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家族化や地域のつながりの希薄化によって、現代の子育ては「孤独」を感じやすいと言われています。スマホを片手に疑問や不安を検索する…そんな習慣が染みついている人も多いかもしれません。

アレルギー予防には「赤ちゃんの頃に動物園に行くといい?」ウワサの真相を聞いてみた【詳しく見る】

今回は赤ちゃんが生まれて、多くの人が戸惑う離乳食や食物アレルギーの新・常識をお伝えします。

みなさん、近年の医学研究で、「アレルギーを引き起こしやすい食材はできるだけ早く試したほうが食物アレルギーを予防しやすい」という結果が出ていることを知っていますか?

アレルギーを起こしやすい食材の離乳食の進め方について、小児やアレルギーの専門医である岡本光宏医師にうかがいます。

「卵は遅らせる」はもう古い!

はじめての離乳食。「卵や牛乳は遅らせて与えた方が安全なのでは」などと頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。  

国立成育医療研究センターの研究では、アレルギーのハイリスク児(生後早期から中等症~重症の湿疹がある赤ちゃん)に対し、生後5か月~6か月の段階で微量の卵を摂取させ始めたところ、1歳まで卵を卵を与えなかったグループと比較して、卵アレルギーの発症を最大90%予防できたというデータが報告されています。

岡本医師はデータについて、「卵が怖いから遅らせようというのはあまり良くないのではないかなということを教えてくれている」と説明。子どもの体調不良の回復を待っていたり、兄弟がいて後回しになってしまうこともあると思いますが、不安を理由にした先送りはしない方がいいと指摘しました。 

血液検査の数値を鵜呑みにしない!鍵を握る「経口負荷試験」

とはいえ、すでに湿疹が出ている赤ちゃんや、上のきょうだいにアレルギーがある場合、親が「早く食べさせるのが怖い」と感じるのは当然の心理です。

重症化への恐怖から一歩を踏み出せない時の対処法として、岡本医師は「食物経口負荷試験」の活用を勧めます。これは、医療機関で実際に原因となり得る食物を摂取し、医師の観察のもとで症状の有無を確認する「食べる検査」です。

負荷試験はアレルギー診療に精通した医師が行う必要があります。不安だからやってみたいと思う人もいるかもしれませんが、必要があるのかを含めて、ふだんから予防接種などで通っているかかりつけ医に不安を相談するのがよいとのことです。  

また、岡本医師は離乳食開始前の「とりあえずの血液検査」についても注意を促します。 

(岡本医師)「離乳食を始める前に、卵や牛乳などへの反応を血液検査で調べて、数値が高かったらアレルギーかもしれないと考えるのは間違いではありませんが、実際は血液検査の数値が悪くても、食べて症状が出ない人はたくさんいます」

そのうえで、「もちろん血液検査を受けてもいいが、その後本当にアレルギーかどうかを解釈するためにも食物経口負荷試験、食べる検査は必要になる」 と説明しました。

検査結果だけを見て自己判断で特定の食材を排除してしまうことは、かえってアレルギーの予防機会を逃すリスクにつながるからです。  

卵だけじゃない!“すべての食品”で『早めの摂取』が予防のカギ? 

この「早め早めの摂取が予防につながる」という傾向は、卵だけでなく、牛乳や小麦、そしてピーナッツやナッツ類など、すべての食物に共通しています。  

アメリカでは2000年代、赤ちゃんにピーナッツを食べさせない方針を国レベルで打ち出した結果、2008年までにピーナッツアレルギーの患者が2倍に急増するという手痛い失敗を経験しました。その後、2015年の研究で「生後11か月までにピーナッツを食べているとアレルギーになりにくい」ことが実証され、現在の早期摂取の推奨へとつながっています。  

ただし、ナッツ類を早期に与える際には、アレルギーとは別の命に関わる重大な注意点「誤嚥(ごえん)リスク」があります。岡本医師は、まだ上手に咀嚼(そしゃく)ができない赤ちゃんにとって、固形のナッツ類は気道に入りやすく非常に危険だとして、「必ずペースト状にすりつぶしたり、小さく細かくクラッシュするなど、誤嚥には気をつけるべき」と呼びかけました。

岡本医師によると、エビやカニについても同様の考え方でよいとのこと。シラスを食べさせようとしたところ、パックのなかに小さなカニが入っていて、「このままあげてアレルギーが出たら…」と不安になった経験があるという人もいるかもしれませんが、「避けなくてもいい」とのこと。ただ、エビは弾力があり、噛みにくいため、誤嚥や消化不良のリスクがあります。ナッツなどと同様にすりつぶすなどの工夫が必要だということです。

離乳食では、アレルギーを引き起こしやすい食材であっても、怖がらずに早めにあげたほうが結果的にアレルギー予防につながるといえそうです。

離乳食の正しいステップとは?

では、離乳食の正しいステップとはどのようなものでしょうか。本などで「耳かき1さじから、体調がいいときに初めての食材をあげてください」という注意を見たことがある人も多いと思います。

岡本医師は、「離乳食のガイドラインにある『ごく微量』という表現が、いつの間にか『耳かき1杯』という言葉で定着したと思う」と説明。そのうえで、毎回のステップについて 「初めて与えるときには耳かき1杯から与えるのはいいと思う。ただ耳かき1さじずつ増やしていくと時間がかかりすぎるので、1回食べて問題がなければ倍に倍に増やしていっても問題はない」と話しました。  

一方で第2子以降の場合は、忙しく毎日を過ごすなかで、気づいたら離乳食の適齢期を過ぎていたという人もいるかもしれません。これに対し岡本医師は、「神経質になりすぎない育児の方が、かえってアレルギーになりにくい面もある」と笑顔を見せてくれました。

MBSは皆さんの育児を応援する情報をお伝えします!

【ぼちぼち子育て】
家族化や地域のつながりの希薄化によって、現代の子育ては「孤独」を感じやすいと言われています。

今回MBSでは母親でもある2人の記者が子育てをするなかで、ふと感じた疑問や不安について情報発信する「ぼちぼち子育て」というコーナーを企画しました。
スマホを片手に“孤育て”をしているパパやママに少しでも役立つ情報を届けるとともに、悩んでいるのはあなただけではないということを呼びかけたいと考えたからです。

医師など専門職に聞くほどではないけれど、気になる…という育児に関する疑問や不安を募集します。「なんだか不安…」「〇〇という噂があるけど本当?」そんな疑問や不安をぜひMBSの「ぼちぼち子育て」の担当者にお寄せください。【お問い合わせはYouTubeの概要欄から】

▼解説
岡本光宏医師(おかもと小児科・アレルギー科院長。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父)

▼記者
・横田舞(大阪府警クラブなどの担当を経て、現在WEB配信担当。5月に育休復帰し、1歳の女の子を育てる母親でもある。実は大学時代は化学を専攻した理系記者。ネット上にあふれる子育て情報の“エビデンス”が気になりながらも、よく『検索沼』にはまっている)
・岡山友美(事件や医療などの担当記者を経て、去年からMBSのWEB配信を担当。2020年コロナ禍に長男を出産し、スマホを片手に“孤育て”を経験。神経質になりすぎた長男の育児を反省する一方、次男の育児についてはおおらかすぎるのでは?と悩んでいる)