能登から「恩返し」、職員は夜通し車を走らせ熊本に「トイレカー」派遣…「できることを手伝わせて」
2024年の能登半島地震で甚大な被害に見舞われた石川県の自治体職員が、熊本の被災地支援に乗り出した。
応援入りした職員たちは「我々が被災した時の恩返しをしたい」と話している。(柏木万里、新谷諒真)
震度7を記録した熊本県氷川町の町役場に31日、石川県能登町の伝統行事「あばれ祭」などの写真をあしらった車が到着した。トイレ2基を備え、120回分流せる水を収容できる「トイレカー」だ。
能登半島地震から1か月後の24年2月、能登町は全国有数のい草の産地の熊本県八代市と氷川町から、避難所で使う畳約1000枚の提供を受けた。当時、高齢の被災者から「慣れた畳を敷いて寝ることで、気持ちが落ち着いた」などと感謝の声が上がったという。
熊本の地震を受け、能登町危機管理室の山口竜次郎主幹(49)は「できる限り支援して感謝の思いを伝えたい」と、同僚らと7月30日に能登町を出発。夜通し車を走らせ、約800キロ離れた氷川町に到着した。
山口さんは2年前、自宅が準半壊する中、支援物資の振り分けなどに従事し、「全国からの支援が本当にありがたかった」と振り返る。中でも半年近くに及んだ断水でトイレの排水は大きな課題となり、自治体から派遣されたトイレカーに助けられた。この経験を踏まえ、能登町は今年4月、車両を導入した。
氷川町では約3200戸で断水が続いている(31日午後2時時点)。能登町は今回、断水が解消するまで期限を決めずに車両を貸し出す。氷川町に向かう途中、倒壊した建物を見て「能登半島地震を思い出し、胸を痛めた」という山口さん。「能登町は復旧復興の最中で中長期的な支援は難しい。それでも罹災(りさい)証明書の発行など様々なノウハウがある。できることがあれば私たちに手伝わせてほしい」と職員に思いを伝えた。
震度7を観測した熊本県宇城市の市役所近くの避難所でも31日、石川県輪島市の大型トイレカーの利用が始まった。男女別の洋室便器を備えた個室4室のほか、おむつ交換台や車いす用のリフト装置のあるユニバーサル室もある。輪島市は昨年11月に車両を導入。今回、宇城市が輪島市にトイレカーの派遣を要請し、災害派遣で初めて活用された。
自宅が断水している宇城市の女性(73)は「トイレが使えないので水を飲むのを控えていた。同じ被災地として、必要な支援を分かってくれている」と感謝した。
石川県によると、能登地震発生後の2年半で、熊本県内の自治体から延べ約5000人の職員の派遣を受け、家屋被害の判定調査や、避難所開設・運営の支援などに従事してもらった。
輪島市は、被災した建物の公費解体業務で支援を受けた熊本県宇土市にも、2日にアルファ米3000食、水400リットル、携帯トイレ数百個などを届ける予定だ。輪島市の坂本修総務課長(54)は「能登半島地震では熊本の方々にも大変お世話になった。同じ被災地として恩返ししたい」と話している。

