27日、9月に日本で開催される第20回アジア競技大会 愛知・名古屋2026に臨む日本女子代表(なでしこジャパン)のメンバー22名が発表された。都内で行われたメンバー発表会見には狩野倫久監督と佐々木則夫ナショナルチームダイレクター(ND)が登壇した。

 コロナ禍で1年延期となった23年の大会では、パリ五輪2次予選と重なった影響で主力選手やスタッフがアジア大会に参加できず。世代別代表の指揮官だった狩野監督がチームを指揮し、そのなかで優勝を果たした。指揮官は「新しいチームの編成のなかで、しっかりと勝ち上がった過去がある」と当時を振り返りながら、「選手の特長、ストロングポイント、キャラクターを存分に出しながらも、対戦相手に対して準備をしていく」と今大会の意気込み。前回優勝で2連覇となり、中国に続く大会史上2度目となる3連覇を狙う。

 国際Aマッチ期間外のため、主力を担ってきた海外組は大半を招集できず、選出は1名のみ。主力不在で国内組を中心とした構成になり、初招集は10名となった。また今大会の登録メンバーは23名だが、現時点の発表は22名。日本サッカー協会(JFA)によると、「この1名の枠に関しては怪我やコンディションのところを考慮し、JOC(日本オリンピック委員会)を通じて変更の手続きの最中」だという。完了し次第、残りの1名が発表される。

 初招集10名はGK福田史織(三菱重工浦和レッズレディース)、DF水野蕗奈(INAC神戸レオネッサ)、DF後藤若葉(三菱重工浦和レッズレディース)、DF鈴木菫(ジェフ千葉レディース)、DF大箸桜子(東洋大)、DF桑原藍(INAC神戸レオネッサ)、MF柳瀬楓菜(サンフレッチェ広島レジーナ)、MF榊原琴乃(三菱重工浦和レッズレディース)、FW神谷千菜(サンフレッチェ広島レジーナ)、FW西尾葉音(RB大宮アルディージャWOMEN)。福田、後藤、榊原は前回大会を経験しているが、主力が同時期にパリ五輪2次予選に参加したことで、前回のアジア大会メンバーは実質“B代表”扱いとなり、3人は今回が改めて初招集となった。

 唯一の大学生選手となったCB大箸だが、東洋大3年次の昨夏、MF北岡梨愛里、MF稲山美優とともにシンガポール1部のライオン・シティ・セーラーズに期限付き移籍した異色の経歴を持つ。同クラブでは集中開催となったAFC女子チャンピオンズリーグ(女子ACL)の予選ステージ3試合を経験し、その後は東洋大に復帰。今年2月からはちふれASエルフェン埼玉の特別指定選手としてWEリーグ8試合、クラシエカップ4試合に出場した。新シーズンからのちふれASエルフェン埼玉加入も決まっている。

 狩野倫久監督は「非常にスピードのある、タフで対人の強い選手。そういった部分を大会で出してほしい」と大箸を評価。「WEリーグでの活躍もあったし、失敗を恐れず思い切ったチャレンジをしながら、この舞台で色々感じてWEリーグや大学に帰ってもらいたい」と期待を寄せた。

 またDF陣は6人と少なく、昨年のE-1選手権メンバーでもある市瀬千里(サンフレッチェ広島レジーナ)を除き、5人が初招集。狩野監督は複数ポジションをこなせる点を挙げており、中盤選手のCB起用も示唆する。チームのコンセプトである「しっかりとプレッシングをかけて、素早く攻撃できる」という特長を強調しながら、「そこに対するパワーと力強さを持っている選手たちを選んだ」と語った。

 海外組は大場朱羽(レンジャーズ/スコットランド)のみが選出された。JFAアカデミー福島を卒業後、アメリカのイースト・テネシー州立大に進学。前回のアジア大会にも参加していた。25年から日テレ・東京ヴェルディベレーザに加入し、25-26シーズンのクラシエカップ優勝に貢献。今夏にスコットランド女子プレミアリーグのレンジャーズに完全移籍を果たした。

 今大会は国際Aマッチ期間外のため、特に海外クラブに所属する選手は参加への交渉が難航する。だが、佐々木NDは「今回、新たに移籍するにあたって派遣していただくことができた。それはよかった」と大場が参加可能となった経緯を明かし、喜びを表した。

 A代表を経験してきた選手も揃う。MF塩越柚歩(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、MF中嶋淑乃(サンフレッチェ広島レジーナ)、FW上野真実(サンフレッチェ広島レジーナ)といった前回大会の優勝経験者や、1年ぶりの招集となった今メンバー最多25キャップのMF宝田沙織(セレッソ大阪ヤンマーレディース)、25-26シーズンWEリーグ得点王のFW吉田莉胡(INAC神戸レオネッサ)、そして同シーズンでMVPを受賞したMF成宮唯(INAC神戸レオネッサ)がチームを支えていく。

 唯一の30代である成宮について質問が及ぶと、指揮官は「昨年度のWEリーグの活躍を見たら、誰しもが間違いなく選ばれるレベルにあることはわかる」と全幅の信頼を置く。チーム最年長としてけん引する役割とともに「彼女の持つ運動量、攻守に関わる連続性、ボックスにエントリーしていくゴール前の怖さ、それに対するテクニックは間違いない」と期待。「昨年度出したようなプレーを日本のファン・サポーターの前で発揮してもらうことを一番に期待している」と力を込めた。

(取材・文 石川祐介)