【大竹 のり子】将来、高値で売れる可能性も…プレミア価格がつく意外な「お金」

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7月から20年ぶりに発行された新紙幣。皆さんはもう実物を目にしましたか?

同時にこれまで使われていた紙幣について「いつかレアな存在になるかもしれないから、残しておこうかな」と考えた人もいるかもしれません。

そこで今回は、将来、古い紙幣の価値がどうなるのかを考えると同時に、現在は「普通のもの」に見えるかもしれないけれど、保管しておくと後々価値が上がるかもしれないアイテムをいくつかご紹介します!

約2年でほとんどが新紙幣に入れ替わる

2024年7月3日に20年ぶりに切り替えになった日本の紙幣。一万円札には渋沢栄一、五千円札には津田梅子、千円札には北里柴三郎がそれぞれ肖像として選ばれました。

これは新紙幣に限ったことではありませんが、日本では、紙幣は国立印刷局で印刷され、日本銀行に運ばれます(ちなみに100円玉や500円玉などの花柄は造幣局で製造され、日本銀行に運ばれます)。日本銀行に運ばれた紙幣は、全国にある日本銀行の支店から、金融機関の支店やATMなどに送り出されます。

一方、これまで使われていた紙幣は金融機関から日本銀行に戻ってきた段階で回収されていきます。過去の紙幣の切り替え時には、約2年で日常的に目にする紙幣のほとんどが新しい紙幣になったようです。

古い紙幣はいくらで取引される?

日本銀行では、1885年(明治18年)に初めて銀行券(紙幣)を発行してから、今回の新紙幣も含めて56種類の銀行券を発行しています。これら56種類の紙幣のうち、過去の紙幣を含め、現在、25種類が現役の紙幣として使える決まりになっています。

たとえば、聖徳太子が肖像として描かれている過去の一万円札などは、お店での支払いやATMでの入金では取り扱ってもらえないかもしれませんが、日本銀行に持っていけば、現在発行されている紙幣と引き換えることができます。裏を返すと、31種類の銀行券については、現在「お金」としては使えないということになります。1円未満の小額紙幣などがこれにあたります。

現在も紙幣として使える場合、その「お金」としての価値は額面金額そのままです。しかし、面白いのは「お金」としての価値は額面金額しかないにも関わらず、買取市場ではそれよりも高値で取引される場合があるということ。例えば、明治18年発行の「旧壱円券」、明治22年発行の「改造壱円券」、昭和18年発行の「壱円券」などの一円紙幣ですが、現役の紙幣として使える25種類に含まれますが、買取市場では数千円〜数万円、状態がよければ10万円以上で取引されることもあるようです。

記念コインの「売りどき」、どう考える?

紙幣だけではありません。日本銀行は、昭和39年に発行された「東京オリンピック記念千円銀貨幣」以降、天皇の即位や在位◯年といった節目、オリンピックやワールドカップ、震災復興事業など、折に触れて多くの記念コイン(記念貨幣)を発行しています。これらもすべて、通常の100円玉や500円玉と同様に「お金」として使うことができます。

これらのコインも、買取市場では額面以上の金額で取引されています。特に発行枚数が少ない記念コインほどコレクターからの需要が高いため、高値で取引される傾向があります。

もうひとつ意識したいのが、金価格や銀価格の相場です。記念コインの中には金や銀などの材質を含んでいるものがあります。こうしたコインの取引価格は金価格や銀価格の相場から大きな影響を受けます。もしもこうした記念コインを持っているのであれば、金価格や銀価格の相場も見たうえで「売りどき」を考えるのがおすすめです。

実は身近な「プレミア硬貨

ここまで、現在はもう発行されていない紙幣や記念コインなど、特別な紙幣や貨幣に価値がつくという話をしてきましたが、実はもっと身近なところにも額面以上の金額で取引される「お金」は存在します。

それが、いわゆる「プレミア硬貨」や「レア硬貨」と呼ばれる硬貨。私たちが普段使っている現役の硬貨の中でも、製造年によっては高値で取引されていることをご存じでしたか?

例えば、平成22年、平成23年、平成24年、平成25年の4年間で製造された5円玉は、買取市場では額面の400倍、つまり2,000円で取引されることもあると言われています。

10円玉に至っては、昭和61年の製造されたもののうちの一部が、なんと1枚あたり約20,000円で取引されています。なぜかと言うと、本来昭和62年から製造される予定だった新デザインのものが、原因不明のミスで昭和61年のうちにわずかに製造され、市場に出回ってしまっているのだとか。昭和61年の10円玉を見つけたら、平等院鳳凰堂の中央の階段上部が縦の線と結合しているか、屋根に切れ目がないかを念入りにチェックしてみてください!

タンス預金にはリスクがあることも忘れずに!

このように紙幣や貨幣は、どれだけ希少であるのか、どれだけ需要があるのかによって取引価格が額面を上回ることがあります。そのため、将来希少価値が出そうなのであれば、あえて手元に残しておくのもひとつの方法です。

しかし、そうした場合のタンス預金にはいくつかのリスクがあります。ひとつは、火災や水災などによって焼失したり、使いものにならなくなったりする可能性もあるということ。そしてもうひとつありがちなのが、存在自体が忘れられたままになってしまうということです。特に引き出しの奥深くにしまっておいた場合には、自分が亡くなったあとに誰もその存在に気づかないかもしれません。

そして、インフレリスクがあることも気に留めておきましょう。近年の物価上昇や大幅な円安は、言い方を変えると「円の価値が大きく目減りしている」ということでもあります。つまり紙幣や貨幣といった現金をそのまま保管しておくということは、本質的には、価値を目減りさせることでもあります。

こうしたことを踏まえると、「なんとなく」でこれまで使われていた紙幣を残しておくだけでは、あまり期待はできません。将来、確実にプレミアがつくことを狙うのであれば、紙幣や貨幣の中でも希少価値が高いであろうものを厳選し、新札もしくは折り目や汚れのないものを選び、火災や水災などの被害に遭わない環境で保管をすることがポイント。そしてその保管場所や意図を家族にもしっかりと伝えておくことが必須といえるかもしれません。

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