フランス代表20歳ザイール・エメリがW杯デビュー! 待ち続けた6試合520分の葛藤も「とても嬉しいし、誇らしい」
[7.9 W杯準々決勝 フランス 2-0 モロッコ ボストン]
北中米ワールドカップはすでに6試合目、520分間にわたって出番を待ち続けていた20歳にようやくW杯デビューのチャンスが訪れた。
フランス代表のMFウォーレン・ザイール・エメリ(パリSG)は準々決勝モロッコ戦の後半26分、ボランチの一角で途中出場。積極的な攻撃参加と献身的に走る姿勢を表現し、ディディエ・デシャン監督からの「非常に良いプレーを見せてくれた」という高評価を勝ち取っていた。
ザイール・エメリは弱冠20歳にしてUEFAチャンピオンズリーグ通算44試合の出場経験を持ち、直近2シーズンの欧州連覇に貢献したMF。ところがフランス代表ではMFエンゴロ・カンテ、MFアドリアン・ラビオ、MFオーレリアン・チュアメニら2018年優勝メンバーの牙城を崩せず、ここまで代表通算11試合の出場にとどまっていた。
今大会もグループリーグ3試合、ラウンド32、ラウンド16はいずれも出番なし。フランス代表の驚異的な選手層とターンオーバーをしなくても戦えるタフさがその起用法につながっているのも事実だが、ザイール・エメリ本人にとってはもちろん複雑な思いもあった。
「競争の中で出場時間がもらえなかったり、試合でプレーできなかったりするのはやっぱり葛藤があった。選手は全ての試合に出場したいし、全ての試合でプレーしたいと思っているものだと思う」
それでも腐るつもりはなかった。「頭を高く持って、笑顔を絶やさないようにしなければならない」。まずは自分を信じ、チームを信じ、日々の練習に励んだ。
「選手自身が信じなければ、誰も僕たちのために信じてくれることはない。ピッチ上であらゆるものを駆使すれば必ず報われるものだと思う。僕たちは素晴らしいチームで、選手には世界トップクラスの実力がある」。モロッコ戦ではチームメートの尽力もあり、2-0のリードで出場機会を獲得。そこで好パフォーマンスを見せられたのはたゆまぬ準備の証だった。
欧州クラブレベルでの近年の実績は代表チームの中でも屈指のもの。「本当に特別なシーズンを過ごせていて、喜び、明るさ、笑顔に満ちたシーズンだった。これからも心に刻まれ続けると思う」。このW杯デビューの喜びでさらに弾みをつけ、もう一つのビッグタイトルを掴みに行く構えだ。
そんな経験豊富な20歳だが、年相応に初々しいところもある。試合後、大勢の報道陣の取材に応じたザイール・エメリはW杯デビューの喜びについて「とても嬉しいし、誇らしい。子どもの頃にみんなが夢見る試合だったから」と表現しながら、何度か「La Ligue des champions(チャンピオンズリーグ)」と口にしてしまい、「あっ、Coupe du monde(ワールドカップ)だね」と言い直す姿が見られた。
その言い間違いの背景には普段とは異なるメディア環境への緊張だけでなく、自然体で試合に臨むメンタリティーがあったようだ。フランス記者陣からの温かい笑い声に包まれ、意気込みを問われた20歳は「正直に言うと大会に出る時、試合に出る時はどんな大会であってもいつも全力を尽くそうと思っている」と照れ笑いを浮かべながら今大会の躍進を誓っていた。
(取材・文 竹内達也)
北中米ワールドカップはすでに6試合目、520分間にわたって出番を待ち続けていた20歳にようやくW杯デビューのチャンスが訪れた。
フランス代表のMFウォーレン・ザイール・エメリ(パリSG)は準々決勝モロッコ戦の後半26分、ボランチの一角で途中出場。積極的な攻撃参加と献身的に走る姿勢を表現し、ディディエ・デシャン監督からの「非常に良いプレーを見せてくれた」という高評価を勝ち取っていた。
今大会もグループリーグ3試合、ラウンド32、ラウンド16はいずれも出番なし。フランス代表の驚異的な選手層とターンオーバーをしなくても戦えるタフさがその起用法につながっているのも事実だが、ザイール・エメリ本人にとってはもちろん複雑な思いもあった。
「競争の中で出場時間がもらえなかったり、試合でプレーできなかったりするのはやっぱり葛藤があった。選手は全ての試合に出場したいし、全ての試合でプレーしたいと思っているものだと思う」
それでも腐るつもりはなかった。「頭を高く持って、笑顔を絶やさないようにしなければならない」。まずは自分を信じ、チームを信じ、日々の練習に励んだ。
「選手自身が信じなければ、誰も僕たちのために信じてくれることはない。ピッチ上であらゆるものを駆使すれば必ず報われるものだと思う。僕たちは素晴らしいチームで、選手には世界トップクラスの実力がある」。モロッコ戦ではチームメートの尽力もあり、2-0のリードで出場機会を獲得。そこで好パフォーマンスを見せられたのはたゆまぬ準備の証だった。
欧州クラブレベルでの近年の実績は代表チームの中でも屈指のもの。「本当に特別なシーズンを過ごせていて、喜び、明るさ、笑顔に満ちたシーズンだった。これからも心に刻まれ続けると思う」。このW杯デビューの喜びでさらに弾みをつけ、もう一つのビッグタイトルを掴みに行く構えだ。
そんな経験豊富な20歳だが、年相応に初々しいところもある。試合後、大勢の報道陣の取材に応じたザイール・エメリはW杯デビューの喜びについて「とても嬉しいし、誇らしい。子どもの頃にみんなが夢見る試合だったから」と表現しながら、何度か「La Ligue des champions(チャンピオンズリーグ)」と口にしてしまい、「あっ、Coupe du monde(ワールドカップ)だね」と言い直す姿が見られた。
その言い間違いの背景には普段とは異なるメディア環境への緊張だけでなく、自然体で試合に臨むメンタリティーがあったようだ。フランス記者陣からの温かい笑い声に包まれ、意気込みを問われた20歳は「正直に言うと大会に出る時、試合に出る時はどんな大会であってもいつも全力を尽くそうと思っている」と照れ笑いを浮かべながら今大会の躍進を誓っていた。
(取材・文 竹内達也)

