7月30日、スペインの飛び地セウタで、モロッコ側から泳いできた人々=動画から取得した画像、ロイター

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 【パリ=上地洋実】北アフリカに位置するスペインの飛び地セウタに、隣接するモロッコから約6万人の不法移民が押し寄せた。

 欧州諸国は移民の流入を警戒しており、イタリアはスペインからの渡航者を対象に入国審査を復活させ、欧州内の移動の自由を保障する「シェンゲン協定」の一時停止に踏み切った。

 スペインの最高裁が7月8日、海を渡って来る移民を直ちに送還できないとの判決を下したことが影響したとみられる。移民の大半が7月30日にモロッコ側から海を泳いだり、地続きとなっている陸路を通ったりしてセウタに到達。AFP通信などによると、その数は約6万人に上り、途中で溺れるなどして67人が死亡した。

 セウタの人口は約8万3000人で、人口の約7割にあたる移民が押し寄せてきたことになる。

 31日に現地を訪問したスペインのペドロ・サンチェス首相は、「スペインの領土保全に対する侵害だ」と厳しく非難した。軍を派遣して事態の沈静化を図っており、31日夜までに4万8000人が自主的にモロッコに戻ったという。

 移民の大量流入を許したことで、スペインの国境管理が問題視されている。イタリアのメローニ首相は31日、「『国境を守る』とは、不法移民に対処し、国民の安全を守ることだ」とSNSで強調し、スペインからの渡航者に対する入国審査の復活を表明した。時限的な措置となる。

 フィンランドデンマークからもシェンゲン協定からのスペインの除外を求める声が上がるほか、フランススペインとの国境警備を強化すると発表した。スペイン側は冷静な対応を呼びかけている。

 トランプ米大統領は31日の閣議で、「侵略のようだった。共和党が選挙で勝たなければ、米国でも同じことが起こる」と強調した。