竹前美結被告(TikTokより)

写真拡大

 なぜ少年たちは後先考えず、甘い囁きに乗り、人生を棒に振る凶行に走ってしまうのかーー。今年5月、栃木県上三川町で女性(69)が殺害された強盗殺人事件の実行犯4人は全員16歳だった。逮捕された少年Aの知人たちの証言を振り返りながら考えてみたい。(2026年5月20日配信した記事を加筆・修正しました)

 ***

【写真】ジャニーズタレントのようなイケメン。少年AがSNSに投稿していた「自撮り映像」

飼い犬までナイフで「口封じ」

 凄惨極まりない犯行だった。5月14日午前9時過ぎ、突然自宅にいたところを少年4人に襲われて殺害された富山英子さん(69)の死因は出血性ショック。致命傷となったのは臓器に達するほど深い胸部への刺し傷だが、それ以外にも20カ所以上に及ぶ刺し傷や打撲痕があった。少年たちは家で飼われていた愛犬までもナイフで首を刺して殺した。

竹前美結被告(TikTokより)

 それでいて計画性のない犯行だった。4人のうちの2人は逃走車に乗れず現場に取り残され、うち一人は犯行の30分後に、緊急配備された警察官によって逮捕。その少年の供述から発生後3日以内に次々と、実行犯全員と現場指示役だった竹前海斗(28)・美結(25)両被告が捕まった。30日には、リクルーター役だった少年も確保。

 現在、逃亡しているのは、首謀者と見られる、事件直後に東南アジアに出国して国際手配中の益田和彦容疑者(48)のみである。

 相模原市内に住む高校2年生だった少年Aの知人は、Aの人となりをこう答えた。

「タバコを吸ってイキがってはいましたが、ガタイは良くないし、とても人を殺めるような子には見えない普通の子。友人に誘われて、深く考えずに参加してしまったのではないか」(地元の知人)

TikTokに残されていた「あどけない素顔」

 Aが犯人ではないかという噂は、事件発生直後から地元で交流のあった仲間たちの間であったという間に広まったという。

「ニュースで繰り返し流されている、防犯カメラに写っていた目出し帽を被った少年の上着が、普段Aが着ていたものとよく似ていたのです」(知人)

 Aは今年からTikTokを利用していたが、投稿は事件を境に途絶えていた。そこには流行歌に乗って、詞を口ずさんだりする自撮り映像が複数投稿されていた。確かに顔はあどけなく、中学生くらいにも見える。Aは事件前、近しい友人にこんな言葉を言い残していた。

「『10万円もらえる仕事が入った』と。その直後、Aと連絡が取れなくなり、今回の事件と関係があるのではないかと噂が広がりました」(同)

 その「仕事」を誘ったとみられているのが、少年Bだ。

「BはAの友人で『大麻をやっている』と周囲に吹聴しているようなワル。彼に誘われて犯行に加わったのではないかと知人の多くが見ています」(同)

事件当日、アプリの位置情報には…

 周囲を愕然とさせたのはAが友人らと使っていた「whoo」という若者たちの間で利用されているSNSアプリだった。リンクしている友人に今どこにいるかの位置情報が共有される機能があるのだが、

「まさに事件当日、Aは栃木県の現場付近にいたと表示されていたというのです」(同)

 Aは高校に通いながら、週3日程度、地元の小売店でアルバイトをしていた。パート従業員はこう証言した。

「事件当日は事前に休むと言って休んだらしいのですが、翌日は無断欠勤でした。それで店長が『もうアイツはクビだ』と騒いでいた」

 店の同僚によれば、働き始めたのは今年3月くらいからで、週3日程度。日配食品を店の中に運び入れたり陳列する仕事で、時給は1200円程度だった。勤務態度は芳しくなかった。

「動きが悪いんです。みんなで力を合わせて大きな荷物を運び入れなければならない作業があるんですが、彼だけぼうっとして自分の仕事を続けているんですよ。一生懸命さがまるでない。挨拶も向こうからは一切しないし、こちらから“おはよう”と呼びかけると面倒くさそうに返してくる感じです」(パート従業員)

休憩室の中で堂々とタバコ

 しかも働き始めて1カ月もしないうちに問題行動を起こしていた。

「休憩室の中でタバコをふかしていたのです。隠れることもなく堂々と」(同)

 すぐさまパートの一人が見咎めて注意したが、返ってきたのはとんでもない言い訳だった。

「『お母さんから店長に許可取ればいいって言われています』と言い返したのです。仮に家では許されていたとしても、店長がOKするなんてありえない話。当然、すぐに店長にも報告され、“次やったらクビだ”とこっぴどく叱られていました」(同)

 そんな最中、事件が発生したのである。

「発生日の14日はちゃんと連絡を入れて休みを取ったらしいのですが、翌15日はシフトに入っていたのに無断欠勤。店長は“タバコの件もあるからもうクビだ”と激怒していた。最初のうちは、『ニュースで捕まったと報じられている相模原市の16歳少年って、もしかしたらA君かもね』とみんな冗談で語り合っていたのですが…。店には母親から連日、『うちの子と連絡が取れないのですが、そちらに出勤していないですか』と心配する電話が入っていたとも聞いています」(同)

 実行犯の4少年は家庭裁判所から検察官送致され(逆送)、7月末までに2少年が強盗殺人などの罪で起訴された。彼らは自分たちが犯した取り返しのつかない罪について法廷でどのように語るのだろうかーー。

 関連記事【こんな甘い処分で少年たちの暴走を止められるのか…“バールで頭を殴打”の強盗事件を起こした17歳が「逆送なし」で少年院に 79歳被害者の思い】では、同じ強盗でも「致傷」で済んだ事件で、17歳容疑者に「逆送なし」の処分を下した家裁の判断について詳報している。

デイリー新潮編集部