感、素材の香りや甘みまでしっかりと感じられることを大切にしました。

国産米粉を中心とした生地に、カボチャやバナナなどの素材を取り入れながら、水分量や甘みのバランスを細かく調整しています。また、通常は卵や乳製品を使うカスタードクリームも一からレシピを見直し、植物性素材のみで専用のカスタードクリームを開発しました。

『グルテンフリーだから』『ヴィーガンだから』ではなく、そうした背景を知らずに食べても、また食べたいと思っていただけるドーナツであることを大切にしています」

ーー 開発で最も苦労したことを教えてください。

「最も苦労したのは、小麦や卵、乳製品が担っている役割を植物性素材だけで補いながら、『I’m donut?』らしい食感と満足感をつくることです。

特に生地は、小麦を使用しないことで一般的なドーナツとは生地の性質が大きく異なります。そのため、国産米粉をベースに、カボチャやバナナなどを組み合わせ、水分量や甘み、揚げる温度などを細かく調整しながら試作を重ねました。

さらにヴィーガンでは、生地だけではなく、クリームやチョコレート、トッピングまですべて植物性素材で構成する必要があります。例えばカスタードクリームも、卵や乳製品に頼らず、コクやなめらかさ、満足感をどう表現するかを考え、一からレシピを組み立てています。

単に『使わないものを置き換える』のではなく、限られた素材の中からそれぞれの良さを引き出し、『I’m donut?』として納得できるおいしさに仕上げることが、開発における大きな挑戦でした」

ーー お客様から寄せられた印象的な声はありますか。

「乳や卵などのアレルギーをお持ちのお子さまのご家族から、『これまでなかなかドーナツを食べる機会がなかったけれど、初めて一緒に楽しむことができた』『おいしいと喜んで食べてくれた』といったお声をいただいています。

そうしたお声をいただくと、私たちがこのブランドを通して届けたかったのは、単に“食べられる選択肢”を増やすことだけではなく、家族や友人と同じものを選び、一緒に『おいしいね』と楽しめる時間なのだと、改めて感じます。

また、グルテンフリーやヴィーガンを普段意識されていないお客様にも、ひとつのドーナツとして『おいしい』と楽しんでいただけていることも、とても嬉しく感じています」

ーー 食物アレルギーをお持ちの方や、そのご家族へメッセージをお願いします。

「私たちが届けたいのは、『食べられるもの』だけではなく、思わず選びたくなるような『おいしいもの』と、その先にある楽しい食体験です。

ドーナツの箱を開けるときのワクワク感や、どれにしようかと選ぶ時間、家族や友人と一緒に食べて『おいしいね』と笑い合う時間。そうした何気ない食の思い出を、できるだけ多くの方に楽しんでいただけるブランドでありたいと思っています。

これからも、グルテンフリーやヴィーガンという枠だけにとらわれず、『I’m donut?』として『食べたい』と思っていただけるおいしさを追求しながら、食の選択肢を少しずつ広げていきたいと考えています」

『I’m donut?グルテンフリー&ヴィーガン』のドーナツ

【ご案内・注意事項】

※『I’m donut?グルテンフリー&ヴィーガン』の商品は、小麦や、卵・乳などの動物性食品は使用しておりません。また通常店舗とは独立した専用の製造環境でお作りしておりますが、コンタミネーション(微量混入)を完全に排除することは難しいため、アレルギーをお持ちの方などは、あらかじめご了承いただいたうえで、お買い求めください。

勝手に表彰します

今回、我が家が勝手に贈る賞は、「人生初のドーナツ賞」。

受賞企業は、『I’m donut ? グルテンフリー&ヴィーガン 渋谷青山通り』です。

理由は、一人の子どもに「人生で初めてのドーナツ」という忘れられない体験を届けてくださったから。

そして、食物アレルギーがある人もない人も、同じように行列へ並び、同じように「おいしい」と笑える場所を作ってくださったからです。

息子に人生初のドーナツを届けてくださり、本当にありがとうございました。

『I’m donut?グルテンフリー&ヴィーガン』外観

プロフィール/水野正和(みずの・まさかず)

10歳の息子を育てる父親。息子は幼い頃から小麦、卵、乳、そば、ピーナッツ、甲殻類、キウイ、桃などの食物アレルギーがあり、「食べること」と家族で向き合い続けてきた。医師の指導のもと、現在は小麦を食べられるようになるなど、一歩ずつ前進している。

「ありがとう」を伝えたい企業は、案外たくさんある。

この連載「勝手に企業表彰。」では、当事者家族だからこそ出会えた商品やサービス、そして暮らしを少し豊かにしてくれた企業への感謝を、一人の生活者として綴っていく。

【画像】アレルギーっ子でも食べられる美味しいドーナツ! 今人気の『I'm donut?グルテンフリー&ヴィーガン』のドーナツ(6枚)