なぜかよいアイデアがポコポコ浮かんでくる…本当に仕事のデキる人が頻繁に行っている場所、話している内容
※本稿は、島青志『いつもひらめいている人の頭の中』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

■「勉強しなさい!」という言葉の罪深さ
あなたが学生時代、試験前に必死になって覚えたことは、今どれほど記憶の中に残っていますか? おそらく「ほとんど覚えていない」人が多いのではないでしょうか? 今どころか「試験が終わった瞬間に記憶の彼方に飛び去った」という人も少なくないかもしれません。
理由は簡単です。無理やり覚えようした知識や、親や先生から「勉強しなさい!」と怒られながら詰め込んだ情報には、当然のことながら「ネガティブ」感情のラベルが貼られています。そうすると脳のゲートウェイであるA10神経群が、これは脳にとって有害な情報であると判断して中に入れまいと働いてしまうのです。
だから必死に頑張れば頑張るほど、知識は頭に入りません。試験の日は迫ってきて、気持ちも焦ってきます。睡眠不足でイライラしてきて、「何でこんなことをしなければいけないんだ!」と学校や親に対しても恨みの気持ちも起きてきます。
当然そういう感情のラベルを貼られた知識をA10神経群はますます脳に入れまいとし、そうするとますます焦りの気持ちが高まってきて……絵に描いたような悪循環の構図ですね。
親や先生には「勉強しなければいけない!」と強要することよりも「勉強することに興味を持つこと」「知識を得ることの楽しさ」を教えてほしいと切に願うものです。
しかしもう大人になってしまった私たち自身については、昔のことに腹を立ててもそれこそ逆効果ですので、無理に物事を暗記しようとするのではなく、何事にも興味を持って接していくように心がけてほしいと思います。
■読書において本当に大切なこと
そうは言っても「読んだら内容をきちんと覚えなくてはもったいない」と思う方は多いでしょう。しかし完璧に覚えることにこだわるよりも、さまざまな本に触れ、新しい情報を積極的に取り入れる方が、創造的な発想を育てるためには効果的です。
読書において本当に大切なのは、知識を暗記することではなく、個々の知識のつながりを把握することで、それらの本質を理解すること。そうすれば個々の知識は、必要なときに引き出すことができます。
一度読んだ内容を覚え切ることよりも、気になった本を後からもう一度手に取って読み直したり、インターネットで関連情報を調べたりすることで知識が深まり、それがアイデアの種となります。
また、何度接しても覚えられない情報なら、今の自分にとっては必要がないものとも考えられます。それよりも、新たな視点を得られる新しい本に触れる方が、新たな発想を引き出す助けになります。

私自身は普段、本に線を引いたりメモを取ったりすることをしませんが、どうしても線を引きたいときは、鉛筆やシャープペンシルなど消せるものを使います。鉛筆など消せる筆記具を使うことで、後から自由に消したり追加したりできるため、常に新しい視点を取り入れやすくなり、新しい発想が促進されます。
■積ん読を恐れてはいけない
最初に読んだときに「これは重要だ!」と思って線を引いた部分が、後で読み返したときにはそれほど重要でないと感じることはありませんか。時間が経つうちに自分の視点や価値観が変わるのはよくあることです。鉛筆なら、そのようなときに簡単に修正ができます。
また、メモを取る際にも、鉛筆やシャープペンシルが便利です。書き加えたり消したり、位置を変えたりすることが簡単にできるので、新たなアイデアが浮かんだときや考えが変わったときに柔軟に対応できます。
新しい本をどんどん読んでいくことや、積ん読状態を恐れずに、本を必要なときに手に取ること。これが新たな発想やひらめきを育てるための読書のスタイルです。
積ん読することでさまざまな情報に触れ続けることができ、それが新しいアイデアの源になります。線を引いたりメモを取ったりするときは、鉛筆などの消すことができる筆記具を使って柔軟に対応する。そうすることで、情報に対して常に新たな視点を持ち続けることができます。
■なぜネット書店ではダメなのか
最近、本屋さんが減って少し寂しい気持ちになります。私の地元の駅前にあった書店も最近閉店してしまいました。かつては旅行や出張の際に、そこで目についた本屋にふらっと立ち寄るのが楽しみの一つだったのですが、それもだんだんと難しくなってきています。
地方の本屋では、地元のタウン誌や独自の情報誌が並んでいて、その土地ならではの雰囲気を感じることができました。普段見かけないような本との思いがけない出会いも、書店に行く楽しみの一つです。立ち寄った本屋でふと目に付いた本を手に取って、ぱらぱらと立ち読みし、「これは!」と心に響く作品に出会えたことも一度や二度ではありません。
こうした偶然の出会いは、目的の本やそれに関連する本しか表示されないネット書店ではなかなか味わえない、リアル書店の醍醐味です。ネットでの本探しは確かに便利ですし、欲しい本を素早く手に入れることができて、とても助かります。
しかし、その一方で、リアル書店ならではの、予想外の出会いが失われていると感じることがあります。普段は読まないジャンルの本にふと目が留まり、その中に自分の仕事に役立つヒントが見つかったり、全く知らなかったテーマに興味を持つきっかけになったりすることがあります。本屋でふと目に留まった本が、その後の自分の考え方や仕事に大きな影響を与えることだってあるのです。

■「関係のない知識」で脳が喜ぶ
実際に本の背を眺めながら、自分の興味や好奇心に従って本を選ぶという体験は、単なる「本を買う」という行為を超えた価値があります。
「両利きの経営」を広めた入山章栄教授も、本屋でのランダムな本選びをすすめています。書店に入ったら、適当に本を手に取り、その一冊を購入するそうです。こうすることで、普段自分が接することのない新しい知識、普段の仕事に関係ない分野の知識に触れることができ、思いもよらないひらめきにつながることがあると言います。
この「知の探索」のプロセスは、私たちの思考の幅を広げ、創造的な発想を生むための大きな助けになります。リアル書店には、こうした予期せぬ出会いが詰まっています。その出会いはインターネットで効率よく情報を入手することでは得られない「偶然の出会い」や「発見の喜び」です。
書店を訪れ、ランダムに本を選び、その中で新たな知識やアイデアを見つけることで、ひらめきの種をインプットすることができると思います。そこでの出会いが、あなたの次の一歩を後押ししてくれるかもしれません。
■雑談は「ひらめきの種」
日々の生活で、私たちはインターネットや新聞、雑誌、書籍などからさまざまな情報を得ています。もちろん、これらの媒体から得られる情報は非常に貴重です。しかし、最も効果的に学びを深めるのは、何といっても直接人から聞くことではないでしょうか。その中でも特に「雑談」は、ひらめきの種を見つけるための宝庫です。
気が置けない友人や同僚との雑談からは、意外に多くの情報を得ることができます。雑談の魅力は、その自由さにあります。本や記事を読む際には、たいてい何かしらの目的を持って情報に接していることが多いでしょう。そのため、どうしても特定のテーマに限定された情報ばかりを集めがちです。
一方で雑談では、話の流れが予想外の方向に進むこともあり、自分が普段接しない分野について知る機会が生まれます。
例えば、友人との会話で全く知らなかった趣味や旅行先の話を聞くことがあります。そのとき「そんな楽しみ方があるんだ!」「そんな場所があるんだ!」といった驚きや興味が湧くこともあるでしょう。そういうとき私たちの脳は新しい情報を処理しようと活性化し、好奇心が刺激されます。
■仕事のデキる人ほど話好き
未知の情報に触れることで、脳の前頭前野が強く反応し、創造的な思考が促進されます。さらに、好奇心が生まれることで、脳内ではドーパミンが放出され、それがポジティブな感情と結びつくことでより一層ひらめきのチャンスが広がります。

私たちは普段のルーティンの中で、決まった範囲の情報にばかり触れ、いつもと同じ経験しかできないことが多いものですが、雑談はその枠を飛び越え、新たな視点を与えてくれます。また、リラックスした状況での会話では、お互いの思考が解放され、普段は思いつかないような自由な発想が生まれやすくなります。
カフェでお茶を飲みながらする会話や、公園を散歩しながらの対話といったリラックスした場面では、思考に余裕が生まれ、新しいアイデアが浮かびやすくなりますよね。
各国の首脳会談などで、首脳同士が散歩をしながら話し合っている写真を見たことがある人も多いと思います。雑談を無駄話と思わずに、ひらめきの種を探す機会と捉えてみてはいかがでしょうか。
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島 青志(しま・せいじ)
経営コンサルサント
アート、デザイン、システム論を基盤に、経営理論や最新の脳科学研究を踏まえ、実践的なアプローチを提供するブルーロジック社長。リゾートホテル業や会計事務所で接客や経営に携わった後、インターネット業界へ転身。インターネットベンチャーやネット広告会社で新規事業を数多く立ち上げ、2010年に独立。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究所研究員として研究論文を多数執筆。著書に『熱狂顧客のつくり方』(IBCパブリッシング)、樺沢紫苑氏との共著『ソーシャルメディアの達人が教える リンクトイン仕事革命』(ソシム)がある。
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(経営コンサルサント 島 青志)
