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お気に入りの作品の続編を望むと同時に、オリジナル作品の素晴らしさを残しておきたいと思うのは、ファンにとっても製作側にとっても同じなのかもしれない。ファンタジーの名作『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)を監督したヘンリー・セリックが、英のインタビューにて胸の内を明かした。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』はハロウィンタウンの王様ジャックがクリスマスタウンに迷い込んだことをきっかけに、クリスマスに魅了されていく姿を幻想的な映像と歌で表現したストップモーションアニメ。原案・製作を務めたティム・バートンらしい世界観で、公開から30年が経過した今も、ハロウィン映画として、またクリスマス映画として根強い人気をキープしている。

バートンはまもなく『ビートルジュース』(1988)の続編『ビートルジュース ビートルジュース』が公開を控え、リブート作品なども複数手がけてきたが、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の続編は製作しない意志を貫いている。過去には、「自分の土地を発電所にしたがる人たちに売ろうとしない老人みたいな感じ」と比喩をながら、どれほどオリジナル作品を大事に思っているかを語っていた。

セリックもまた、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』ともうひとつの代表作『コララインとボタンの魔女』(2009)が長く愛されていることを誇りに思っている様子。「紆余曲折を経て、長い命を得た作品を一生懸命作り上げたのは素晴らしいことです。特に『ナイトメア』は、オリジナルファンの子どもたち、2世代の人気になりました。もうすぐ3世代になるでしょうね。本当に報われる想いですし、素晴らしい結果になりました」と語った。

しかしながらバートンと同様、セリックも続編の製作にはまったく乗り気でないようだ。

「過去に何度も議論しましたよ。“続編をやりたい、だけどCGで作らなければ”と言われて、私は“絶対嫌です”と言いました。『ガチョウと黄金の卵』で台無しにしたくないんです。続編や前日譚を作るとそうなりかねない。『ジョーズ』を第6作まで作ったら、サメを殴り殺すことになってしまいます。」

「ガチョウと黄金の卵」とは、ガチョウが黄金の卵を産んだことに味をしめた農夫が、金塊が詰まっているに違いないとガチョウの腹を割いたばかりに、金塊も見つけられず、ガチョウも死なせてしまうというイソップ寓話のひとつ。「欲張るあまり大きな利益を一度に得ようとすると、その資源まで失ってしまう」という教訓である。オリジナル作品の価値を大切にすべきだと、寓話の教訓になぞらえるところがいかにもセリックらしい。

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