東洋大姫路が17年ぶり4度目の近畿V プロ注目右腕・阪下漣が1失点完投 今大会の防御率0・33
◇秋季高校野球近畿大会決勝 東洋大姫路5―1智弁和歌山(2024年11月4日 ほっと神戸)
秋季近畿大会の決勝が行われ、東洋大姫路(兵庫)が智弁和歌山(和歌山)を5―1で制して07年以来17年ぶり4度目の優勝を決めた。プロ注目右腕・阪下漣投手(2年)が、7安打1失点完投勝利を挙げた。兵庫県勢の優勝は、09年神戸国際大付以来15年ぶり。近畿代表として明治神宮野球大会(11月20〜25日)に出場する。
絶対的エースが頂点に導き、東洋大姫路の復権を告げた。大一番で1失点完投の阪下は「(岡田龍生監督から)“甲子園なんか行けない”と言われてきた。そこから優勝することができて、うれしいです」と胸を張った。今大会全4試合に登板し27回2/3を1失点と圧倒。驚異の防御率0・33で、堂々と今秋の主役として君臨し続けた。
4回2死一、三塁で許した適時内野安打が、今大会唯一の失点だった。安定した投球内容とは対照的に、決勝の最速は自己最速を5キロ下回る142キロと直球が走らなかった。代わりに制球力が光った。登板4試合で3与四死球。「県大会より球速は落ちても、ピンチでの制球は上がった」。自慢の制球は近畿大会でも通用した。
履正社(大阪)前監督の岡田龍生監督が22年4月に就任。今秋の新チーム結成時、「神宮大会は間違いなく良い経験になる。今後の進路も広がるぞ」と選手に説き、秋の近畿王者を意識させ続けてきた。履正社時代は16年秋の明治神宮大会で優勝。当時のエースだった竹田祐は明大―三菱重工Westと名門で経験を積み、今秋ドラフトでDeNAから1位指名を勝ち取った。
その竹田が現地観戦した一戦。岡田監督は、竹田の成長曲線を思い返し、「阪下もそのレベルになれる素質はある」と期待を寄せる。「東京六大学に興味があって動画も見たりしていたので、神宮球場に立つ夢がかなってうれしいです」と阪下。名将に育てられた右腕が、甲子園の前に全国舞台に立つ。 (河合 洋介)
≪初優勝に届かず…≫智弁和歌山は6度目の決勝でも初優勝には届かなかった。2日連続で先発したエース右腕・渡辺颯人(2年)が2回2/3を4失点。準決勝まで3戦3失点に抑えた強力な投手陣が最後に力尽きた。中谷仁監督は「渡辺はここまでよく踏ん張ってくれたが、1、2失点に抑えていれば、展開は変わったかもしれない」と振り返った。