教師の夫と「元教え子」が不倫、3年も耐えてしまった妻の後悔…慰謝料請求は「間に合う」のでしょうか?
教師である夫が、元教え子と不倫していた──。
不倫の発覚から3年以上、妻は耐えてきたが、ついに限界を迎えて離婚も見据えているという。
夫と不倫相手に慰謝料を請求したいと考えているそうだ。男女問題にくわしい青木一愛弁護士に聞いた。
●3年たっても「離婚慰謝料」は夫に請求できる
──不倫の発覚から3年以上が経過しています。不倫相手や夫への慰謝料請求は、時効によって認められなくなるのでしょうか。
不貞行為があった場合の慰謝料は、大きく次の2種類に分けられます。
(1)不貞行為そのものを理由とする慰謝料
(2)不貞行為などが原因で離婚を余儀なくされたことに対する慰謝料
慰謝料請求の根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条・710条)です。原則として、「損害および加害者を知った時から3年間」で消滅時効にかかります(民法724条1号)。
このルールにあてはめると、(1)の不貞行為そのものの慰謝料は、不貞の事実と相手を知った時から3年で消滅時効となります。
一方、(2)の離婚慰謝料は、実際に離婚が成立して初めて損害が発生すると考えられています。そのため、離婚が成立してから3年が経過しない限り、消滅時効にはかかりません。
つまり、不貞の発覚から3年以上が過ぎていても、離婚が成立した後であれば、夫に対して離婚慰謝料を請求できます。
●不倫相手への請求には「特段の事情」が必要
──離婚した場合、不貞相手に対しても離婚慰謝料を請求できるのでしょうか。
最高裁は平成31年2月19日の判決で、夫婦の一方は不貞相手に対し、
「第三者が、単に不貞行為に及ぶにとどまらず、夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできない」
と判断しています。
つまり、不倫相手に離婚慰謝料を請求するには、単に不貞行為があっただけでは足りません。不倫相手が夫婦を離婚させようと意図して、婚姻関係に不当に干渉したといえるなど、「特段の事情」が認められる必要があります。
以上の判例をふまえれば、たとえば、不倫相手に対しては、不貞行為があったうえで、さらに離婚する意思が乏しかった夫に対して脅迫まがいの行為に及び離婚するように強く唆したような特別な事情がない限り、慰謝料を請求することはできないと考えられます。
【取材協力弁護士】
青木 一愛(あおき・かずちか)弁護士
福岡市、対馬市、横浜市の公設事務所を経て、綾瀬市初の公設事務所出身弁護士として稼働中。公設事務所在籍中に幅広い案件を担当する中でも特に離婚事件に注力。また、高齢者分野では行政機関から委嘱された委員等を歴任している。
事務所名:綾瀬かわせみ法律事務所
事務所URL:https://ayasekawasemi-law.com/

