「上半身だけで投げるのではなく…」阪神に現れた24歳剛腕はなぜ163キロをマークできたのか 元近鉄OB佐野慈紀氏の考察「あれだけのパフォーマンスを見せれば打たれない」

工藤は躍動感あふれる投げっぷりで話題を集めている(C)産経新聞社
野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。今回は先に自己最速の163キロをマークした阪神救援右腕の工藤泰成をクローズアップする。
【動画】誰が打てるんだ!工藤が自己最速の163キロをマークしたシーン
工藤は7月11日のヤクルト戦(甲子園)1点リードの8回に登坂。
味方の失策などもあり無死満塁のピンチを迎えながら、迎えた岩田幸宏を投ゴロ、レアンドロ・セデーニョを空振り三振。
尚も二死満塁のピンチに迎えた相手4番のドミンゴ・サンタナに対しての初球で自己最速となる圧巻の163キロをマークした。これには本拠地甲子園のファンの間からも大きくどよめきが起きた。
工藤は24年育成ドラフト1位入団。昨季開幕前に支配下となり、今季は序盤から課題とされてきた救援陣の中で頭角を現し始めた。
佐野氏はこの若き剛腕の成長の速さに驚いているとした。「去年もちらっと見て、結構スピードは上がってくるなと思っていたが、ここに来て一気に来た。頼もしいピッチャーが出てきたね」と賛辞を惜しまない。
チームでは守護神として圧巻の成績を残したロベルト・スアレスと並ぶ163キロとなった。特に評価するのが、その洗練された投球フォームだ。「体の使い方がすごくいい。軸がしっかりしているから、上半身だけで投げるのではなく、体全体で投げられている。それが投げっぷりの良さに出ている」とコメント。下半身からしっかり連動してボールに力を伝えられていることで投球の質の高さを保てているとした。
その上で「セ・リーグのバッターはパワーで押してくるピッチャーにそんなに多くない。あれだけのパフォーマンスを見せれば、早々打たれないだろう」と今後の活躍にも太鼓判を押した。
ただ、さらなる成長に向けては課題もあるという。「まだフォークやカット系の変化球が、そこまで絶対的な武器になるボールとまではいかない。スピードの強弱だけでなく、バッターに慣れられて対応されたときにタイミングをどう外すか。再現性をしっかり身につけられるかが大事だ」と、プロの壁を乗り越えるための「もう一工夫」の必要性も説く。
目指すリーグ連覇に向け過酷な夏場を乗り切るための最大のピースとして、この剛腕が猛虎のブルペンを支え続けられるか、引き続き注目だ。

