AI業界の覇権を巡り、世界的な話題を呼んでいる動画が公開された。米大手経済紙の報道をきっかけに、大手通信持株会社を率いる孫正義氏が、宇宙関連事業に力を注ぐイーロン・マスク氏の構想を「採算が合わない」と評したという一件が発端だ。両者は以前から折り合いが良くないとされ、その関係性の背景にも触れながら、実業家のマイキー佐野氏はこの報道をもとに両者の経営哲学の違いを読み解いていく。

孫氏の行動原理として語られるのは、大胆な投資判断と現実主義の両立である。地上のデータセンターや半導体関連の有力企業各社、通信インフラといった分野で、市場の要となる存在への出資を積み重ね、AIの設計から実装、ロボット分野まで押さえにいく姿勢が紹介される。AI市場における勝者は数年のうちに決まるという見立てのもと、優秀な人材や基盤をいち早く確保するスピード重視の姿勢が語られ、今すぐ手が届くインフラを押さえることこそが、孫氏にとっての合理的な選択だという。

一方のマスク氏は、既存の制約そのものを超えようとする発想の持ち主として描かれる。送電網や冷却水の不足といった地上の限界をボトルネックと捉え、宇宙空間という舞台で解消しようという構想を掲げる。有力半導体メーカーとの共同開発やチップの内製化など、垂直統合によるハードウェア支配へのこだわりも強い。自動運転を巡っても、他社がセンサーを併用した商用化を先行させる中、カメラ映像のみで実現を目指す独自路線を貫くなど、両者の対比を佐野氏は随所で取り上げていく。

孫氏が宇宙データセンター構想に否定的な理由として、動画はコスト構造にも踏み込む。最先端データセンターの総コストのうち電気代が占める割合は1割に満たず、大半はハードウェア関連費用が占めるとされ、宇宙輸送や巨大な冷却設備にかかる費用の重さも語られる。その根底には、有力EVメーカーの経営権を巡る過去の因縁など、両者の間に積み重なってきた確執も横たわっているという。AI覇権の行方を左右する2人の経営者が、今後どのように動いていくのか。経営戦略や投資に関心を寄せる層にとって、両者の思考の違いが浮き彫りになる内容だ。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営