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猛暑を背景としてアイスの市場拡大が続いています。しかし、原材料となる乳製品やカカオの高騰にエネルギー・人件費高が加わって数多くの商品が値上げを余儀なくされました。それに伴って消費者の商品を選ぶ目は厳しくなっており、定番アイスも明暗が分かれています。
◆販売物量減少が見える近年の販売動向

日本アイスクリーム協会の「販売実績概要(2025年度)」によると、2025年度のアイスクリーム販売金額(メーカー出荷ベース)は6631億円で、前年比2.8%増加しました。6年連続で過去最高を更新しています。

販売金額が大きく伸びた年が2023年で、前年比9.9%増の6082億円でした。夏の平均気温が平年よりも1.76度高く、1898年の統計開始以降で一番の猛暑だった年です。

ちょうどそのタイミングで物価が上昇。大手アイスメーカーが定番商品の値上げを行ないました。しかし、販売物量は2022年比で0.8%のわずかな減少に留まりました。販売価格が上昇しても暑さで需要が失われなかったと考えられます。

2025年は状況がやや異なります。販売金額は3%近く伸びているものの、販売物量は2.2%減少しているのです。なお、2024年の販売物量は3.1%の増加でした。

度重なる値上げにより、アイスの買い控えが起こっている可能性があるのです。

グリコは2025年12月期の営業利益が前期比で21.0%減少しました。要因の一つが収益性の高いアイスの不振。「パピコ」や「アイスの実」が減収でした。この商品を包括する健康・食品事業は2025年12月期が15億円の営業赤字でした。前期と比べて13億円も損失幅を広げています。

「パピコ(チョココーヒー)」は2025年2月1日出荷分から184円から205円へと値上げしていました。「アイスの実」は2024年6月1日出荷分から価格改定を実施しています。

◆「パピコ」や「アイスの実」ですら…

グリコはアイス不振による収益性悪化の対策として、価値向上した新商品の発売などで売上・利益を確保するという方針を打ち出しました。

2026年4月からリニューアル発売したのが「パピコ」でした。「ホワイトサワー」は発酵乳を従来の1.2倍に引き上げ、「マスカット&シャルドネ」は2種類の果汁をブレンド、果実の味わい強化を図りました。

「パピコ」は家族や友人などとシェアできて食べやすい独自のパッケージと滑らかな食感が支持され、ロングセラー商品として親しまれてきました。

「アイスの実」も一口で食べられ、開封後も保存が効くアイスとしての独自性を持っています。この2つのアイスが減収だったことは、定番アイスが決して盤石なものではないことを物語っています。

◆「チョコモナカジャンボ」は好調をキープ

一方、ロングセラー商品で好調をキープしているのが「チョコモナカジャンボ」。

東芝グループがレシートデータから調査した2026年の「4月、全国・地方別のアイス売れ筋ランキング」では「チョコモナカジャンボ」が売れ筋トップで、シェアは3.43%。この商品は2025年の同じ調査でも1位を獲得しており、シェアは3.44%でした。「チョコモナカジャンボ」は2025年9月1日出荷分から値上げをしていましたが、定番アイスとしての地位を揺るがないものにしているのです。

森永製菓の2026年3月期冷菓事業の売上高は前期比8.4%、営業利益は16.5%の増加でした。この事業は会社の好業績をけん引しています。

「チョコモナカジャンボ」は定番アイスとして広く知れ渡っていますが、時代に合わせた改良を重ねています。重視しているのは競合品にはないコンビネーションのおいしさ。特にパリパリのモナカの食感を大切にしています。

2025年2月にチョコレートの壁を改良。水分からの防御力をアップしました。森永製菓は長い時間をかけて研究開発に邁進しており、定番商品として定着しているのは日々のアップデートがあるからこそのものだと言えるでしょう。