防災のプロが教える、必ず知っておきたい「ペットの防災テク」6つ。ベストな避難場所も紹介
大切な家族の一員であるペット。よりストレスのない避難生活のためには備えは不可欠です。「もの言わぬ、小さな命を守ることができるのは、飼い主であるあなたです。」というのは、国際災害レスキューナースの辻直美さん。今回、ペットとの避難方法や、日頃からどのように備えておけばいいのかについて、教えてもらいました。

ストレスが少ないのは在宅避難か預けること
「被災時、ペットとは『同行避難』が推奨されていますが、避難所で一緒に過ごせるわけではありません」と辻さん。
飼い主と同部屋で過ごせるのは「同室避難」で、それが可能な避難所はまれ。同行避難では建物の外にケージを並べ、そこに収容されるケースがほとんどだとか。
「犬が鳴いている横に猫のケージがあり、その横にリスがいたりするわけですから、相当なストレスです。アレルギーのある人もいるので仕方のないこと。そういうものだと思って対策をしてほしい」(辻さん、以下同)
ベストは自宅で一緒に避難をすること。十分な備えがあれば可能ですが、倒壊の危険があれば、自宅にとどまることはできません。
「ペットと一緒に身を寄せられる場所、あるいは、預かってもらえるところを確保しておきましょう。また、ペットも被災訓練をしておくといいですよ」
ペットフードなどの備蓄は当然として、あらゆる可能性に備えることは飼い主の責任なのです。
ペットとの避難のパターン

ペットの避難方法として、おもに4つの方法があります。
●1:自宅で一緒に過ごす
オススメ度 ★★★★★
ペットのストレスが最も少ないのがこの方法。火災や自宅倒壊のリスクがなければ、一緒に在宅避難するのがベスト。
「ただ、飼い主が在宅時に地震が起こるとは限りません。被災時にすぐに自宅に帰れないときはどうするかも、想定しておきましょう」
ペットだけで生き延びられるようエサと水の用意を。
●2:ペットホテルか信頼できる人に預ける

オススメ度 ★★★☆☆
飼い主と離れることにはなりますが、信頼できる人に預かってもらえればひと安心。3匹の猫を飼っている辻さんも、友人・知人と自助グループをつくり、ペットが安全に避難できる場所を確保しているそう。
「平時からのつながり&根まわしが大切です」
●3:同行避難

オススメ度 ★★☆☆☆
基本は屋外でのケージ暮らしとなります。
「飼い主と離れる訓練ができ、ケージの中にずっと入っていても大丈夫で、その中で排泄ができる子は、同行避難でも比較的、ストレスが少なく過ごせる」と辻さん。
言い換えれば、そうした訓練ができていなければ、同行避難は相当なストレスがかかります。
●4:逃げるリスク大!の車中避難

オススメ度 ★☆☆☆☆
「ペットを避難所に連れていけず、家族がローテーションで車中泊をしながらペットと過ごすというケースはよくあります」
ただ、慣れない車中に閉じ込められてペットにかかるストレスは大。逃げ出してしまうリスクも高いので、おすすめできないそう。
ペットのための災害への備え

ペットの災害の備えについて、日頃からやっておきたいことを6つ教えてもらいました。
●1:月イチは“訓練デー”に
辻家では定期的に猫の防災訓練を実施。フードを袋のまま置いておき、猫自身が袋を噛(か)み切って食べる状況をつくっているそう。「誤嚥(ごえん)を心配する人もいますが、噛み切った小さなアルミ片はちゃんと吐き出します。ペットには生きる力が備わっているんです」
●2:ケージ&キャリーに慣れさせておく

同行避難をした場合はもちろんですが、「ペットを安全なところに移動させる」という状況に備えるため、キャリーやケージに慣れておくことは必須。
「キャリーを“落ち着く場所”として認識してもらえるよう、日頃からリビングなどに置いておくといいでしょう」
●3:ストックは3か月分を目安に

「被災して流通経路が閉ざされたら、ペット用品が買えるようになるのは最後の最後だと覚悟して」と辻さん。
そのため、エサとペット用の水は人間用の備蓄よりも長く、3か月分を用意しておきたい。ペットシーツや猫砂などのトイレ用品も忘れずにストックしておくこと。
●4:マイクロチップや迷子札をつけておく

災害発生のパニックから逃げ出してしまう子も。行方不明対策として、マイクロチップや迷子札は必ずつけておきましょう。
「東日本大震災、熊本地震ではマイクロチップや迷子札がついていなかった犬猫で、飼い主の元に戻った子はほぼいませんでした」
ペットの写真や緊急連絡先、ワクチン接種状況などの情報を備えておくとよいでしょう。
●5:ペットがいることを近所に知ってもらう
犬好き、猫好き同士のコミュニケーションが、いざというときの助け合いネットワークにもなります。
「被災していない仲間に預かってもらえるかもしれませんし、ペットも含めて顔見知りになっておくと、逃げてしまったときの情報収集にも役立ちます」
●6:いろいろなフード、水、トイレに慣れさせておく

口に入れることと体から出すことは、命と直結する大問題。
「猫に軟水を飲ませている飼い主さんも多いですが、避難生活では入手できないこともあります。また、救援物資で届くエサの銘柄は指定できません。なんでも食べられて、どこでも排泄できる子になっていてほしい」
