広島は後半のスタートからMF中島洋太朗を投入。「(前半は)相手が前から来る中で、うまくボールを持つことや前に運ぶところが少し難しそうだった」とベンチで戦いを見ていた19歳は、「もっと自分たちのゲームにできたらいいなと思っていた」と静かに闘志を燃やしていた。ピッチでは「人もボールもどんどん動かしていかないとスペースは空かない」と落ち着いたプレーで攻撃を作って持ち味を発揮していたが、自身のプレーについては試合後に「納得はしてないです」ときっぱり。「引き分けや勝ちに持っていきたかったし、あまり何もできなかったという感じです」と話し、「(ピッチに入ったときの歓声は)ものすごくうれしかったし、だからこそ勝利を届けたかったので、すごく悔しい気持ちです」と心境を明かした。

 後半は選手を入れ替えつつチームも前に出る姿勢は見せたものの、攻撃がうまく噛み合わず、逆に相手のカウンターに再三脅かされた。それでも90分、MF新井直人がペナルティエリア前の中央でボールを持つと、「ワンタッチでいいパスをもらえたので、もうシュートしか考えてなかった」。前を向いて左足を振り抜き、豪快なミドルシュートを叩き込んで1点を返した。「結果的に勝てなかったので、どう映っているかわからないけど、自分としてはいいゴールが決まったと思う」と振り返った。

 嫌な流れを切り裂くような一撃。ゴールへとつながったのは個で打開する強気な姿勢だった。新井は、「ミラーゲームだからこそ、(目の前の)1対1で勝ることができればいいだけの話というのがシンプルな答えだと思うので、いかに個人がどう剥がしていくだとか、3人目でどうやっていくだとか、ミドルシュートもそうだと思うし、そういう部分でやっぱり違いを作る必要があると再認識しました」と力強く話した。

 広島は大歓声を背に最後まで得点を目指したが、反撃は実らずに1-2で敗戦。下位で苦戦する名古屋に前半戦と同じスコアの1-2でシーズンダブルを喫し、5位に後退した。試合直後のお決まりの円陣では、いつも以上に厳しい表情のスキッベ監督が激しい身振り手振りで選手たちに話しかけていた。内容はわからないが、それはミスや負けへの感情よりも、自分たちの力を最大限に発揮することへの情熱だろう。

 指揮官の激情に触れた新井は、「今のチームとしては負けを許されるチームではないと思うし、それだけ戦力を持っていると思う。監督もチームがこんなもんじゃないと思っているので、監督が言ってくれて当然だと思いますし、この相手に負けるチームではないと思っているので、そこは自分たちが目を覚ます必要があると思うし、間違いなく次戦に響くような監督の声だったと思います」と奮い立たつ。