記事のポイント

ドリンクウェア市場が鈍化するなか、スタンレーは新市場・新商品で多角化を進めている。

また、クーラーバッグやクロス・ボトルなど新商品を投入し、ライフスタイル需要を開拓中。

有名アスリートやブランドとのパートナーシップを強化し、世界規模の文化的ライフスタイルブランドへの進化を目指している。


ここ数年見られたドリンクウェアのブームが下火になっており、スタンレー1913(Stanley 1913)のようなブランドは新たな成長分野を探し始めている。

サカーナ(Circana)のスポーツ用品担当アナリストであるマット・タッカー氏によれば、2024年9月から2025年2月まで、スポーツ用品店におけるウォーターボトルと耐熱用品の売上高は前年同月比で減少が続いたという。同氏は原因として、これらの商品が入手しやすくなったことと、炭酸飲料、エナジードリンク、スポーツドリンクといった商品への支出増加を挙げている。年単位で比較した場合、スポーツ用品店におけるこのカテゴリーの成長率は、2023年には38%だったが、2024年には14%まで鈍化した。

3月に開催されたショップトーク(Shoptalk)で、スタンレーのプレジデントを務めるマット・ナバロ氏は米Modern Retailに、「ドリンクウェア部門全体が冷え込むなか、スタンレーは新しい国、新しい商品の両面で多角化を図るつもりだ」と語った。スタンレーは業績を公表していないが、ナバロ氏によれば、2020年から2024年にかけて事業全体が大幅に成長し、現在も主要な商品、カテゴリー、国の成長が続いているという。

スタンレーのマーケティング遍歴



「断定するのは時期尚早かもしれないが、特に米国においては、水分補給カテゴリーが落ち着きつつあることは確かだ。だからこそ、我々はこの12カ月、世界のほかの地域への進出を推し進めてきた」と、ナバロ氏は言い、「ブランドと小売企業にとって、ドリンクウェアの分野で先頭を走り続けるには、適切な品ぞろえ、上質な体験、十分に販売戦略が練られた製品が不可欠だ」と続ける。「これまでにないほど困難な状況だが、我々のチームは今後6カ月から8カ月で困難を乗り越えることができると考えている」。

ナバロ氏の見方では、現在、スタンレーは第3期にある。スタンレーはその第1期、米国の労働者のため、耐久性と信頼性の高い商品をつくることに注力していた。第2期には、アウトドア愛好家へのマーケティングを強化した。そして現在、より広範な水分補給カテゴリーに力を入れている。ナバロ氏が説明するとおり、スタンレーはこのカテゴリーに色彩を持ち込むことで、若者や女性の消費者を獲得した。

「我々は停滞気味の市場に創造的破壊をもたらした」とナバロ氏は語る。「その傾向は2024年まで力強く続いていた。それを維持するため、今後も関連性と革新性のある商品を市場に投入し続ける必要がある」。

同氏によれば、スタンレーは英国、ドイツ、日本、韓国、中国、オーストラリア、ニュージーランドで高い成長率を記録しており、北米、ヨーロッパ、アジアだけでなく南米のような市場にも進出する計画だという。「そのような多角化こそが、我々の戦略の根幹を成すものだ」。

さらにスタンレーは、ハードクーラー、ソフトクーラー、バッグなどの新商品を発売した。2024年には、ミニクーラー、バックパッククーラー、クエンチャー1.18リットル用のキャリーオールを含む、ブランド初のクーラーバッグシリーズを発表し、10日ほどで約5万人の購入希望者を獲得した。

また、2024年にはクロス・ボトル(Cross Bottle)も発売した同商品は、斜め掛けできるストラップが付いた約0.68リットルのウォーターボトルだ。「我々はそこに空白を見つけ、バックパックやスリングバッグ、ウェアラブルウォーターのようなものを通じて、それをライフスタイルの一部にしたいという消費者の意欲や需要を見いだしている」とナバロ氏は話す。「我々にとって本当に大きな機会であり、我々が積極的に取り組んでいることがわかるはずだ」。

世界規模の文化的なライフスタイルブランドへ



サカーナのタッカー氏は、2025年も各メーカーの市場シェア争いが続き、新色や新デザインの投入に加えて、リピート顧客を引き付けるために、関連するブランドとの新たなパートナーシップが見られると予想している。

たとえば、スタンレーは2024年、サッカー選手のリオネル・メッシ氏とブランド初となる複数年契約を結んだ。また、バービー(Barbie)やエルフ・コスメティックス(e.l.f. Cosmetics)とのパートナーシップでも、新たなコレクションを発表し続けている。

「今後60日または90日以内に、アスリート、エンターテイナー、そして、文化の中心にいる人々との驚くべきパートナーシップやコラボレーションを発表する予定だ」とナバロ氏は予告する。「我々は今も(顧客との)密接なつながりを保ち、文化の中心にい続けている。そして、商品と実用性のブランドから、世界規模の文化的なライフスタイルブランドへと進化を遂げている」。

米国の関税に関する発表がまだ行われていなかった3月の時点で、ナバロ氏は、企業経営者にとって厳しいマクロ経済環境だと認めていた。同氏によれば、事業が特定の部門や国に過度に集中しないよう、原材料、商品、その調達先の多様化に注力しているという。

「変化が非常に速く、しかも激しい」とナバロ氏は述べ、こう続けた。「我々はこの数年間で構築してきたサプライチェーンの回復力、効率性、柔軟性に大きな自信を持っており、適切な価格、適切なタイミング、適切な方法で、消費者に商品を提供し続けることができると確信している。そして、政治的、地理経済的な見地から、事態の進展に対して評価を続けていく」。

[原文:Stanley shares its playbook for growth as sales overall cool in the once-booming drinkware sector]

Mitchell Parton(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:島田涼平)