「お父さんからも『桐生第一はボールを繋ぐし、前橋育英を倒さないと全国に行けないというのも、明確な目標があっていいんじゃないか』と背中を押してくれました」

 覚悟と夢を持って群馬にやってきた本間は、1年生の終盤に出番を掴み、今年はダブルボランチの一角として主軸となった。

「インターハイ予選は4試合を通して、簡単な試合は1つもなかったし、準決勝(健大高崎戦)と決勝は今までの相手と違ってプレスや強度も高くて、手強かった。前橋育英のダブルボランチは去年の選手権優勝のキーマンでもあったし、レベルが高いのは分かっていたのですが、実際に対峙してみて『相当な壁だな』と感じました。

 柴野(快仁)選手は隙があったら縦にボールを出したり、ドリブルを仕掛けたりして、常に前を見ている選手で怖かったし、竹ノ谷(優駕スベディ)選手はカバーのスピードが速いし、僕らがボールを持つといつも厄介な場所に立っていて。試合中、どうやったら打ち破れるかを考えながらプレーしていました」

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 67分に交代を告げられるまで、あっという間だった。ベンチに下がってからチームは失点し、結果として敗れた現実に、自分自身の力不足とともに、反骨心と向上心が一気に燃え上がった。

「サポートの位置とか、味方との距離感を近くしたり、ワンタッチなど少ないタッチで展開したりと工夫したのですが、今思うと、もっと運ぶべきところで運んでおけば良かったと。もっと守備を磨かないといけないし、いろんな課題を突きつけられました」
 
 経験が人を成長させる。小学生の頃からボランチ一筋の本間は、月日を重ね、経験を積み重ねれば積み重ねるほど、父の偉大さを痛感するという。

「現役時代のプレーは僕がまだ小さい頃だったので、あまり強烈な印象はなかった。でも、ボランチを深く知れば知るほど、『初歩的なトラップが大事だよ』とずっと言われていて、その重要性を痛感する。守備の部分でも『ボールをどちらに寄せるかなど、攻守において常に予測しておかないといけないよ』と常に言われていた言葉の深さ、重みを感じています。『お父さんはすごく考えながらやっていたんだな』と」

 サッカー以外にも大事にしている言葉がある。それは「謙虚にやりなさい」だ。常に自分にベクトルを向けて、高みを目ざしていく。ボランチとして、人として、本間響は自分の思いと信頼する人たちのアドバイスを心に響かせながら、着実に成長の階段を登っていこうとしている。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)