「保冷剤は直接皮膚に当てないで。水疱ができた人も」X投稿が話題…「凍傷になるリスク」メーカーが呼びかける保冷剤の“本来の用途”と注意点

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厳しい暑さが続く中、熱中症対策として冷却グッズを活用する人は多い。そうした中、「保冷剤は直接皮膚に当てないでください」という注意喚起がXに投稿され、注目を集めた。投稿によれば、保冷剤を皮膚に当てたことで水疱(凍傷の一症状)の形成に至ってしまったという。知られざる保冷剤の用途とリスクについて、メーカーの話を聞いた。

【画像でみる】-15℃の記載がある保冷剤に鶏肉を乗せたところ、30分後には凍った部分が出現

「保冷剤は直接皮膚に当てないで」X投稿に注目

熱中症を何とかしようとして、保冷剤で直接大腿部を冷却してて水疱形成しちゃった方がいます。直接皮膚に当てないでください!」

Xに投稿された医師の注意喚起が話題を呼んだ。投稿のリプライ欄には、「目的外使用なんですよね」「情報ありがとうございます!危なかった」といった声が寄せられている。

水疱とは、強い冷たさにさらされることにより皮膚の深層(真皮)まで損傷を起こした状態を指し、凍傷などでみられる所見だ。厳しい暑さが続く中、冷凍庫にある保冷剤を熱中症対策に使ったことがあるという人は少なくないだろう。しかし、この投稿で指摘されるように、安易な使用はリスクを伴う。

消費生活に関わる東京都の情報サイト「東京くらしWEB」では、保冷剤による凍傷の相談が寄せられたとして、消費者に注意喚起を呼び掛けている。紹介されているのは次のような事例だ。

「ぎっくり腰になり、患部を冷却するために自宅にあった保冷剤を当てたところ凍傷になった。保冷剤をよく見ると-17℃まで下がるものだった」

こうした事例を受け、都は市販の保冷剤を2種類用いて行った調査の結果をホームページで公表。それによれば、保冷温度の記載がない「検体A」と、-15℃の記載がある「検体B」の表面温度を測定したところ、検体Aは30分後も-5℃以下を維持し、-5℃を上回ったのは60分後だった。検体Bについては、180分が経過しても-10℃を維持したという。また、人肌程度に温めた鶏肉をビニールでくるんだ検体Bの上に載せて観察したところ、30分で鶏肉に凍っている部分が確認されたという。

都の担当者は、こうした事例は患者が病院に直接行くケースが多いとしたうえで、「保冷剤には、体を冷やすための商品以外にも、さまざまな用途を想定したものがあります。そのため、『体を冷やす』以外の用途を想定した保冷剤では、商品自体に注意書きがあまり記載されていない場合があると思います」と話した。

「食品用保冷剤は皮膚に当てて冷やすといった使用方法は想定していません」

食品用保冷剤のこうした使われ方について、メーカーはどう見ているのか。ある保冷剤メーカーの担当者は次のように話す。

「保冷剤にはたくさん種類があります。今回ご指摘されたのは、ケーキやお肉などを買ったときに付いてくるような、一般的な食品用の保冷剤のことだと思います。

メーカーから申し上げますと、それらの商品は皮膚に当てて冷やすといった使用方法は全く想定していません。食品を冷やすために業者さんに提供している商品です」

担当者によれば、食品用の保冷剤は包装資材業者などを通じて小売店に供給され、消費者が商品を持ち帰る際に付属品として渡るケースが多いという。つまり、食品用保冷剤を家庭で再利用し、体を冷やす目的で使用することは、メーカーの想定する使い方ではないという。

「われわれが保冷剤を売る相手は一般の方ではなく、業者さんです。そこから小売店を通じて一般の方の手に渡りますが、その後の再利用までメーカーが責任を持っているわけではありません。『何回繰り返して使えますか』『何年使えますか』と聞かれることもありますが、基本的には一回限りの使用が前提です」

また、一口に保冷剤といっても、用途によって保冷温度が異なり、凍傷のリスクにも差があるという。

「食品用の保冷剤は『0℃帯』といって表面温度が0℃のもので、氷と同じです。ケーキ屋さんなどでもらう保冷剤はほとんどが0℃帯のものです。

保冷剤には、用途に応じてさまざまな種類があり、+5℃、-5℃、-10℃、-15℃、-20℃など、多様な温度帯の商品があります。0℃帯と-15℃度では凍傷になるリスクが異なり、温度が低くなればなるほど、短時間で凍傷になる可能性が高くなります」

「体に当てて使う場合は、医療用など体を冷やすことを前提とした商品を」

では、熱中症対策などで体に当てて使用したい場合はどうすればいいのか。

「体に当てて使う用途であれば、医療商品として体を冷やす専用の商品があります。これらは医療機器として免許を取ったうえで製造しています。ホームセンターなどの小売店に広く卸しているわけではなく、メーカーが個人の方に売ることはほぼありません。ですが、医療商社さんなどを経由して、大手ネット通販などで個人の方が購入することはできます。また医療用以外ですと、ネッククーラーなどのタイプの商品もあります」

とはいえ、家庭では冷凍庫にある食品用保冷剤を、つい体を冷やすために使ってしまうこともある。急な発熱時などに利用した経験がある人も少なくないだろう。メーカーの担当者も「私自身も使っています」と話す。

「私自身も、冷凍庫に入っている食品用保冷剤をおでこに当てたりして使うこともあります。ただ、それはメーカーとして推奨している使い方ではなく、本来の用途とは異なる使い方を自己責任でしているということです。

体に当てて使う場合は、医療用など体を冷やすことを前提とした商品を、注意書きに沿って使用していただきたいと思います。

食品用の保冷剤は『食べないでください』といった表示はありますが、それ以上のことは基本的には表示されていません。どうしても食品用の保冷剤を体に当てるのであれば、タオルなどで包み、同じ場所に長時間当て続けないように注意していただきたいと思います」

なお、環境省は熱中症が疑われる場合の応急処置として、保冷剤や氷枕をタオルでくるみ、首や腋の下、太ももなどを冷やす方法を案内している。このような緊急時は、食品用の保冷剤を使用しても良いが、直接皮膚に当てず、低温障害を防ぎながら使用することが肝要だ。

取材を通して気づかされたのは、保冷剤には用途や保冷温度の異なるさまざまな種類があるということだ。まずは用途に合った商品を選び、使用する際は注意書きを確認することが、安全に使うための第一歩といえそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班