自動車大手のフォードでAI主導の自動化がうまくいかず人間のベテラン技術者を再雇用せざるを得ない事態に

by Rutger van der Maar
AIの登場によってこれまで人間が担当していた仕事の一部はAIによって自動化されることが増え、雇用機会がAIに奪われることで失業者が今後著しく増加するのではないかといわれています。そんな中、大手自動車メーカーのフォードが品質問題の改善に向けてAIによる自動化を進めていましたが、AIがうまく機能しなかったために経験豊富な技術者を再雇用したと報じられています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-06-25/ford-has-been-rehiring-quality-inspectors-after-ai-fell-short
フォードは過去3年間で、元従業員やサプライヤー出身者を含む350人のベテラン技術者を採用。これらの技術者は、若手社員の教育に加え、期待した成果を出せなかったAIツールの見直しにも携わっています。
フォードは従来の設計要件をAIに取り込むことで高品質な車両を生み出せると考え、品質管理の自動化を進めてきました。しかし、AIによって自動化された品質保持プログラムの成果は芳しくなく、結局長年の製品開発を経験した技術者の判断を機械学習とAIの運用に反映する方針へ転換したそうです。

by Mike Mozart
フォードの車両ハードウェアエンジニアリング担当バイスプレジデントであるチャールズ・プーン氏は「人工知能は素晴らしいツールですが、その性能は学習に使用する情報の質に左右されます。ここ数年、私たちは数多くの製品開発を経験してきた熟練技術者の知見を十分に生かせていませんでした」と語っています。
記事作成時点でフォードは、ベテラン技術者が品質問題を徹底的に検証する会議を主導し、AIツールを再プログラムして不具合の未然防止を図っています。部品が工場の現場に届く前に故障につながる要因を探し、その知見をAIツールの再設定に反映して、不具合の発生前に兆候を捉える運用を目指しているとのこと。
その結果、フォードは2025年の初期品質調査で主流ブランド中10位と業界平均を下回っていたのが、今回は主流ブランドで首位を獲得。F-150、Super Duty、Mustangの3車種もそれぞれのカテゴリーで首位となりました。今回の改善幅は同種ブランドで最大となり、保証対応やリコールに伴うコストの低下にもつながり始めているとしています。

by Txemari. (Navarra).
一方で、フォードは依然としてアメリカでリコール件数が最も多い自動車メーカーです。経営陣はリコールを品質改善の遅行指標と位置付け、工程の早い段階で問題を防ぐAIとベテラン技術者の組み合わせにより、新型車でのリコール減少を見込んでいます。
