朝食をしっかり食べることはいい1日をスタートするために重要ですが、通学や出勤の時間が迫っているとつい朝食を抜いてしまうこともあります。42カ国の学校に通う15万人以上の子どもを対象にした新たな研究では、「朝食を毎日食べる子どもは人生の満足度が高い」という結果が示されました。

Is the frequency of breakfast consumption associated with life satisfaction in children and adolescents? A cross-sectional study with 154,151 participants from 42 countries | Nutrition Journal | Full Text

https://nutritionj.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12937-024-00979-5



Children who miss breakfast are less happy in life - ARU

https://www.aru.ac.uk/news/children-who-miss-breakfast-are-less-happy-in-life

Kids Who Eat Breakfast Every Day Share Something in Common : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/kids-who-eat-breakfast-every-day-share-something-in-common

これまでの研究では、栄養価の高い朝食を食べることが記憶力の向上や認知機能の改善、身体活動の増加といったポジティブな効果と関連付けられています。逆に朝食を抜くことは、すべての年齢層におけるうつ病ストレス・精神的苦痛の増加と関連していることがわかっているとのこと。

しかし、朝食の頻度と子どもの生活満足度との関連性は十分に調査されていなかったそうです。そこで、エクアドルやブラジル、イギリスなどの国際的研究チームは、「朝食を食べる習慣と生活満足度の関連性」についての研究を行いました。



研究に使われたデータは、10〜17歳の学校に通う子どもを対象にヨーロッパを中心にした42カ国で実施された「Health behaviour in school-aged children(HBSC:学齢期の子どもの健康行動研究)」で収集されたものです。調査は2017年〜2018年に行われ、15万5451人(女子が51.3%)の子どもが朝食を食べる頻度や生活満足度について回答しました。

データを分析した結果、「1週間のうち朝食を食べる日が多い子どもほど、生活満足度が高い」という結果が明らかになりました。この結果は、性別・年齢・社会経済的地位・果物や野菜の消費量・甘い食べ物の消費量・家族と一緒に食事をする頻度・身体活動・ボディマス指数(BMI)といった要因を考慮しても明白だったとのことです。

研究チームが「朝食を食べる日」を横軸、「0〜10で自己評価した生活満足度」を縦軸にしてグラフ化したものが以下。朝食を食べる日が多いほど、生活満足度が高くなっている傾向が見て取れます。1日も朝食を食べない子どもの平均的な生活満足度は「5.8」だったのに対し、毎日朝食を食べる子どもの生活満足度は平均で「6.4」でした。



また、HBSCに含まれている各国の「1日も朝食を食べなかった子ども」の生活満足度を紫色、「毎日朝食を食べた子ども」の生活満足度をオレンジ色で示したグラフが以下。国ごとに数値にはばらつきがありますが、どの国でも「毎日朝食を食べた子ども」の方が生活満足度が高いことがわかります。なお、最も生活満足度が低かったのはルーマニアに住む「1日も朝食を食べなかった子ども」で、最も生活満足度が高かったのはポルトガルに住む「毎日朝食を食べた子ども」でした。



今回の研究はあくまで関連性を調べたものであり、朝食を食べることが直接的に生活満足度の向上を引き起こすのかどうかは不明です。しかし、韓国で行われた研究では、朝食を食べることで疲労感や睡眠障害、吐き気、頭痛、発熱といった身体的症状も軽減されることがわかっています。

論文の共著者であるアングリア・ラスキン大学のリー・スミス教授は、朝食を食べることは認知タスクに必要なエネルギーと栄養を供給するほか、朝食で摂取するビタミンやミネラル、朝食を含むルーチンなども生活満足度の向上に関わっている可能性があると主張。「調査したすべての国で、毎日朝食を食べる人はまったく食べない人よりも、報告される生活満足度が全体的に高いことがわかりました」と述べました。