「森保氏を“批判できない空気”が流れている」…続投報道、テレビ出演連発の「代表監督」にサッカーメディアが“優しすぎる”理由
W杯北中米大会は準々決勝がスタートし、優勝を目指す強豪たちの戦いはますますヒートアップ。死闘が繰り広げられている。その中で、8大会連続出場の日本代表はW杯優勝を目標に掲げたが、決勝トーナメント初戦でブラジル代表に1−2で逆転負け。ベスト32に終わった。帰国した森保一監督はテレビの情報・報道番組に連日出演して「感動をありがとう」と称えられているが、果たして世界との差は本当に縮まっているのだろうか。続投報道が相次ぎ、大会後の留任が有力視されている中、「この監督では勝てない」と警鐘を鳴らす声が出てきている。
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世界と渡り合える手応えが
今月2日に日本代表のメンバーが帰国。報道陣がカメラを向ける中で、ブラジル戦で決勝点につながるパスミスをしたMF田中碧(リーズ)が、うつむき加減で通り過ぎる光景が印象的だった。森保監督は都内で記者会見に臨み、「残念な結果に終わりましたけど、日本サッカーの歴史で積み上げてきたことが、世界の戦いで十分渡り合えっていけるという手応えを感じました。この成長を続けていけば、世界一を取れる日が来る、と戦いの中で感じることができました」と振り返った。

采配の差で負けた
日本代表は今大会のグループリーグ初戦のオランダ戦で2−2と引き分けに持ち込み、2戦目のチュニジア戦は4−0と快勝。3戦目のスウェーデン戦は1−1で1勝2分として、グループリーグ2位で決勝トーナメントに進出した。ブラジル戦はMF佐野海舟(マインツ)が前半29分に強烈なミドルシュートで先制点を奪ったが、後半はブラジルの猛攻の前に防戦一方に。後半11分に左クロスをヘディングで合わせられて同点に追いつかれると、後半終了間際に決勝点を決められた。
「両監督の采配の差で負けたと言っていいでしょう。ブラジル代表監督で名将のアンチェロッティは後半になるとクロスボールを多用する戦術に切り替えた。森保監督はこの攻撃を防ぐために、ウイングバックのMF堂安律(フランクフルト)とMF中村敬斗(スタッド・ランス)を下げて、サイドバックのDF菅原由勢(ブレーメン)とDF鈴木淳之介(コペンバーゲン)を入れたが、攻撃をはねかえすだけでロングボールを前線に入れる単純なサッカーになった。今大会途中で導入された『ハイドレーションブレーク(給水タイム)』で流れを変えたかったが、戦術の変更がなくブラジルの攻撃を耐えるだけだった。試合終了間際に勝ち越しを許したのでギリギリの戦いに見えますが、善戦とは言えません。正直、このクラスでの戦いになると、森保監督では勝てないなと感じました」(スポーツ紙デスク)
覚悟があったのか
日本代表は今大会でW杯優勝を目標に掲げていた。過去に出場した7大会では決勝トーナメント初戦を勝ち上がった経験がないが、今大会の代表選手たちの大半は欧州のクラブに所属してプレーしている。世界のスター選手とピッチでしのぎを削ることが日常になっているので、目指すところが格段に高いのは当然と言える。一方で、欧州で取材するサッカーライターは「森保監督のメンバー選考、采配を見ると、本気で世界一を狙う覚悟があったのか疑問符が付く」と指摘する。
「ブラジル戦を勝ち上がったとしても、MF鎌田大地(クリスタル・パレス)は右足を負傷して次の試合は出られなかった。遠藤航(リバプール)も大会直前にケガで離脱しているので、本職のボランチが佐野と田中しかいない。MF守田英正(スポルティング)が落選して波紋を呼びましたが、長丁場の戦いを考えると、やはり選出するべきだったと思います。グループリーグ3戦目のスウェーデン戦のスタメンも不可解でした。決勝トーナメント初戦を中3日で控えているのに、中村、堂安、FW上田綺世(フェイエノールト)と主力選手たちがスタメン出場した。本気で上を目指すなら、主力のコンディションを考慮してターンオーバーが必要です。スウェーデンに敗れた場合にグループリーグ3位となり、フランスと対戦することが頭をよぎったかもしれませんが、入れ替えができない選手層の薄さだったらW杯は勝ち抜けません」
「感動をありがとう」では…
お隣の韓国はグループリーグで敗退し、辞任の意向を表明した洪明甫監督に批判の声が殺到する事態になった。森保監督は帰国後の記者会見で、韓国メディアについてこの点を聞かれると、「全て結果論でやってきたことがダメだったかというとそうではない。韓国のどれほどの方々が批判的に考えているかはわかりませんが、洪明甫さんはじめスタッフや選手に称賛があってもいいと思います」と擁護した。
森保監督と洪明甫監督は対照的な評価となっているが、日本代表を取材するライターは違和感を口にする。
「森保監督が今大会で成功を収めたかと言ったらそうではない。決勝トーナメントに進出はしたものの、ブラジル戦では戦術、選手起用の差で負けている。ちょっと神格化されすぎているように感じるんですよね。批判できない空気が流れている。22年のカタールW杯はグループリーグでドイツ、スペインを撃破するなど、日本代表のレベルを引き上げたことは間違いないですが、アジアカップは2度とも優勝していないし、W杯も決勝トーナメント初戦で2大会連続敗退している。『よく頑張った』、『感動をありがとう』と労いの言葉だけでは、世界の強豪国との差は広がるばかりです。敗因を徹底的に分析し、今大会の戦いぶりを踏まえて監督交代の議論が巻き起こるぐらいの空気にならなければ、世界の頂点を狙えるレベルに到達できません」
それでも“優しい”報道が続く背景には、
「報じる側にも、(日本)サッカー協会を敵に回すと面倒だという意識が働くんです。出禁を食らうなどの圧力はないのですが、代表を取材するサッカーメディアの世界はいわゆる“村社会”なので、厳しい批判をすると浮いてしまう。結果的に、森保監督のごますり記者となってしまうケースが多い」
つかの間の休息を経て、4年後のW杯への戦いが始まる。次の代表監督人事は、23日に開かれるJFA理事会をメドに議論が集約される予定だ。ここに来て半年間の任期での森保氏続投が相次いで報じられているが、それが批判的検証もないまま“既定路線”になってしまってよいのだろうか。
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デイリー新潮編集部
