マルチメディア池袋がオープン ヨドバシカメラ「幻のリニューアル計画」は具現化されたか
ニュースサイト「WWDジャパン」がX(旧Twitter)に投稿した画像がきっかけで、広大なカプセルトイ売り場に注目が集まったのだが、あくまでもこれは店舗のワンフロアの1コーナーに過ぎず、動画で紹介されたエリアの数倍ものスペースがワンフロアに存在する。面積自体は知育玩具の売り場と大して変わらないのだが、盛況ぶりは他の売り場とは別次元で、21時を過ぎても至る所で両替機から出てくる小銭の音が響き渡り続けていた。またプラモデル・フィギュアコーナーも圧巻の品ぞろえで、数えきれないほどの「ガンプラ」の箱が棚を埋め尽くしていた。
広大な売り場に無数の商品を展開するヨドバシカメラを見て思い出したのが、新宿西口本店の大規模再開発計画である。10年以上前、ヨドバシカメラは複数の建物にまたがる本店の敷地を1つにまとめる計画を打ち上げた。その後はヨドバシカメラが入居していない建物を含め、周辺の土地や建物を「ヨドバシ建物」が購入したが、不動産を取得しただけで工事が始まる気配はない。結局、新宿西口本店はスマートフォン売り場と充電器専用売り場が離れた場所にある、玩具売り場とゲーム売り場が離れているといった、不便な状態が続いている。
ヨドバシカメラ新宿西口本店の店舗案内 ライバルは家電量販店だけではない
この駅直結とも言える立地での店舗展開はヤマダデンキ、ビックカメラ、ノジマからすると大きな障壁になりえる。だが、戦々恐々としているのはそれだけではないだろう。ヨドバシ酒店は東武百貨店内にある「酒Market」などの、グループ会社である石井スポーツの売り場は「KAMO」や「ムラサキスポーツ」などのライバルになりうる。ガンプラを始めとした各種玩具類に関しては「オタクの街」全体の人気を吸い上げる可能性もある。周辺店にとっては、隣にイオンモールができたような脅威を感じるかもしれない。
ただし、ヨドバシカメラ自体にも弱点はある。既存店と同様、マルチメディア池袋でもPayPay、楽天ペイ、AlipayなどのQRコード決済に対応していない。それどころか、自社で発行しているクレジットカードの「タッチ決済」にすら非対応という、キャッシュレス対応に消極的な姿勢を見せている。インバウンド客にとっては支払いの利便性は売り上げに直結するケースが少なくない。ここをヨドバシカメラが克服した時こそ、他社にとっては本当の脅威になり得る。
閉店時間を迎えた22時、他店と同様に「蛍の光」をBGMにし、来店を感謝するアナウンスなどが流れた。SNSでは「ベイブレード売り場でベトナム人の暴動が起きた」「日本人がほとんどおらず、転売ヤーらしき中国人が店員の言うことを聞かない」といった真偽不明の情報がいくつも飛び交ったが、閉店時間を過ぎても店内に居座ろうとするような人はおらず、初日の営業を穏やかに終えた。なお、「トイレがきれい」という情報だけは、紛れもなく事実だった。
文/池田聖人 内外タイムス編集部

