問題は特典ではない。特典の力が、映画の力を超えることだ。作品が主役で、特典はもう一度会いに行く理由。その順番さえ間違えなければいいと僕は思う。入り口がグッズでも、出口で作品をもっと好きになっていれば、それは十分健全なヒットだ。そして『ちいかわ』には、劇場の空気を変える力があった。

この映画の大ヒットにより、「ちいかわ」のステージがポケモンなみになっていく気がする。あのチャームやシールを、映画を見た記憶と一緒に持ち帰ること、それこそが転売では得られない価値なのだ。

<文/鈴木おさむ

鈴木おさむ
すずきおさむ●スタートアップファクトリー代表 1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家となり、その後32年間、さまざまなコンテンツを生み出す。現在はスタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行っている