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 歌手の前川清(76)の36年越しの夢をかなえた新曲が6日に発売される。1989年の日本作詩大賞優秀作品賞受賞曲「暖簾」(歌・五木ひろし)を作詞作曲したシンガー・ソングライターの永井龍雲(66)に直々に依頼して制作された「風潮/仲間と言う家族」の2曲だ。

 ずっと「『暖簾』が大好き」と絶賛してきた前川が沖縄在住の永井に「いい曲ができたら僕に下さい」とリクエスト。「“売れなくてもいいから”という言葉が響きました」という永井は「ド演歌の声ではなく、何でも歌える方。そんな前川さんだから歌ってほしい」と応えた。

 かつて「道標ない旅」のヒットで青春フォークの旗手として世に出た永井だが、今回は昭和的な価値観とは変容した時代に対して穏やかに異議を唱える「風潮」を書き下ろした。一方で今年2月、前川が属した「内山田洋とクール・ファイブ」のメンバー小林正樹さん(享年81)の訃報を知り、熟年世代の男の友情を描いた「仲間と言う家族」も書き上げ、カップリング曲となった。

 「ステージでも新曲の評判が凄くいい。CDが売れない時代。だから、いい歌をステージで歌うのが一番の望み。永井さんには悪いが、(CDが)売れなくていい」と常に自然体の前川らしく抱負を語る。永井は「いや、売れてほしいです」とかぶせ気味に笑顔で応じた。しみじみと伝えたい大人の歌が注目される。 (元尾 哲也)

《北島三郎、桑田佳祐ら多くの歌手が楽曲提供》 前川の1982年のソロデビュー曲「雪列車」は糸井重里氏(75)が作詞、坂本龍一さんが作曲した。その後は多くの人気歌手が作詞作曲。北島三郎(88)は原譲二名義で「君が恋しくて」(2013年)、いきものがかりの水野良樹(41)は「ステキで悲しい」(19年)を提供した。前川のファンを公言してきたサザンオールスターズの桑田佳祐(68)は「SEA SIDE WOMAN BLUES」をカバーとして提供した。