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アメリカとイスラエルによるイランへの電撃的軍事攻撃は、国際社会に大きな衝撃を与えた。イラン指導部中枢が標的となり、最高指導者の死亡も伝えられている。北朝鮮にとって、この事態は決して他人事ではない。

アメリカはかつて、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んだ。イラクではサダム・フセイン元大統領が処刑され、イランでも指導部が直接狙われた。残るのは北朝鮮だけだ。

北朝鮮はアメリカ本土を射程に収める核・ミサイル能力を保有しているとされるが、それでも安全が保証されているわけではない。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は核開発を加速させる一方で、トランプ大統領との対話の余地を残しており、情勢次第では米朝首脳会談が実現する可能性もある。

イラン攻撃を受け、北朝鮮外務省は1日、「最も醜悪な形の主権侵害だ」とする談話を発表した。ただし、トランプ氏を名指しで非難することは避けた。同日、正恩氏が視察したのも軍需工場ではなくセメント工場で、アメリカを過度に刺激しない配慮がうかがえる。

イランと北朝鮮は、ミサイルや無人機、核技術をめぐり協力関係を築いてきた。しかし、イランには実戦配備された核兵器はなかった。この点こそ、アメリカが限定的な軍事攻撃と指導部への強い圧力に踏み切れた背景とみられる。

最大150発の核弾頭を保有する北朝鮮

一方、北朝鮮は最大で約150発の核弾頭を保有しているとされ、多様なミサイル戦力も備える。朝鮮半島の地理的条件を考えれば、北朝鮮への攻撃は即座に韓国・ソウルや在韓米軍に甚大な被害をもたらす。さらに、同盟関係にある中国やロシアの存在も、軍事オプションを難しくしている。

それでも、今回のイラン攻撃は正恩氏に「次の標的は自分ではないか」という現実的な恐怖を突きつけただろう。正恩氏は従来から、ドローン攻撃や精密打撃、いわゆる斬首作戦に強い警戒心を示してきた。

2018年末に検討された正恩氏のソウル訪問が直前で中止された。この背景にはドローン攻撃への懸念があったと、当時の関係者が著作で明らかにしている。

今後、北朝鮮は身辺警護や内部統制をさらに強化し、軍の警戒態勢を引き上げるとみられる。核抑止力こそが体制を守る唯一の手段だとして、核開発を一層進めるだろう。

ただし、正恩氏が全面的な対決を望んでいないことも確かだ。2026年2月に開かれた第9回朝鮮労働党大会で、正恩氏はアメリカとの対話に含みを残す発言を行っている。

トランプ大統領は3月末から中国を訪問する予定だ。韓国・統一研究院の趙漢範(チョ・ハンボム)上級研究委員は「イランへの軍事行動が長期化すれば、トランプ氏への批判が強まる可能性がある。そのタイミングで正恩氏との会談が実現すれば、外交成果として強調できる」と指摘し、訪中日程の合間に、米朝首脳会談が模索されるとの見方を示した。

文/五味洋治 内外タイムス