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●東京有数のラーメン激戦区・本郷三丁目でいま最注目のラーメン店2軒の魅力をご紹介します。

 東京大学がある文京区・本郷は、都内でもラーメン激戦区として有名な街です。ミシュラン店『中華蕎麦にし乃』(2018年オープン)をはじめ、『麺屋ねむ瑠』(2015年オープン)、『麺屋 鈴春』(2020年オープン)など、ラーメン界でも高評価のお店が揃っています。

 その名店たちに追随するようにして新店も増え続けており、最近ではもはや本郷というエリア自体が“ラーメン博物館”的な様相を呈し始めています。そこで今回は、この1年ちょっとの間に新しくオープンした注目店2軒を紹介したいと思います。

 まずは、昨年(2023年)2月にオープンした『麺屋 穂ころび』。ここは以前、目黒区西五反田の不動前で隠れた名店として人気だったお店。それがコロナ禍を経て、ラーメン激戦区・本郷三丁目に勝負を挑んできました。

2023年2月23日にオープン

 ご主人は、ミシュランのビブグルマンを獲得した池尻大橋の『八雲』で修業した方です。『八雲』といえばワンタン麺が有名ですが、この『麺屋 穂ころび』の看板メニューもワンタン麺です。特に食べてみてほしいのは、海老ワンタンと肉ワンタンが2個ずつ入った「ミックスワンタン中華そば」(1220円)。

『穂ころび』のメニュー

『穂ころび』では、中華蕎麦はすべて“白だし”か“黒だし”のどちらかを選ぶことができます。白だしは無添加の白醤油がベースで、黒だしは濃口醤油と生醤油のブレンド。スープは10種類以上の食材を使用し、肉と魚介の深みのある旨味を引き出しているのが特徴です。

 今回は、白だしの「ミックスワンタン中華そば」を実食してみました。

「ミックスワンタン中華そば」1220円、白だしをチョイス

 白だしのスープは内側から光を放つようにキラキラと黄金色に輝いています。その味は、塩味が丸くてやわらかく、決して薄味ではありませんが、非常に優しく滋味深い味わい。そして、白だしの旨味が後からかぶさるように響いてきます。れんげでひと口すすった瞬間に、「あとは何もかも美味しいに決まってる」と確信できる。そんな極上のスープです。

白だしのスープ

 麺は細麺。このスープと適度な脂が適度にからみ、ズズっとすすり上げるごとに、上品な香りと旨味が体に吸い込まれていきます。また、肉ワンタンと海老ワンタンも、つるんとした大きな皮の中に、餡がぎゅぎゅっと詰まった逸品。食べてみると、ジューシーな肉餡、プリッとした海老餡。1個1個がしっかりしているのに、食べてみると軽快。そしてこれがまた白だしのスープとよく合うんです。

ぷりっぷりの海老ワンタン[食楽web]

 薄くて大きく、やわらかいチャーシューも、太くて歯ごたえと甘みのあるメンマも、丼の中のすべてが完璧! と思えるほど満足感の高い一杯です。

●SHOP INFO
店名:麺屋 穂ころび

住:東京都文京区本郷3-33-3
営:昼11:30~15:30 夜18:00~21:00
休:日・祝

これはラーメンなのか!? 変貌自在な限定メニューが楽しい『麺庵 利休』

 続いて紹介したい本郷のラーメン店が、昨年(2023年)10月にオープンした『麺庵 利休』です。

 本郷でも人気の『麺屋 ねむ瑠』のすぐそばにあるのですが、この『利休』も今や超人気店となっていおり、周囲にはこの2店に並ぶお客さんの行列が交錯しているほど。

 ご主人は横浜にある煮干しラーメンの名店『ノ貫(へちかん)』のご出身。同店も限定で変わりダネのラーメンを出すことで人気ですが、ここ『利休』も、デフォルトは煮干しの中華そばですが、限定で、味の想像がつかない独創的な一杯を味わうことができます。

本郷三丁目駅から徒歩3分ほどの場所にあります

 限定メニューには例えば、金目鯛、雲丹、牡蠣、虎河豚、のどぐろ、オマールビスク、エスカルゴ、生赤海老といった魚介系もあれば、「カシミールチリカレーつけそば」や「米沢牛のソルロンタンそば」、はたまた「鴨煮込みカレー南蛮そば」なんていう風変わりなラーメンが続々と登場するとの噂。

表に掲げられた『利休』のメニュー表

 筆者が訪れた日の限定は、「鮟肝(あんきも)そば」(1200円)と「牛タン赤ワイン煮込みまぜそば」(1700円)の2種類でした。あん肝も牛タンの赤ワイン煮込みも、味はわかるのですが、それがラーメンになった姿はあまり想像ができませんよね。今回は「鮟肝そば」を食べてみることに。

限定の「鮟肝そば」1200円

 画像を見ていただくとわかる通り、スープが見事なあん肝色です。そしてチャシューの上にはあん肝ペーストものっています。

 スープを一口飲んでみると、反射的に「アンキモ!」と声が出そうになるくらいの強烈なあん肝感! 濃厚かつまろやかなあん肝のコク。舌をすべるクリーミーな食感。さらに貝の風味と煮干しの旨味が追随。これらがスープに溶け込んでいるので、ひと口スープをすするだけで、複雑で多層的な旨味が一気に広がります。旨すぎる……!

あん肝の濃厚なコクと、貝と煮干しのお出汁の旨味が追随するスープ

 麺はストレートの細麺。噛むとパツンとした食感があり、風味豊か。濃厚なあん肝のスープと一緒にいただくと、もうとにかく「旨い」のひと言。とはいえ、食べ進んでいくと、思ったほど濃厚すぎず、魚介類のエキスが体の中に静かに浸透していくような、そんな心地よさがありました。

細めのストレート麺が、あん肝の上品なスープとよく合います。

 この「鮟肝そば」、限定メニューなので、次はいつ食べられるかわかりません。至極のあん肝スープを一滴たりとも逃すものか、という勢いで完食しました。というわけで、『利休』の限定ラーメンは、儚くも楽しい、実に魅力的な一杯です。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO
店名:麺庵 利休

住:東京都文京区本郷4-3-2
営: 月火金11:00~15:00、18:00~20:30
   水土日11:00~15:00
休:木曜
営業日や営業時間、定休日は変更の場合もあるので「X」で確認を