AIチップの回路はいま、数ナノメートルという尺度まで刻まれるようになり、もはや人間の設計者だけでは全体を把握しきれない領域に踏み込んでいるという。信号を通す配線と電力を運ぶ配線が同じ層にひしめき合えば、道路に例えるなら大渋滞のような非効率が生じる。そこで配線を表と裏に分けたり、さらに層を重ねて立体的に配置したりする技術が進む一方で、歪みや発熱、電磁波といった新たな課題も次々と浮かび上がってきたという。こうした膨大な計算を裏側でこなしているのが、半導体設計を支えるソフトウェア群、いわゆるEDAと呼ばれる分野だ。設計に失敗して製造ラインを止めれば、損失の規模は一つの案件だけで途方もない額に達するとも言われている。
 
実業家のマイキー佐野氏が動画で取り上げているのは、この裏方の分野で市場の大半を握るごく少数の企業だ。1社は大型買収を重ねて回路設計と物理解析を一つに統合し、幅広い顧客を抱える巨大な体制を築き上げた。もう1社は独自のAI技術と専用の開発環境を武器に、製造業の常識では考えられないほど高い利益率を叩き出している。そしてもう1社は、母体が世界的な重工業グループでありながら、半導体だけでなく製造ラインや完成品までも仮想空間で検証できる技術を持つという、少し毛色の異なる存在として紹介されているようだ。それぞれが得意分野も弱点も異なり、単純な優劣では語れない棲み分けができているようだ。
 
興味深いのは、これほどの独占的な地位を築いていながら、株価の値動きは他のAI関連銘柄ほど派手ではないという指摘だ。契約が長期にわたる形態のため収益の立ち上がりが緩やかであることに加え、国際情勢の変化が業績に影を落としかねないという事情も絡んでいるらしい。佐野氏はその背景を丁寧にひも解きながら、この業界を見るうえで投資家がどの数字に注目すべきかを語っている。表舞台に立つ完成品メーカーの陰で、こうした縁の下の力持ちがどのように評価されているのかを知ると、業界全体の見え方が変わってくるという。
 
巨大な資本と高度な技術が集まりながらも評価が割れるこの業界に、佐野氏はどのような視点から光を当てているのか。半導体や投資の動向に関心がある層にとって、業界構造の奥行きが整理される、そんな内容だ。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営