友達にたかられて「親の財布から金を抜く」…“小学生あるある”かもしれないが、立派な「窃盗」だ(写真はイメージです)

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 夏休みに、子どもがマネートラブルに見舞われる家庭は多い。とくに近年はスマホ利用の低年齢化によって、「おこづかいの使いすぎ」では済まないレベルのトラブルがデジタル空間でも起きるようになっている。今回は、3つの典型的な事例をもとに、その傾向と対策を、子どもの金銭教育に詳しいFPの八木陽子さんに聞いた。

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【case1】 ゲーム課金に「気づいたら数万円」

 中学1年生のA君は、夏休みに入って友人たちとアクションRPGに夢中になった。「無料でも遊べるし、安いスマホでもサクサク動くから」と始めたが、8月に始まった期間限定の人気アニメとのコラボ企画のとりこに。限定キャラがどうしてもほしくなり、「今しかチャンスがない」と課金してしまった。

友達にたかられて「親の財布から金を抜く」…“小学生あるある”かもしれないが、立派な「窃盗」だ(写真はイメージです)

 最初はおこづかい5000円でGoogle Play ギフトカードをコンビニで購入し、課金した。しかしガチャを回すもほしいキャラが出ず、あっという間に資金を溶かしてしまった。その後、「1回だけだから」とこっそり母親のスマホを開き、保存してあるクレジットカード情報を使って5万円分課金した。

 幸いにも母親が決済完了通知メールに気づき、それ以上の課金は止めさせることができたが、「いつの間にパスワードを知られていたのか……」と、端末や決済まわりの管理を見直すことになってしまった。

【FPが助言】ゲーム課金は「予算」と「決済」を親が管理して

「まず、ゲームに課金する月間または年間の予算を、親子で一緒に決めるようにしましょう。ただ、『お年玉の一部を年間のゲーム代として渡したのに、夏休みだけで全額使い切ってしまった』という相談は非常に多く、子ども自身に管理させるのはなかなか難しいものです。特にガチャは、『あと1回だけ』と続けてしまいやすい。予算を決めたら、それ以上は使えない仕組みにしておくことが大切です」(八木さん、以下同)

 また、スマートフォンでの課金は、画面上のボタンをタップするだけで決済できるため、子どもにとっては「親のお金が実際に引き落とされている」という感覚を持ちにくい。親のクレジットカード情報が登録された端末を子どもに使わせたり、親のアカウントにログインしたままにしたりするのは避けたい。

「スマホ本体や暗証番号を親が管理することに加え、アプリ内課金は購入の都度、親の承認が必要になる設定にしておくこと。決済通知が届くようにして、利用履歴をこまめに確認することも重要です」

 そのうえで、課金した金額を「ゲームの中のお金」ではなく、実際の現金に置き換えて考えさせることも大切だという。

「『5000円あれば何が買えるのか』『そのお金をゲームに使うことで何を諦めるのか』まで親子で話してみてください。単に課金を禁止するのではなく、お金を使う判断力を身につけさせることが金銭教育につながります」

【case2】友だちとの貸し借りで「返して」と言えず

 小学6年生のB君は、友人3人と大型ショッピングモールへ遊びに行った。フードコートやゲームコーナーで遊んでいる際、小遣いが足りなくなった友人から「お昼代とゲーム代を出してよ」と頼まれ、断り切れずに2000円を支払った。後日、返金を求めたが「貸してとは言ってない」「今はお金がない」とはぐらかされる。叱られるのを恐れたB君は親に相談できずに一人で抱え込むことに。そんなことが2回ほど続いた。

 その後、B君のお小遣いが底をつき、親の財布から現金を持ち出したことで、事態が発覚することとなった。

【FPが助言】ルールを決める一方で、相談しやすい親子関係を

「『今日はお金がないからおごってよ』と頼まれ、断りきれずにおごってしまうといった金銭トラブルは日常的にありますが、友だち同士で出かける機会が増える夏休みは、とくによく起こりがちなんです」

 友だちとの関係を壊したくない……、そんな心理から「おごり・おごられ」という形で金銭のやり取りが発生することが少なからずある。まずは親子で「お金の貸し借りはしない」「もし友人やその親にごちそうされたら、その日のうちに必ず報告する」といったルールを決め、折にふれ確認しておくことが必要だ。

 親への後ろめたさから金銭トラブルを隠し、事態が長期化・深刻化することもままある。

「親が頭ごなしに怒ると子どもは隠蔽してしまいます。『お金の貸し借りは仲良しの友達ともトラブルになる原因だから、お金が足りないときはママやパパに相談してね』『困ったことが起きたらすぐに話してね』と日頃から対話できる土壌を作っておくことが大切です」

 また、子どもには「お金を貸して」と言われたときの断り方まで教えておくといい。

「『ごめんね、うちは友達同士でお金の貸し借りはしないことになっているから』など、あらかじめ言葉を決めておけば、いざというときにも断りやすくなります」

【case3】ポイ活や通販トラブル:「コスパ」の甘い罠

 高校1年生のCさんは、校則にしばられずに好きにおしゃれができる夏休みが来るのを今か今かと待っていた。だが、お小遣いだけでは化粧品を買うお金が足りない。ある時「すきま時間にアンケートに答えるだけでおこづかいが稼げる」とSNSで知り、ポイ活に熱中。しかし手間の割にはポイントが貯まらない。不満を募らせていたところ見つけたのが、「初回1100円で試せるニキビケア化粧品」というSNS広告だった。「1100円なら自分のおこづかいで払える」と親に無断で申し込んだが、実は数カ月の継続利用が条件となる定期購入契約だった。翌月に7800円の請求とともに2回目の商品が届き、Cさんはパニックに陥った。

【FPが助言】コスト感覚の行き過ぎに注意

「金融教育が盛んになってきたのはいいのですが、一方で、コスト感覚を追求しすぎて“守銭奴”モードになっている子どもが目立つようになってきました。中高生の中には、少ないお小遣いを穴埋めするためにポイ活にはまり、通学電車の中でアンケートに答えたり、広告をせっせと視聴して必死にポイントを稼いだりして『ポイ活疲れ』を起こす子もいるほどです」

 ポイ活そのものが悪いわけではない。ただ、お金を少しでも得ようとする気持ちが強くなりすぎると、「簡単に稼げる」「初回だけ格安」といった甘い言葉に引き寄せられ、結果的に大きな出費につながることもある。

「『無料』『稼げる』『初回格安』などの言葉が出てきたら、申し込む前に必ず親に見せるように伝えてください。また、個人情報やクレジットカード番号、決済アカウントなどを親の同意なしに入力しないこと。サブスクリプションやお試し購入では、解約条件や継続時の料金を親子で確認する習慣をつけましょう」

 そして大切なのは、子どもに「安ければ安いほどいい」と教えないことだという。

「お金を大切にすることと、目先の『お得』に飛びつくことは違います。『安いから買う』のではなく、『本当に必要なのか』『その後もお金を払い続けることにならないか』まで考えてから使う。そうした習慣を身につけることが、将来の金銭トラブルを防ぐことにつながります」

「お金について話し合うことは、子どもを疑ったり縛ったりするためではなく、社会の罠から子ども自身を守り、将来の自立を促すためのサポートです」と八木さんはまとめる。親子でこの夏のお金の使い方を振り返り、お金と向き合う時間を持ちたい。

※プライバシー保護のため、記事中の事例は、具体的な状況の一部を変更しています。

八木陽子(やぎ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)。キャリアカウンセラー。株式会社イー・カンパニー代表。2001年に独立。全国の小・中・高等学校での金銭教育や、教育費に悩む保護者へのコンサルティングを数多く手がける。著書に『10歳から知っておきたいお金の心得〜大切なのは、稼ぎ方・使い方・考え方』など多数。

デイリー新潮編集部