絶対王者すらも驚愕させる、恐るべき20歳の若武者が大躍進した。将棋の早指し団体戦「JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026」予選Bリーグ1位決定戦、東武鉄道 北関東ブリッツァーズ 対 中国・四国ナヴィセトスの激闘が7月4日に放送された。この日、誰よりも光り輝いたのは中国・四国の藤本渚七段(20)だ。“絶対王者”である北関東の藤井聡太竜王・名人(王位、棋聖、棋王、王将、23)ら六冠王を含むタイトル経験者3人を次々と打ち破る八面六臂の活躍。また、盤上のみならず、新ルールを逆手にとった高度な心理戦でもファンを熱狂させることとなった。

【映像】迫力がエグい…藤井六冠の「わかりました」(実際の映像)

 注目を集めたのは、藤本七段が「先手番入札制度」で見せた盤外の深い読みだ。勝ち抜き戦となる第2ステージ、第6局の佐藤天彦九段(38)戦において、藤本七段は先手番を得るよりも時間を優先し、わずか「1秒」を入札した。今回の両チームの対戦では、これまで40〜50秒、さらに1分10秒を超える時間が入札される過熱した流れが続いていた。

 しかし藤本七段は、「これまでどちらも先手番を取るためにかける時間がどんどん増えていったので、どこかで反転する瞬間はあると思っていた」と冷静に考察。結果的に佐藤九段が「5秒」で先手番を獲得し、藤本七段は「作戦失敗」と苦笑いしたが、「振り駒をしたと思って動じず、気にせずに頑張りたい」と冷静さを失わず、見事に白星を掴み取った。

 さらに、勝利して連投で迎えた第7局の藤井竜王・名人戦では、一転して強烈な勝負手を放つ。藤井竜王・名人が「先手は欲しい。40〜50くらいで入れようかと考えている」「割りと強めに行こうかな」と57秒の入札を決断する中、藤本七段は「さっきとは正反対で、50秒〜2分」「後手番に全く自信がないんです」とチームメイトに吐露。「全力で先手を取りに行こう、ということです」と、なんと本大会最大値となる『2分1秒』を投じたのだ。これには藤井竜王・名人も「ええ〜!?大記録ですね、大記録」とビックリ。「わかりました」と静かにうなずき、闘志に火がついた様子だった。

  持ち時間を大幅に削ってまで先手番にこだわった大一番は、互いの意地がぶつかり合う激しい攻め合いとなった。息を呑む終盤戦、極限の一手争いを制したのは、若きエースの藤本七段だった。対局後のインタビューで藤本七段は「指した3局、どの対局ももうダメだと思った瞬間があったので、偶然でした」と謙遜しつつ、驚愕の入札時間については「藤井先生相手に後手はかなり厳しいと思っていたので、何が何でも先手をいただきに行くという姿勢でした」と、揺るぎない覚悟だったことを明かした。

 この恐るべき20歳の勝ちっぷりに、敗れた藤井竜王・名人も「藤本七段は時間配分も含めて、このルールに上手く適用して指されているという印象を強く感じた」と舌を巻いた。時間やルールの特性を完全に掌握し、盤外の駆け引きから盤上の大熱戦までを制圧したエースの姿に、視聴者からも「渚がやり切った!!!!」「いい将棋だった」「なぎさま嬉しそうだ」「終盤すごすぎ」「渚ラッシュ決まった」「素晴らしい!」と惜しみない賛辞のコメントが殺到。チームの1位突破を自らの手で引き寄せた藤本七段の存在感は、今大会を通じてさらに大きく輝きを増している。

◆JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026 超早指しの『ABEMAトーナメント』と『地域対抗戦』が融合した新シリーズ。全国を6つの地域ブロックに分け、全8チームによって競う団体戦。各チームは監督1名とドラフト会議で指名された棋士4名の計5名で構成される。予選は4チームずつ2リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出。試合は5本先取の9本勝負で、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。今大会より「先手番入札制度」を採用。対局開始前に持ち時間を「競り」にかけ、提示した時間がそのまま対局時の持ち時間からマイナスされる。
ABEMA/将棋チャンネルより)