〈高市人事の爆弾〉「萩生田幹事長」案が急浮上のウラ…麻生太郎氏の義弟を外せば総裁選に暗雲、“裏金”再燃の懸念も

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高市早苗首相が9月にも実施する方向で検討を進めている内閣改造・党役員人事。大きな焦点は、現在、麻生太郎副総裁の義弟・鈴木俊一氏が務める幹事長ポストの行方だ。ここに来て高市首相と近い萩生田光一幹事長代行を幹事長に昇格させる案もささやかれているが、1年後に総裁選を控える高市首相にとって、この案は諸刃の剣ともなりそうだ。

【画像】萩生田幹事長案は“黒ビキニ報道”で話題になったライバルも「気に入らない」

ほとんど議員不在の永田町でも、どこからともなく流れる「萩生田幹事長」案

お盆期間中も夏休みをとらず、官邸や公邸で過ごす高市首相。熊本地震や千葉県の大雨への対応に追われるが、その中でも内閣改造・党役員人事の構想を練っているとみられる。

「当初、お盆明けにも実施の可能性があるとみられていた内閣改造・党役員人事ですが、熊本地震の対応もあり、9月に実施されると噂されています。

ただ、高市首相は記者からの問い合わせにもほとんど応じず、本音を話す側近もごくわずかのため、永田町に流れる人事構想は、あくまで推測の域を出ないものです」(自民関係者)

お盆休みでほとんど議員がいない永田町だが、人事構想はどこからともなく飛び交う。その中でも具体的な名前がポジションとともに挙がっているのが、鈴木幹事長を交代させ、萩生田幹事長代行を後任に据えるという案だ。

鈴木氏は鈴木善幸元首相を父にもつ、麻生太郎副総裁の義弟。温厚で敵を作らない、と評判だ。

「とくに五輪担当相のころなど、今ほど注目されていなかったときは、官僚や記者たちとともに食事をすることも多く、周囲に気を遣う性格で、慕われていました」(全国紙政治部記者)

そんな鈴木氏だが、高市首相との関係は必ずしもうまくいっていない。

2人の溝があらわになったのは、今年1月、高市首相が衆院を解散するとの意向が読売新聞で報道されたときだ。

記者から問い合わせを受けた鈴木氏は「何も聞いてない」と怒りをあらわにし、「幹事長があそこまで怒るというのは、ポーズではなく、本当に聞いていないのだろう。高市首相は解散できないのでは」(全国紙政治部記者)とささやかれたのだった。

麻生氏・鈴木氏と溝ができた高市首相

衆院で自民が大勝した後も高市首相と鈴木氏のぎくしゃくした距離感は変わらなかった。

国会中は、鈴木氏の後ろ盾である麻生氏が悲願とする皇室典範改正が優先され、高市首相が重視する維新肝いりの定数削減法案の成立は見送りとなるなど、高市首相の意のままの国会運営とはいかなかった。

ある自民ベテランは「高市首相は、総裁選で自分を勝たせてくれた麻生氏の意向で鈴木氏を幹事長にしたものの、官邸と党のコミュニケーションが全然とれていない。本来はどの法案をどの程度優先するか、どういった順番・スケジュールで進めるか、といったことを官邸と党ですり合わせないといけないのに」とぼやく。

高市首相は、鈴木氏に加え、鈴木氏の後ろ盾・麻生氏との関係にも溝が生じつつある。麻生氏の悲願とされる国民民主の連立取り込みは、「高市首相が維新に気を遣うあまり、定数削減法案を進めようとしたことで国民民主と距離ができた。今の状況では国民民主の連立入りは無理だろう」(国民民主関係者)という状況だ。

こうした状況で鈴木氏を幹事長から外せば、麻生氏がよく思わないことは必至。麻生氏と萩生田氏の関係は良好だが、鈴木氏を外すと、高市首相は来年の総裁選に向けて麻生派の支援を取り付けられなくなる可能性も出てくる。

そうしたリスクを承知のうえで、高市首相が「お気に入り」の萩生田氏を幹事長に登用するかどうかが焦点だ。

「裏金」問題が再燃か…早期報道には「萩生田つぶし」の意図も?

萩生田氏を幹事長に就けることのもう一つのリスクが、裏金問題の再燃だ。

「一般的にはあまりニュースで目にすることの少ない幹事長代行から、会見などの機会が多い幹事長に就くと、再び裏金問題を想起させてしまう。来年4月の統一地方選を前に『裏金』を有権者に思い出させてしまうのは困る」(自民地方議員)などの反発もある。

そのため、「萩生田氏をよく思わない勢力が、萩生田幹事長案を『つぶす』ために、あえてこの案をメディアに書かせたのでは」(自民関係者)との見方も浮上している。

さらに、萩生田氏を幹事長に抜擢した場合、復権しつつある「安倍派5人衆」のパワーバランスが微妙に変わりそうなことも、高市首相の今後の総裁選戦略に影響するかもしれない。

5人衆は裏金問題発覚以降、しばらく要職から外れていたが、高市内閣発足後、萩生田氏が幹事長代行、西村康稔氏が選挙対策委員長、松野博一氏が組織運動本部長、といったように、党幹部として復権しつつある。特に萩生田氏にライバル意識を燃やすのが、当選回数の近い西村氏だ。

「第二次安倍政権下で、西村氏は萩生田氏が官房副長官を務めた直後にその職に就き、岸田政権では、萩生田氏が務めていた経産相を引き継ぐ形で経産相に就任。萩生田氏へのライバル意識を燃やし、安倍氏も政府や党、派閥の人事にあたって『どちらかを重用しすぎないように気を遣わないといけない』と語っていたほどでした」(自民関係者)

そうした2人のライバル関係もあり、高市首相が萩生田氏を引き立てれば、西村氏にとっては面白くないというのだ。

「高市首相としては、総裁選を前に余計な反発を招くと『反高市』に回られる恐れも考慮する必要があります。裏金問題再燃や出世レースの観点から『萩生田幹事長案』を気に入らない勢力がいるなか、それでも萩生田氏を幹事長に据えることができるかが焦点です」(全国紙政治部記者)

人事には恨みがつきものだが、総裁選を1年後に控えた今、高市首相は大きな恨みを買ってでも自身のカラーを色濃く反映した人事ができるか。自らの再選のために、なるべく波風を立てない人選をするか。あと1ヶ月ほど、官邸と公邸にこもっての思案の日々が続きそうだ。

取材・文/ 集英社オンライン編集部ニュース班