残業100時間がゼロに!26人の「AI社員」を無料で雇い、副業で月80万稼ぐ37歳会社員の逆転劇
毎日AIに触れているのに成果が出ない人との違いとは何か。1年半でゼロフォロワーから5万人を超えた、えーたんさんのXアカウントが話題だ。
マーケティングも、法務も、経理も、すべてAIが担当する。生成AIの進化により、たった1人でも会社のような体制を持てる時代が近づいている。しかも、人件費はかからない。
それを地で行くのが、広島県在住のえーたんさんである。37歳の普通の会社員だ。本業のかたわら、Xでの発信やセミナー、オンラインサロンなど4つの副業を展開し、収入は月80〜100万円に達するという。
AIに仕事を奪われるのか、それとも使い倒すのか。えーたんさんに、その分かれ道を聞いた。
「奪われる」人の盲点
事務職はなくなる。ホワイトカラーは要らなくなる。そんな予測を目にする度に、「自分の仕事はいつまであるのか」と不安になる人は多いだろう。しかし、えーたんさんの見方は違う。
「AIの進化は止められないので使う側になるしかないのですが、そもそもAIに仕事を奪われると思ってる人は、その勉強をしていないから、漠然とした不安があるんだと思います。AIは間違いなく現代の全ビジネスパーソンに必須のスキルなんですが、誰も教えてくれないんですよね」
では、使う側と使わない側で、どれほどの差がつくのか。
「確実にiPhoneとガラケーくらいの差はつくでしょう。例えば、人力で議事録を作ると半日ほどかかりますが、AIを使えば数秒で完成します。しかも、人が作るよりも精度が高いし、空いた時間はほかの仕事に回せます」
そう話すえーたんさんはマーケティング職として働く会社員で、かつては残業が多い月で100時間に達していた。帰宅時間も遅いため家族と食事をとることも少なく、疲労の蓄積もあって週末は自宅で静かに過ごしていたという。
そんな毎日が変わり始めたのは、’22年11月。OpenAIが対話型AI「ChatGPT」を公開したときだった。誰でも無料で使え、公開から2ヵ月で利用者は世界で1億人を超えた。
ただし、当時は平然と嘘をつくといわれ、業務に使うのは危険だという声も多かった。だが、えーたんさんの受け止め方は違った。
「そもそも、僕の仕事内容は、業務的に嘘をつきにくかったんです。メールの文章や議事録作成など、こちらから情報提供したものをまとめるだけだったので。毎月発生する定期作業から順にAIに任せていき、1年ほどかけて残業を減らしていきました。今は毎日定時で帰っています」
えーたんさんは、こうして手にした時間を副業に注ぎ込んだ。1人で家族3人を養うために、AIで仕事を効率化するノウハウをXで発信し始めたのだ。その中で公開した《NotebookLMで26人のAI社員を雇い、一緒に仕事をしている》という記事が大バズりした。
無料のAI社員26人と働く術
大反響を呼んだこの記事は、経営戦略、マーケティング、営業、法務、経理など、役割ごとに用意された26人のAI社員の作り方を解説したものだ。使っているのはGoogleが提供するNotebookLM(現Gemini Notebook)である。アップロードした資料をもとに回答するため、事実と異なる内容が紛れ込みにくい。
「例えば、営業のノウハウを入れると、営業に特化したAIノートができます。さらに口調や性格、考え方なども決められるんです。『営業一筋20年の部長』という役を与えれば、常にお客様のことを最優先に考えるAI社員が誕生します」
知識を入れ、人格を与える。この2つが揃ったとき、AIは指摘や提案をしてくれる頼れる部下になる。職種ごとに雇っていった結果が26人だ。ちなみにこの数字は、Claudeと相談して決めたという。
「バズりたかったというのもあって、多すぎず少なすぎず、見た人が『なんだ、これ?』と反応する数にしました」
この記事の本当の目的は、26人のAI社員を生み出した先にある。必要な業務において、彼らを一堂に集めて会議をすることだ。その鍵を握るのがGeminiだ。
「NotebookLM単体だと各種ノートとの1対1のやり取りしかできませんが、NotebookLMとGeminiを連携すると、Gemini上で複数のノートを議論させることが可能になるんです」
1つの画面の中で、いろんな職種のAI社員たちが議論を始める。実際の業務ではこう使うという。
「例えば、総務のAI社員に時間がかかる作業を一覧で出してもらい、それに対してAI推進担当のAI社員から時短方法を提案してもらう、なんてことが可能です。実際の人間同士の会議と比べても遜色ありません」
使い道は、業務改善だけではない。
「会社経営はもちろん、企画などの新しいことを始めるときは、いかに自分の思考の枠を超えるかが大事だと思います。その道のプロともいえるAI社員たちと会議を重ねることで、自分にとってよりよい回答が見つけられます」
この26人を効率的に動かすことを可能にしているのは、えーたんさん自身のパーソナルな情報を言語化した「自分ノート」を読み込ませているからだという。
「僕の『自分ノート』は5万字くらいになるのですが、自分の目標や、これまでの経験、強みや弱みなどを細かく書き出して、それをAI社員全員に読み込ませています。そうすることで、僕のことをきちんと理解したAI社員が生まれ、精度の高いやり取りが実現するのです」
月80万稼ぐAI副業のリアル
26人のAI社員を従えるえーたんさんは、現在4つの副業に勤しんでいる。
「1つ目はXの発信、2つ目がXのPR案件、3つ目がオンラインセミナーで、4つ目がオンラインサロンです。ざっくりですが、全部で月に80〜100万円くらいの収入になります」
本業の給与とは別である。ここまで来るのに、そう長くはかかっていない。
「Xを始めたのは’25年3月で、収益化したのは9月です。そこから案件もいただけるようになり、5万円ほどの収入がありました。12月にフォロワーが1万人を超えてから、案件のギャラや数も少しずつ増えていきました」
3つ目のセミナーも、12月に誘われて登壇した無料セミナーで手応えを感じ、翌年3月から個人で有料セミナーを開くようになったという。同時期に立ち上げた、AIとXを本気で学ぶオンラインサロン「アイサロ」も好評で、会員数は約100名にのぼる。
なんとも夢のある話だが、その裏側は決して華やかではない。
「毎日、定時で帰宅して、家事と育児を終えた21時から副業を始めます。終わるのは大体2時ごろで、睡眠は3〜4時間ほど。AIは日々進化しているので、常に追い続けていないと、すぐに置いていかれてしまうんです。でも以前、根を詰めすぎて体調を崩してしまったので、今は無理のないバランスを探っているところです」
過酷に見えるが、本人にとっては違う。残業が100時間あった頃よりもトータルで働く時間は増えたが、「AIは趣味のようなものなので、楽しみながら取り組めている」と笑う。
「それまでは、会社で出世することが人生で一番重要な指標でした。でも、周りがどんどん昇進するのに、僕はできなかったんです。一般社員の力で家族3人を養うのは大変で、毎月の赤字をボーナスで補填しながらやりくりしていました。自分の小遣いは月1万5000円で、子どもに好きなことをさせてあげる余裕もない。もしかしたら、大学に行かせることもできないかもしれないって、不安な毎日を過ごしていました」
夫婦の趣味の旅行も我慢し、外食は高いので極力自炊をしてきたという。しかしAIによって、やりたいことの前に立ちはだかっていたお金という壁が取り払われた。
さらに、本業での立ち位置にも変化があった。もともとマーケティング部に所属していたが、今は社内のAI活用を旗振りするAI推進部に籍を置いている。
「副業で身につけたAIの知識を本業にも生かせていて、いい循環が生まれています。本業でも副業でも、多くの人が僕の発信を有益だと言ってくれる。そうやって視野が広がったことで、本業だけが全てじゃないと思えるようにもなりました」
今がAIを学ぶ最後のチャンス
えーたんさんは、26人のAI社員の作り方も、その他のノウハウも、すべて無料で公開している。
「1年前の僕は、ほとんどの時間を仕事に費やしているのに毎月赤字でした。お金の壁があって趣味はできず、家族と出かけることもなく、将来のことをずっと心配していました。そんな人間が、今ではAIのおかげで、忙しいけど充実した毎日を送っています」
かつての自分と同じ場所にいる人は、まだ大勢いる。だから、出し惜しみはしない。そして、一日でも早く始めたほうがいいと言う。
「AIは、この1年だけでも大きく変わりました。今後も、ものすごいスピードで進化していくでしょう。だから、今の時点でAIが使えない人は、5年、10年経った先でも、使えないままだと思います。これから、ますます生活の中に入り込んでいくのは目に見えているので、今が学ぶ最後のタイミングだと思います」
始めるのはいつだっていい、そう思う人もいるかもしれない。しかし、その認識は甘いと断言できる。なぜなら、AIの進化は人間がツールの使い方を覚える速度を遥かに凌駕しているからだ。今はまだ人間がプロンプト(指示)を出してAIを動かすフェーズだが、いずれAIは自律的に動くようになる。
そうなってから慌てて使い始めようとしても、もはや「どうやって指示を出せばいいか」という基礎的な思考プロセスを学ぶ隙がない。つまり、AIをブラックボックスとして消費する側に甘んじるか、AIの特性を理解してコントロールする側に回るかの分水嶺が、まさに「今」なのである。
「AIの発信の多くは、便利な使い方やノウハウばかりです。でも僕が本当に伝えたいのは、その手前にある『考え方』です。何を叶えるためにAIを使うのか。そこがはっきりしている人ほど、AIを使いこなせると思います。
僕の場合も、やりたいことがはっきりしていたから、AIがどんどん力を貸してくれました。それを1人でも多くの人に知ってほしいんです」
▼えーたん 広島県在住の37歳。AI×時短で仕事と人生の時間を取り戻す会社員。かつては月100時間の残業に追われる日々を送っていたが、AI活用によって定時退社を実現。趣味であるAIをきっかけにXでの発信を始め、運営開始1年4ヵ月で5.6万フォロワーを達成した。NotebookLM発信の第一人者として、誰でも真似できる業務効率化のノウハウを毎日届けている。’26年7月に初の著書『AI仕事最速大全 NotebookLM即戦力スキル』(KADOKAWA)を刊行した。
取材・文:安倍川モチ子
WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。
