●30歳女性と結婚を前提に交際スタート
俳優の吉田美月喜が、2日・9日に放送されるフジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)のナレーション収録に初挑戦した。担当したのは、「クズ芸人の生きる道」。パチスロとギャラ飲みで生計を立てるお笑い芸人・小堀敏夫(59)の近況を追った作品だ。

これまでのシリーズを含め、小堀の破天荒な言動をエンタテインメントとして楽しみながらも、「こうはならないようにしよう」と反面教師にしていたという吉田。しかし、今回の映像に声を重ねていく中で、その印象は意外な方向へ変化していった――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションに初挑戦した吉田美月喜

○芸人の相方を失い、人生の相方を見つける

“クズ芸人”と呼ばれるお笑いコンビ・ガッポリ建設の小堀敏夫。芸歴34年のベテランながら、ギャラ飲みとパチンコでその日暮らしを続けてきた。婚活に励んでいた小堀だが、思いを寄せた女性から「恋人関係になることはない」と告げられ、あえなく失恋した。

ところが、後輩芸人を通じて一通のメッセージが届く。送り主は30歳の女性。婚活中の小堀に、自分ではどうかと名乗り出る思いがけない内容だった。

半信半疑で迎えた初対面。女性は、小堀の歩んできた人生そのものに引かれたと語り、2人は急速に距離を縮めていく。

一方、小堀は芸人人生の岐路を迎えていた。『ザ・ノンフィクション』の大みそか特番の収録中、小堀が明かした事実に、遅刻や約束破りに振り回されながらも支えてきた相方・室田稔が激怒。コンビ解散を宣言し、スタジオを飛び出してしまう。結成から28年、「ガッポリ建設」の歴史は突然、幕を閉じた。

相方を失った小堀の前に残ったのは、自分との人生を望む女性だった。夜の公園で、小堀は意を決して交際を申し込む。女性はその思いを受け入れ、結婚を前提とした交際が始まった。

芸人としての相方を失い、人生の相方を見つけた小堀。しかし、幸せな日々が始まって1カ月後、彼女は“大きな秘密”を打ち明ける。

ガッポリ建設の室田稔(左)と小堀敏夫=『ザ・ノンフィクション』特番収録にて (C)フジテレビ

○住職の放った言葉が見方を変える

吉田が小堀の見方を変えたのは、小堀が寺での修行から逃げ出した際、住職が口にした「自分を裏切らない人」という言葉だった。

普通に考えれば、決めた修行を途中で投げ出した場面だが、自分の気持ちに正直であり続けることは、実は簡単ではないと感じた。自身も本心に蓋をしてしまうことがあるだけに、その言葉を「すごくカッコいい」と受け止め、彼の“すごいところ”に初めて気づかされたという。

もちろん、小堀の生き方に憧れるわけではないが、「あそこまで自分に正直に生きられる人は、なかなかいないと思います」と感じ、「ずっと見守っていたい」と思うように。

失敗を恐れず、その時々の感情のままに動いてしまう姿を、吉田は「すごく怖いもの知らず」と表現。その生き方は、自分にはないものだからこそ「楽しい」と感じられ、ナレーションを進めるうちに、いつの間にか応援する側になっていた。

●「思わずかわいらしいと感じてしまいました(笑)」
過去の放送では、小堀の常識外れな行動が強く印象に残り、一人の個性的な登場人物として見ていたという。だが今回は、母親との関係や恋愛を通じて、「一人の人の人生」として捉え、破天荒さの奥にある温かさや人間味が見えてきた。

特に印象に残ったのが、小堀が女性と出会う場面。相手を前にすると少年のような表情を見せ、少し調子に乗ってしまう。その姿を「思わずかわいらしいと感じてしまいました(笑)」と振り返る。

前編で、思いを寄せた女子プロゴルファーと公園で別れ、ベンチでぼう然とする中で、奇跡的に彼女との思い出のプリクラを落としてしまう場面では、「ドラマだと思って、笑いが止まらなかったです」と思い出し笑い。小堀に、予想外の出来事を引き寄せる力があると感じた。

交際女性とデートする小堀敏夫 (C)フジテレビ

○母親と恋人の対面シーンで感じた「家族の愛」

後編では、小堀が恋人を母親に会わせる場面が登場。ここでは、母親が本当に息子を心配し、大切に思っていることが伝わってきたといい、「家族の愛を感じて、すてきだなと思いました」と、これまでの「クズ芸人」シリーズでは味わうことのなかった心境になった。

親からすれば、いくつになっても子どもなのだと改めて感じ、小堀親子の姿を見ながら、自分も「心配をかけないように、立派になった姿を見せなきゃ」と気を引き締めたそうだ。

当初は遠くから眺めていた小堀に、収録が進むほど寄り添う気持ちが生まれたという吉田。最後に、本人に会いたいかと聞かれると、一瞬ためらいながらも「お会いしてみたいです」と答えたが、「第三者、第四者ぐらい、大人が大人数で(笑)」と、やはり慎重な姿勢を見せていた。

●吉田美月喜2003年生まれ、東京都出身。18年に俳優デビューし、主な出演作に、Netflixシリーズ『今際の国のアリス』、映画『メイヘムガールズ』『あつい胸さわぎ』『カムイのうた』など。24年公開の劇場アニメ『ルックバック』では、京本役として河合優実とダブル主演を務め、声優としても注目を集めた。今年は、映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』、オムニバス映画『GEMNIBUS vol.2』の一編「顔のない街」、舞台『リア王』などに出演。5月からファッション誌『non-no』の専属モデルも務め、俳優、声優、モデルと活動の幅を広げている。今後、映画『KARATEKA』、27年には連続テレビ小説『巡るスワン』に出演予定。