更年期女性は要注意!『1分階段上り』『朝バナナ』『寝過ぎない』突然死を遠ざける「命を守る」3つの習慣
突然死は、高齢者だけのものではない。更年期は女性ホルモンの減少によって血管や心臓疾患のリスクが高まり始める時期でもある。だからこそ、毎日の小さな習慣の積み重ねが大切だ。今日から無理なく続けられる「命を守る習慣」を、医師・歌島大輔先生が教えてくれた。
閉経すると突然死のリスクが一気に上がる
それまで元気だった人が、急に倒れて亡くなってしまう突然死。医学的には症状が出てから24時間以内に予期せず亡くなることを指し、その多くは発症から1時間以内に死に至る。
「突然死は、何の前触れもなく起こる運の悪い事故だと思われがちですが、表に症状が出るのは突然でも、病気の土台は何年もかけて体内で静かにつくられているのです」
そう話すのは、整形外科医の歌島大輔先生。
「突然死の8〜9割は、心臓や脳の血管が原因で起こります。加齢とともに血管の弾力性が失われて動脈硬化を起こしやすい状態になることで、血流が滞り、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります」(歌島先生、以下同)
注意が必要なのは心臓病や糖尿病、高血圧の持病がある人だけではない。右下の囲みのように、ついやってしまいがちな日々の習慣が、健康に悪影響を与えている場合もあるのだ。
「健康診断で大きな病気を指摘されていないからと油断している人も要注意。健康に自信がある人ほど見過ごしがちな、運動不足、睡眠不足、ストレス、食べすぎや飲みすぎ、喫煙といった生活習慣の乱れが、少しずつ血管を傷つけ、血圧を上げ、心臓に負担をかけているのです」
突然死で亡くなる人は50代から増えはじめ、60代、70代と年齢が上がるにつれてさらに増加する。女性は男性に比べて心臓や血管系の病気のリスクは低いが、閉経期以降は注意が必要だ。
「閉経前後から、血管拡張やコレステロールの代謝をよくする女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少します。閉経すると、この恩恵が受けられなくなるため、突然死のリスクが一気に上がってしまいます」
歌島先生が重視するのは、血管にダメージを与えるような生活習慣の改善。
「まずは、食事、運動、睡眠という生活の三本柱を見直してみましょう」
女性には意識的に運動習慣を取り入れてほしいと歌島先生は話す。
「年齢とともに運動量が減少していると実感している人も多いはず。わざわざジムに行かなくても、まずは日々の生活の中に、1回1〜2分間の息が弾む程度の動きをちりばめる“ながら運動”を取り入れてみるのがおすすめです」
突然死を防ぐ『階段スナック』とは
ながら運動とは、歯磨きや食器洗いをしながらつま先立ちでかかとの上げ下げをしたり、普段より少し大股で歩きながら腕を大きく振ったりして、仕事や家事など日常生活の中で行う動作に少し負荷をかけること。日常生活に組み合わせることで、習慣化しやすいのも利点のひとつ。
「少しきつめの日常動作を1日に合計3〜4分取り入れている人は、心血管疾患による死亡リスクが、何もやっていない人より約3割低いという報告もあります」
目安は、息は弾むけれど、短い返事ならできる程度。最低でも1分行うと効果につながりやすい。
「最も効率がいいのは『階段スナック』と呼ばれる運動。階段60段を早いペースで上るこの運動を1日3回、週3回、6週間続けたところ、息切れしやすさが改善したという研究結果が出ているんです。
ただし、いきなり全力で行うと心臓と脳に負担がかかり逆効果なので、まずは7〜8割の力で始めてください。1分間のうち、最初の10秒はゆっくり行い、最後の10秒でクールダウンすることを意識しましょう」
身体だけでなく、心の状態を穏やかに保つことも突然死の予防につながる。
「強い不安やうつ症状があると自律神経のバランスが崩れ、身体を活動モードにする交感神経が過剰に優位になります。その状態が長期化すると心拍数や血圧が高めに維持され、心血管疾患のリスクが高まります」
気づきづらく、我慢してしまいがちな心の不調だが、気分の落ち込みや不眠などの症状が2週間以上続く場合は、かかりつけ医や心療内科、精神科の受診を。
「突然死の予防で大切なのは、特別な健康法や話題の治療法ではありません。世の中には多種多様な健康の情報があふれていて、インパクトがあるものもたくさんありますが、ぜひ信頼できる情報を見極めてほしいと思います。
最低限、論文引用があるかどうかは確認してください。まずは自分の生活習慣を見直し、その上で、医学的に信頼できる情報に基づいた方法の中から、自分にできそうなことを一つでも取り入れ、継続することが大切です」
うっかりやりがち!突然死を招く危ない習慣
●朝ごはんを食べない
→心臓と血管に負担
朝食は血糖や血圧、ホルモン分泌のスイッチ。食べないとドカ食いや不規則な食生活に陥りやすくなり、血糖値や中性脂肪が乱高下して、血管がボロボロに。朝は食欲がなくても、バナナ1本+牛乳などの一口朝食を意識的に。
●座っている時間が長い
→心筋梗塞や脳梗塞の原因に
日常生活の中にもエコノミークラス症候群のリスクは潜んでいる。ソファに座ったまま長時間テレビやPCを見続けると、その間ふくらはぎの筋肉はほとんど動かず、足の静脈の血流がよどみ、血栓ができやすくなる。必ず30〜60分に1回は立ち上がる、水を飲むなどを習慣に。
●長時間寝る
→就寝中の突然死リスク上昇
寝不足は悪、たっぷり寝ると健康にいいと思われがちだが、9時間を超える睡眠時間が必要な人は、睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れている可能性が。無呼吸の回数が増えると就寝中の突然死のリスクが上がる。放置せずに睡眠外来や呼吸器内科の受診を。
今日から始める突然死を避ける新習慣
●食事:週2回、青魚を食べる
サバやイワシなどの青魚に含まれるEPAやDHAは、血管や脳の細胞膜の材料になる良質な脂。中性脂肪を減らし、血管の炎症や血栓ができやすくなる反応を抑える働きがある。1回の摂取の目安は、刺身なら1パック、切り身は手のひらサイズ1枚程度。
また、ベーコンやハムなどの加工肉は塩分や保存料が多いため、青魚、鶏肉、豆腐などに置き換えるのがおすすめ。血流改善や血管の炎症が抑えられ、塩分の摂取量も減らすことができる
●運動:1日7000歩ウォーキング
日常生活内で行う“ながら運動”に加えて、歩くことを意識すると、突然死のリスクが下げられる。目標は1日7000〜8000歩。まずは、スマホアプリなどで直近1週間の自分の平均歩数を確認し、今の歩数+1000歩を目標に段階的に歩数を増やそう。
●睡眠:睡眠サイクルを一定に
健康のための理想の睡眠時間は7〜8時間だが、これより多少短くても、日々の起床と就寝の時刻を同じにできれば、体内時計が整い睡眠の質が上がる。まずは起床時間を固定してみよう。
取材・文/伊藤淳子
歌島大輔先生 整形外科医。フリーランスとして複数の病院で診療・手術を行う傍ら、SNSでの情報発信にも力を入れている。近著に『科学的に証明された 突然死を招く習慣・長生きする習慣』(高橋書店)。※今回掲載した記事はさまざまな論文をもとに書かれています。各論文については歌島先生の著書『科学的に証明された 突然死を招く習慣・長生きする習慣』(高橋書店)をご覧ください。
週刊女性2026年8月18日・25日号
