なぜ森保ジャパンは逆転されたのか。延長戦に持ち込んでいたとしても…ブラジルとの差は大きかった【分析コラム】
ポジション的に寄せが可能なのは上田綺世くらいだが、後半は運動量がガクッと減り、あの場面で二度追い、三度追いとはいかなかった。後藤啓介を投入してチェイシングさせる手はあったが、昨年のブラジル戦でCKから決勝点を奪った上田のことは、最後まで外せなかったのではないか。
もちろん、後半のブラジルの4−2−4は、相手もリスクを負っている。SBやボランチが高い位置を取るため、ボールを奪われたときに中盤がスカーンと空き、カウンターにさらされやすいのだ。54分、自陣ボックスでボールを拾った鎌田のドリブルから日本がロングカウンターを見舞った場面が、まさにそれだった。5対3で突撃し、最後は中村敬斗のクロスまで到達している。なぜかCKではなく、ゴールキックにされてしまい、あの判定は痛恨の極みだったが。
人数をかけて押し込む相手に対し、ロングカウンターの刃を突きつける。3月のイングランド戦で三笘薫が挙げたゴールも、これに似た形だった。ところが、今大会の日本はその三笘も、久保建英さえ怪我で欠き、ブラジルのリスクに対する刃=脅威を失っていた。下げられない上田、入れられない三笘&久保。今の戦術を完遂するための手駒が詰まった感はある。
中央でギマランイスがボールを受けたとき、急いで寄せた佐野は、股を閉じてシュートが抜けるコースを塞ぎ、後方では冨安健洋もシュートブロックに立ち位置を動かした。ところが、それによってマルチネッリへのパスコースがわずかに空き、シュートをキャンセルしたギマランイスからパスが通ってしまう。
DAZNでシーンを見返すと、解説の内田篤人さんも「股だけ気をつけて!」と言っていた。佐野や冨安と、同じ判断を共有していたわけだ。ところが、ブラジルはブラジルだった。まさかパスを選ぶとは。
1−1の終盤で、あの余裕。すでに手駒に詰まった日本との差は大きかった。
文●清水英斗(サッカーライター)
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