建て替えプロジェクトが進まない最大のハードルは、容積率に余剰がないと「等価交換方式」が成り立たないという点にあるからです。
今回の区分所有法改正だけでなく、容積率の緩和を含め、関連法令全体が一体となって「建て替えしやすい」方向へ進まないと、まだまだ建て替えの現実性は低いと言わざるを得ません。

3. 建物と敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取り壊し
今回の改正で、最も大きな影響を受ける可能性があるのが、以下の項目です。
全員同意から「4分の3」決議へ:これまで全員同意が必要で非常にハードルが高かった「建物と敷地の一括売却」、「建物一棟リノベーション」、「建物の取り壊し」が、建て替えと同じ4分の3の決議で可能になります。
これは、長期修繕計画の「終活」、つまり最終的な考え方が変わる可能性があるという点で非常に大きいと言えます。
これまで「建て替えは難しい」「全員同意が必要で合意形成が取れないから、基本は維持管理」という計画がベースでしたが、今後は「建物敷地一括売却」「一棟リノベーション」といった選択肢が現実的に入ってくることになります。

もちろん、法律が変わってすぐに考え方が変わるわけではなく、こうした取り組み事例が蓄積され、知見がたまることで、一括売却、建て替え、一棟リノベーション、または建物の取り壊しといった多様な最終選択肢が生まれることでしょう。
山本さんは、「今後、こういった事例を作ってくださるマンションが出ることが期待される」と述べ、この改正の意義の大きさを強調しています。
これにより、解体費用を見込むか見込まないかによって修繕積立金の考え方も変わってくるなど、マンションの長期修繕計画や修繕積立金について深く考えさせられる契機となるでしょう。

一棟リノベーションや取り壊しを検討すべきマンションの特徴は?

一棟リノベーションや建物の取り壊しは非常に興味深い選択肢ですが、どのようなマンションがこれを検討すべきなのでしょうか?
山本さんによると、現状で思いつく特徴としては、やはり「立地が良いマンション」が挙げられます。
建物と敷地を取り壊す場合、最終的に買い手となるのはデベロッパーなどの事業者です。彼らは当然、採算を見込んで購入を決定します。解体費用や新築コストを考慮しても採算が合うかどうかを考えた際に、土地の価格が非常に重要になります。

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