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 歌舞伎俳優の市川團十郎(48)が、新之助(13)、ぼたん(15)と親子3人で初の全国巡業公演「伝承への道」に挑む。21日の石川・金沢歌劇座公演を皮切りに、全国6カ所で11公演を行う。巡業を前に本紙の取材に応じ、團十郎は「伝統に流れる時間の中で伝えていくこと、成長していくこと、そして私は見守っていくことが一つのテーマになる」と思いを語った。

 7月には東京・歌舞伎座で新歌舞伎十八番の一つ「春興鏡獅子」を親子3人で務め上げた。1月にも新橋演舞場でも上演された演目。團十郎は「2人が1月よりも精神的に疲れたと言えるのは、歌舞伎俳優にしか分からない濃厚で密な時間に片足を突っ込み出したのかなと思う」と子供の成長を喜んだ。

 大役を全うした後の巡業では、舞踊演目をそろえた。「鶴亀」、「執着獅子(しゅうじゃくじし)」、「羽根の禿(かむろ)」、「供奴」の4演目。中国の新春の節会を描く「鶴亀」は3人で踊る。團十郎は「鶴亀は事始めの祝儀舞踊でもある。何かを始めることと、巡業の事始めの雰囲気をかけて選んだ」と説明。鶴亀から3人の新たな歩みが始まっていく。

 新之助は「羽根の禿」「供奴」を、ぼたんは「執着獅子」を一人で踊る。新之助には女形の基礎と足拍子、ぼたんには毛振りの習得を期待しているという。巡業を通じて、子供たちは舞踊の基礎とさまざまな客席の空気をつかむ感覚を学んでいく。

 新之助は「一人で踊るのは結構久しぶりなので、気合を入れないといけない」と意気込む。ぼたんも「毛振りだけでなく口説きもある。細かいところを初日までに、自分の思い描くような踊りができたら」と受け止めている。

 團十郎は「楽しめばいいかなと思っています。難しいことも当然ある。でも各地に行く中で、日常では味わえないようなその時間軸を楽しみながら課題が見えてくると思う」と話し、そんな2人を温かく見守っていく。

 3人で初めて全国を巡る。ぼたんは「家族で舞台に立てるのは本当にうれしいこと。母も見守っていると思います」と2017年に亡くなった母・小林麻央さんにも思いをはせた。親子の舞踊を通じて、成田屋は技芸と絆をより深めていく。(前田 拓磨)