重蔵神社前に集合したキリコ(23日、輪島市で)=桐山弘太撮影

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 能登半島地震と豪雨災害で被害の大きかった能登各地で、伝統行事「キリコ祭り」の復興が本格化している。

 23日に石川県輪島市で開催された重蔵神社大祭では、修繕や新調されたキリコが、地震前と同規模で巡行した。ボランティアを活用したり、地区外へキリコを譲渡したりして伝統をつなぐ一方、ボランティアの受け入れ態勢といった課題もある。(宮本悠希)

 「イヤトコヤッセー!」。23日夕、輪島市の重蔵神社の夏季大祭(重蔵神社大祭)。若衆らがキリコを担ぎながら威勢良くかけ声を上げると、会場は熱気に包まれた。祭りは市中心部の夏祭り「輪島大祭」の一つで、例年約20基のキリコが巡行するなど市内最大規模を誇る。

 昨年は地震の影響で約15基にとどまったが、今年はキリコの修繕や住民の生活再建が進み、地震前と同水準の20基が練り歩いた。

 その中には、新調されたキリコもあった。地域住民らでつくる「智翔会」が所有するキリコが地震による火災で焼失したことから、国の補助金を活用して製作。同会には地震で家族を失った会員もおり、「地域のつながりが戻るように」と思いを込めたという。

 祭りは夜まで続いた。市内の自宅が地震で中規模半壊となり、金沢市のみなし仮設住宅に住む男性(57)は「3年ぶりの参加となり、待ちに待っていたのでうれしい」と笑顔を見せた。

 地震によるキリコへの被害や担い手不足で祭りを存続できない地域では、地区外にキリコを継承したケースもある。

 輪島市町野町の井面地区は、地震前から人手不足で祭りを開催できず、地震でキリコを保管していた神社が全壊した。キリコは無事だったものの、保管場所に困っていた。

 そんなとき、新潟県小千谷市の有志から打診を受け、地区のキリコと神輿(みこし)を譲渡。昨年10月に同市で開催されたイベントにキリコが登場した。伊東英次朗区長(65)は「思いを継いで皆さんで担いでもらって感激した」と話す。

 人口減少が加速する能登地域では、ボランティアの支援が祭り復興への後押しとなっている。

 キリコの担ぎ手や運営補助を担うボランティアを派遣する「祭りお助け隊」は、県が事務局となり、参加希望者と実施団体を仲介する。県によると、昨年は県内外から計約450人が派遣された。

 だが、ボランティアの宿泊場所が確保できないなど、受け入れ態勢が整っていないことにより、縮小開催を余儀なくされるケースもある。重蔵神社大祭では、学生を含むボランティア約150人が参加したが、宿泊場所が輪島市内に少ないことから、例年の深夜までの実施から午後9時頃までとした。

 重蔵神社禰宜(ねぎ)の能門亜由子さん(50)は「比較的住民の生活が落ちついてきた一方で、神社の施設再建や宿泊施設の再開など課題も残っている」と話す。