「なんか今日も大丈夫」60代ひとり暮らし、“自己肯定感が上がる”30分のゆる習慣
ついついスマホに手が伸びてしまう朝の時間。できることなら有効に使いたいもの。成人した3人の子を持ち、現在はひとり暮らしをしている著述家の中道あんさんは「今の自分」と向き合うことで、朝のルーティンを継続できていると語ります。中道さんが実践している朝の習慣と、心のもち方について教えてもらいました。

早起きに失敗しても焦りすぎない
朝、目が覚めて最初に考えるのは「今日はなにから始めよう?」という問い。
でもこの問い、意外と重たい。自由なはずの朝なのに、なにをしようか迷っているうちに、ついスマホに手が伸びて気づけば30分…。なにも始まっていないのに、少しだけ疲れてしまう。
これってもしかすると、“選択疲れ”だったのかもしれません。そこで私は、朝のルーティンを「決める」ことで選択を減らすことにしました。
「早起きは三文の徳」と言われているように、早起きすればそれだけ時間を有効に使えます。けれど、どうも私は早起きが苦手です。本当はあとあとのことを考えて6時半に起きたいのに、実際は7時をすぎることが多い。
そんなとき、以前までは少し寝坊をするだけでも焦りが出ていました。しかし今は「そんなに急がなくたって大丈夫」と自分に言い聞かせるようにして、目覚めの日課に取り掛かります。
ゆるく続ける朝の30分ルーティン

日課の内容はとてもシンプル。朝ヨガ10分、腕立て伏せ10回、腹筋ヨガ3分、そして5分だけの瞑想。大事なのはがんばらないこと、継続を目標にすることです。
週1で通っているピラティスでは、今年から腕立て伏せがプログラムされました。ところが、いざ腕立て伏せをしたら「腕が折れる」という謎の恐怖心があって上手にできないのです。
一方、私よりも少し年上のN子さんは、90度に曲げた肘を体に密着させながらかかとから頭まで一直線の美しいフォーム。
ずっと一緒にトレーニングをしてきたけれど、いつの間にか私にはできないことが増え、彼女との差は開くばかりです。トレーナーにコツを丁寧に教えてもらい、腕は少し曲がるようになりましたが、週1のトレーニングでは彼女には到底追いつけないと思い、家でも練習することにしたのです。
朝10回ゆるく腕立てをやっていくうちに、ずいぶん深く腕を曲げられるようになってきました。自分の限界を超える負荷をかけていくと、もっと早くできるようになるでしょう。
でも、ストイックなことは続かない。“がんばる”より、“ゆるく続ける”ことを選んでみたら、この時間がいい感じに自分を整えてくれるのです。時間にすると30分くらいでしょうか。最後に5分間の瞑想をするようにして、いろいろ考えてしまいがちな脳をスッキリさせてから1日が始まります。
「完璧」より「自分のペース」の方が継続できる

毎日やろうとは思っているけど、“できない日があっても責めない”ようにする。完璧にやるより、優しく続ける方が自信になります。少しずつ深く曲げる腕立て、じわじわ増える自己肯定感がいいのです。
ピラティスを始めて5年目、「今の私」に合わせた軽やかな習慣が、じつはいちばん続くと実感しています。
そうは言っても、継続には強い意志が必要なんじゃないの? と思われる方もいるかもしれません。たしかに、やる気があればなんだってできる! という人の意志ほどあてにならないものはありません。だからこそ、言い訳ができない状況にしておくのです。
●習慣を継続させるためのちょっとしたコツ
・ベッドの脇にスマホを置かない→ついスマホを見てしまうのを防ぐ
・トレーニングウエアに着替えない→なにを着よう? と迷ったりする時間をつくらない
・ヨガマットを引かない→ラグの上でもできる内容にする
・トレーニングのレパートリーを増やさない→心の負担を軽くする
自分の「今」に目を向けられる時間

ベッドから起きたら、水をコップ1杯飲んで、ラグの上でお決まりのYouTube動画を見ながらストレッチヨガを始める。まったくの流れ作業のように。毎日同じことをやっていると、調子のよい日とそうでない日がわかるようになります。
たとえば、「今日は体が重い」「昨晩食べすぎてしまったせいで胃が動かない」という日もあれば、「体が軽くて気分も明るい」「さぁ、今日もがんばるぞ! と謎のやる気に満ちている」という日もあります。
「あ、今こういう状態なんだな」と、自分の体調や気分の“変化”に気づける。これって、忙しくしていた頃には見逃していた感覚かもしれません。
自分の“今”にちゃんと目を向けることができる時間。どんなに小さなことでも、“決めたことを自分で守れる”って、大人になってもすごくうれしい。そして、それが日々の安心感や、ちょっとした自信につながっているように思うのです。