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 ◇第108回全国高校野球選手権第13日 準々決勝 横浜6―0花巻東(2026年8月18日 甲子園)

 今秋ドラフト1位候補に挙がる横浜(神奈川)の織田翔希投手(3年)が18日、花巻東(岩手)との準々決勝に先発し、7安打無失点、10奪三振で完封勝利をマークした。08年以来18年ぶりの4強入りを決め、17日に亡くなった元監督の渡辺元智さん(享年81)に勝利をささげた。

 名将が思い描いた大怪物ぶりだった。9回2死、カウント2―2。織田が投じた119球目の直球はわずかに外れるも156キロをマーク。自身の持つ春夏甲子園最速タイだが、歓声はない。この試合7度目の156キロに新鮮さはなく、感嘆の声が銀傘に跳ね返った。

 「本当にこの試合を勝ち切ることができて凄くうれしい。初回から視野を広く持ちながらバッターと対決することができた」

 負けられない一戦だった。17日に渡辺さんが亡くなったことを知り「凄くショックだったんですけど、勝って恩返しがしたかった」。昨夏敗れた準々決勝で花巻東相手に123球で聖地3度目の完封勝利。直球は61球中49球が150キロ以上の異次元球威。平均球速は霞ケ浦との3回戦より2・2キロ速い152・1キロだった。試合後に並んで立ったお立ち台で、渡辺さんの教え子だった村田浩明監督が号泣。「勝たせることができて良かった」と神妙な表情で言った。

 08年生まれで渡辺さんが指揮した横浜の黄金時代を知らない。映像も見たことはなく「おじいちゃんのような感じ」と慕ってきた。5度の日本一に導いた名将からはグラウンドで幾度も指導を受け「視野を広く」の助言を常に実践。この日も青い空と白い雲を何度も見上げる姿があった。

 渡辺さんは98年甲子園で春夏連覇を達成し、エースの松坂大輔氏は「平成の怪物」の異名を取った。今大会で甲子園大会の最速を更新し「令和の大怪物」になった織田を1年時から高く評価。今年1月には「これから松坂を超えるかも分からん」「あと10年たったら大谷(翔平)になれるかも」と期待していた。初戦の沖縄尚学戦の直前に宿舎で村田監督のスマホを介して「頑張れ」と励まされた会話が最後になった。

 ドジャース・大谷が礎を築いた花巻東を封じた聖地9勝目。試合後、アルプス席への勝利のあいさつを終えると、村田監督が「空を見よう」とナインに呼びかけた。「優勝して恩返ししたい」と青空に誓った織田。98年以来の夏日本一まで2勝。織田が2勝を挙げれば、松坂氏の同校最多の甲子園11勝に並ぶ。(柳内 遼平)