「こんなドライバーはムショに送れ!」悪質な危険運転はすべて“執行猶予なし”の実刑になる?刑務所行きになりやすい違反とは
令和2年のデータでは危険運転の判決が約300件
法務省が公開している犯罪白書によると、令和2年に交通事件により通常第一審で懲役または禁錮を言い渡された有罪人員の数は9282件でした。
懲役刑、禁錮刑、いずれも刑務所で身柄を拘禁されますが、刑の一部に執行猶予がついた場合は、執行猶予の期間だけ刑務所での拘禁が差し引かれ、全部に執行猶予がついた場合は直ちに刑務所に入るということはなくなります。
前述の有罪人員9282件のうち、執行猶予なく実刑になったのは約10%の991件で、ほとんどに全部執行猶予がついていますが、罪名によってその割合は異なっています。
“刑務所行き”となりやすいのはどの罪なのでしょうか。
『危険運転』か『過失運転』かで大きく分かれる
前述の犯罪白書で記述されている、致死傷罪となった交通事件の罪名とそれぞれの総数は以上のとおりです。
これらは大きく『危険運転』か『過失運転』かに分けることができ、下記の表を参照にそれぞれの件数で見ると危険運転が296件、過失運転が3935件です。
このうち、実刑となった数は、危険運転が18.58%の55件(うち、一部執行猶予1件)、過失運転が4.98%の196件で、危険運転は過失運転の3倍以上、執行猶予なしの実刑となっています。
いずれも罪名に『無免許』が含まれる場合はさらに実刑となる割合が大きく、総数508件のうち、実刑となっているのは20.28%の103件です。
『致死』と『致傷』では、致傷は執行猶予が割合が多く、致死が8.64%、致傷が4.98%と約2倍の差があります。
これらのことから、交通安全への意識を欠いた運転であればあるほど、かつ被害の大きくなればなるほど、執行猶予はつかなくなり、直ちに実刑、つまり“刑務所行き”となると言えます。
執行猶予期間中の違反はどうなる?
執行猶予がつく判決となった場合でも、罪が取り消されたことにはなりません。その執行猶予期間中に再び罪を犯し、禁錮以上の実刑となった場合は、執行猶予が取り消されたうえ、前回言い渡された実刑と期間が合算となる場合があります。
しかし、駐車違反など違反点数が3点未満の軽微な交通違反であれば、刑事処分ではなく行政処分となる反則金の支払いで済むため、執行猶予が取り消しとはなりませんが、無免許運転や飲酒運転、違反点数が6点以上の重度の交通違反をして、禁錮以上の実刑を言い渡された場合は執行猶予が取り消しとなる場合があります。