1年半ぶり“復活”「氷川きよし」は演歌を捨てるのか 歌番組からは熱視線、意外にも「コンサート動員」に不安
氷川きよしがこの17日、約1年半ぶりに歌手活動を再開した。休業期間には所属事務所からの独立という“一大イベント”が起きたが、ファンとしては待ちに待った演歌界のプリンスの復活だ。期待するメディアも多いが、一方で今後を懸念する声もないわけではない。
***
【写真】「胸元ざっくり」と報じられた氷川のインスタグラム。ファッションも常に変化
2022年末から活動を休止していた氷川。今年4月にデビュー以来所属していた長良プロダクションから独立し、8月17日の25周年ツアー初日で活動を再開した。
音楽業界関係者は言う。
「前事務所や関連会社にいたスタッフなどが氷川のもとに集まっていますが、実質的には氷川が先頭に立って切り盛りしています。歌手活動の他にもプロデュース業にも興味を示しているそうです」
紅白は熱視線
業界の期待も大きい。
「氷川復帰に特に興味を持っているのは紅白でしょうね。2022年は紅白のステージを最後に休業に入ったのですから、NHKとしては大晦日での復帰を望んでいた。ただ、そうでなくとも、近年、視聴率で苦しむ紅白としては、知名度が高い氷川はどうしても欲しい歌手の一人ですから、是が非でも出演させたいでしょう。すでに紅組、白組などではなく、一昨年同様、特別枠として出演させる方向で調整を進めているといわれています」
民放の年末音楽番組のスタッフも、氷川に熱視線を送っているという。
「復活した氷川はテレビ露出という意味ではかなり期待していいのでは」
争奪戦を期待も…
とはいえ、懸念材料がないわけでもない。
あるイベント会社関係者は、
「復帰コンサートが行われた東京ガーデンシアターですが、約8000人のキャパ。復活という話題性もあり、即完売とも言われていましたが、意外と苦戦したそうです。彼は5、10、15、20周年コンサートを日本武道館で行っている。武道館を余裕で埋めていた一時期ほどのファンの熱狂からすれば今回は拍子抜けで、業界でも驚く人がいたほど。4月に独立と活動再開の狼煙を上げたときにも、思っていたほどの話題にはならなかった。本人は、連日いろいろなところで報道されて、チケットも争奪戦なんてことを考えていたようですが……」
18日の「スポーツ報知」によれば、氷川はコンサート前、客が入らないかもしれないと不安に思い、自ら飲食店などでポスターを配り回っていたという。
音楽性に変化
演歌の貴公子などといわれ、演歌歌謡曲界を長年、けん引してきた氷川だが、休業する前から、その音楽性には大きな変化が見られていた。
「コンサートでもデビュー曲である『箱根八里の半次郎』や大ヒットした『白雲の城』などこそ歌っていましたが、半分はポップスだったり、シャンソンだったりを歌っていた。“演歌は歌いたくない”と言い出したりしていたほどです。しかし、氷川を支えているファンの大半は、やっぱり氷川の歌う『股旅演歌』や、王道演歌が好きでついてきた人たち。ポップス系の歌を歌うところまでは付いてこられたでしょうが、休業前は、ステージ上で王女様のようなロングドレスを着たりもしていました。氷川のことを、自分の息子や男の子の孫のように見ていたファンからしてみたら、イメージが変わったと感じ始めてもおかしくないでしょうね」
「いまの発言はNG」
休業中もその傾向は変わらなかった。この8月に自身のインスタグラムでアップされた写真を見て、「胸元ざっくり」と表現したメディアもあるほど。「女子会したい」、あるいは、自分のことを「キイナママ」と言ってみるなど、自由な印象を与えている。
「休業する前から、囲み取材などでは、美容の話などを積極的にしていましたし、ステージでドレスを着たいなどの発言も多かったんです。いまの時代、自分の好きなように生きていくということは大事なことでしょうが、旧来のファンのことを考えると、それがプラスにだけは働かないとわかっていたのが当時の所属事務所で、囲み取材が終わった後は、『いまの発言はNGでお願いします』と報道陣に行って回るのが当たり前のようになっていった。休む直前には、もはや囲み取材が行われることはなくなっていった」。
今や事務所を離れ、独立した。
「氷川に対し、こうした方がいいなどとモノが言える人はいないでしょう。確かに今の氷川は以前よりもきれいかもしれないし、美しいかもしれませんが、これまでのコアなファンがそこに魅力を感じて付いてくるかどうかは未知数です。ただ、もちろん、氷川自身もそのことには気がついていて、好きな歌だけを歌うつもりはない。当然、演歌も捨ててはいかない方針です」
17日のコンサートでは、演歌とポップス合わせて計32曲を披露した氷川。
「今後、楽曲や打ち出すキャラクターの方向性について、誰に相談し、どのような選択をしていくのか。それがどのような結果を生むのか。注目されます」
芸能記者 山本義和
デイリー新潮編集部